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ChatGPT等を活用したヘルスケアサービスを分類してみた【Ver2】

※2023/4/30初稿、20230811大幅加筆


はじめに

矢野経済研究所でヘルステック/医療ICT関連の調査を主に担当している阿部と申します。
今回は、ここ2ヶ月ほどで相次いで登場している今年3月以降に相次いで登場している、ChatGPT(またはGPT-3.5/GPT-4)を活用したヘルスケアサービスについて、簡単にまとめたいと思います。
※分類(全体像は上の目次の通り)は独自分類です。また、今後のサービス増加などを踏まえ、分類を修正する可能性があります。

間違いなどお気づきの点がありましたらご指摘いただけますと助かります

なお、TwitterでChatGPTを活用したサービスを紹介するスレッドを作っていますので、ご参照ください(2023/8/11現在、31個)。

【宣伝】
以前作成した医療・ヘルスケア業界Mapシリーズのnote、好評いただき誠にありがとうございます🙇‍♂️
まだの方は是非ご覧ください。またご意見等ありましたら是非お願い致します。
👉市場規模編従業員数編企業・施設数編

1:個人向けサービス

1-1:個人向けカウンセリング系サービス

①かいじゅうカンパニー「mimo AI」
3/18に公開された、LINEチャットによるセルフカウンセリング・サービスである「mimoAI」。プレスリリースによると、特徴は以下とのこと。

mimoAIの特徴としては、ChatGPTの使い所を「カウンセラーとしてあらゆる悩みに答える」という用い方ではなく「今どんな考え方のクセがありそうか提案」し、「より客観的な考え方の提案」に限定しているところです。
(中略)
mimo AIが参考にしているのが、認知再構性法という手法です。
認知再構性法は、自分の思考パターンを改善することを目的としています。具体的には、否定的な認知(自己に対する評価や状況の解釈)を特定し、それらをより現実的で中立的な考え方に置き換えることで、感情や行動に良い影響を与えることを目指すものです。

プレスリリースより

②Awarefy「Awarefy AI構想」
メンタルヘルスケアアプリ「Awarefy」は、4/7に「Awarefy AI構想」を発表。第一弾として、ユーザーの投稿に対して AI が応答する AI チャットボットサービス「Awarefy AI チャット」をリリース。GPT-3.5 および GPT-4 を活用のうえ、Awarefy のユーザー層にむけたプロンプトのチューニングが行われている。
※第二弾以降はPR Times参照

③家入一真「メカニカル仏」
gpt-3.5-turboを搭載した「メカニカル仏」が悩みに答えるもの。

④キリハレ「KIRIHARE」内「AI」カウンセリング機能
LINEによるオンラインカウンセリングサービス「KIRIHARE」に、ChatGPTベースを活用したAIカウンセリングを追加してリニューアル。
プレスリリース

⑤Unlace「Unlace」内カウンセラーマッチング機能
オンラインカウンセリングサービス「Unlace」内に、GPT-3.5 および GPT-4を活用したカウンセラーマッチング機能「searchlight」を実装。相談者が入力した悩みを、過去のカウンセリングデータと照合し、過去に似た悩みを解決したカウンセラーをマッチング候補として提案するとのこと。
プレスリリース

⑥つなぐ「AI懺悔室」
GPTを活用したLINE対話ツールとして、「AI懺悔室」と「AI性病診断」を開発。前者は、教会の懺悔室にてシスターに悩みや懺悔を打ち明ける感覚で利用できるとのこと。後者は性病に関する相談ができ、潜在的な性病のリスクや適切な治療法についての情報を得られるとのこと。
プレスリリース

⑦AIセラピスト猫 メルくん
ChatGPTをセラピストのような返答に特化させたLINEbot。

⑧食とつながり「BABY BOND」
産前・産後、乳幼児期の両親に伴走するサービス「BABY BOND(ベビボン)」のβ版を5月7日に開始。ChatGPT活用AI対話機能(月額500円でチャット無制限)に加え、現役助産師とLINE通話するサービス(10分880円)を提供とのこと。

⑨M Media Apps「きいて」内のAIコメント機能
悩みや愚痴の相談サービス「きいて」内でChatGPTを用いた「AIコメント」機能を5月8日にリリース。 ほぼすべての投稿に対して自動でAIからのコメントが届く。AIは「心理カウンセラー」のキャラクター設定が与えられており、投稿内容に合わせて心理カウンセラーのようなコメントを返すとのこと。
プレスリリース

⑩マイシェルパ「マイシェルパ AI」
オンラインカウンセリングを提供するマイシェルパが、ChatGPTを活用したAIお悩み相談サービス「マイシェルパ AI」を6月1日に提供開始。 LINEで相談し、より詳しい相談が必要であれば有料のオンラインカウセンリングへ。

※参考
メンタルヘルスケアアプリ「SELF MIND」を展開しているSELFは、自社開発のコミュニケーションAIとOpenAI社が展開する「ChatGPT」との相互連携システムを開発している。
プレスリリース

1-2:医療従事者向けカウンセリング系サービス

①ディーズ・ライフ・イノベーション「AI メディカル秘書byドクタス」
ディーズ・ライフ・イノベーションのドクター専門のウェブ顧問サービス「Dr.TASU(ドクタス)」のLINE公式アカウント内に、ChatGPTと連携した悩み事相談サービス「AI メディカル秘書byドクタス」を5月21日よりスタート。 
Chat GPTによるAI検索サポートで理解や検索結果に満足に至らない場合に、「Dr.TASU」本体の同社コンシェルジュが直接LINEでやり取りするサービス(月額税別1万円)に加入できる、ハイブリッドサービス。
プレスリリース

②Plusbaseぴえん相談室「ナースビー」内のAIねこぴー機能
ヘルスケア特化のシステム開発支援を行うispecと共に、LINEによる看護師のためのぴえん相談室「ナースビー」内にAIねこぴー機能(ChatGPT活用)を開発し、5月11日にリリース。蓄積された会話データから、看護師ごとのメンタル不調の要因や、看護師ならではのメンタルヘルスの傾向を調査し、今後の研究開発に活かせる環境を構築する方向性があるとのこと。
プレスリリース

1-3:高齢者向けサービス

①メタリアル/ドーナッツ ロボティクス「cinnamon」へChatGPT搭載
メタリアルがChatGPTを高齢者向けにチューニングし、ドーナッツ ロボティクスの見守りロボット「cinnamon」へ搭載。プレスリリースでは、以下の点が指摘されている。

スマートスピーカーやTV、タブレットなどとの違いは、ロボットから呼びかける事ができる点です。
ChatGPTは質問を待つしかない事がその弱点とも⾔えますが、ロボットがセンサーで⼈との間に⼊って会話のきっかけ作りをすれば、そのマイナスも解消されます。

プレスリリース

②ベスプラ「脳にいいアプリ」内「お困りごと相談サービス」
脳科学に基づいて脳の健康維持をサポートする「脳にいいアプリ」内に、ChatGPTを活用した、高齢者が困りごとを気軽に相談できる「なんでも相談」機能を、7月に提供開始予定。アプリに蓄積されたユーザーの「地域・属性・興味・体調・活動」データを活用するとのこと。
プレスリリース

1-4:その他

①エーテンラボ「みんチャレ」内の「にゃんチャレAI」β版
三日坊主防止アプリ「みんチャレ」内に、ChatGPTを活用したAIキャラクターのβ版を4/18にリリース。プレスリリースによると、概要は以下の通り。

目的:習慣化を目指すユーザーの日々のチャレンジ投稿に対し、内容に応じたコメントを返し、習慣化のモチベーションアップにつなげ、引いてはアプリの継続率をあげること
使用可能期間:4月18日〜未定
設定可能ユーザー:みんチャレプレミアム購読中のユーザー

プレスリリースより

②ライフログテクノロジー「カロミル」内のAI食事相談チャット機能
食事・運動・体重管理アプリ「カロミル」内で、1週間の食事データをもとにした食事アドバイスが得られる「AI食事相談チャット」機能のβ版を、5月9日にリリース( 一部ユーザーから順次公開)。
プレスリリース
※法人向けサービスの取り組みは3-3参照

③SHANRI
ChatGPT連動型音声症状記録コンテンツを7月6日に公開。
プレスリリース

2:医療従事者向けサービス

2-1:医師向け臨床関連サービス

①HOKUTOの「HOKUTO」内の各種機能
医師向け臨床支援アプリ「HOKUTO」内において、GPT-4を活用した医師支援機能を随時追加している。4/3には患者への説明内容の考案支援機能、4/13にはおすすめ論文の検索・要約・コメント機能を試験的に実装。

②Medii「E-コンサル」内の「診療ガイドラインAI検索」機能
医師専用オンライン専門医相談サービス「E-コンサル」において、ChatGPTと連携した診療ガイドライン検索機能の開発を開始。プレスリリースによると、特長は以下の3つとのこと。
・患者の臨床疑問に最適化されたガイドライン該当箇所の提案
・診療ガイドラインの全文を読まずとも、見るべきポイントがわかる
・診療ガイドラインで解決しない疑問を、そのままE-コンサルで専門医に匿名・無料で相談できる

2-2:医療機関向けサービス

①ニチイ学館、グラファーの生成AIを医療事務現場で活用する実証実験を開始
ニチイ学館の医療事務現場の管理業務を対象に、グラファーの生成AI活用のための企業向けプラットフォーム「Graffer AI Studio」を活用した実証実験を開始。患者情報や医療機関情報を含まない業務に限定して実施、将来的には医師事務作業や診療報酬請求での活用を見据えているとのこと。
・ニチイ学館プレスリリース
・グラファープレスリリース

②KandaQuantum「CalqKarte」
生成AIと量子技術を主事業とするKandaQuantumが、GPT-3.5とGPT-4のAPIを搭載した電子カルテ「CalqKarte」の実証実験開始。 同社のAI議事録「CalqTalk」の医療特化版として再開発したもので、医療情報を自動で解析・判断し、医療スタッフの診療支援に役立てることができるとのこと。
プレスリリース

③MG-DX「AI薬師」服薬フォローアップ実施機能
MG-DX(サイバーエージェントの連結子会社)の薬剤師の対人業務をサポートする薬局向けソリューション「AI薬師」に、ChatGPTのAPIを活用した服薬フォローアップ実施支援サービス(β版)を6/1に実装。服薬フォローアップ時のメッセージ文を自動的に生成できる。
プレスリリース

④iMedy
施設基準管理システム「iMedy」を展開するiMedyが、GPTをはじめとする大規模言語モデルを活用した病院向け施設基準管理サポートサービスの開発研究を開始。
プレスリリース

⑤Pleap「medimo」
音声入力とAI要約でカルテ作成業務を支援するwebアプリ「medimo」のβ版先行予約を6月に開始。 書き起こしデータは、OpenAIのサーバーへ送信前に個人情報を自動消去。 4月からの実証実験にて有用性・安全性の確認を行ったとのこと。
プレスリリース

⑥アイベリー「歯医者さんGPT」
歯や口の悩みに答える歯科向けChatBot「歯医者さんGPT」を、7月25日にリリース。個別クリニックの情報を回答できるようにカスタマイズすることが可能(有料)。
プレスリリース

3:その他(法人向け)サービス

3-1:GPT実装支援(ヘルスケア関連)

①上述のグラファー「Graffer AI Studio」

②ポテック
こちらのnote(内容とても勉強になりました!)の末に、”ChatGPTを活用したヘルスケアサービスの開発もやっていきます”と書かれています↓

③Archaic
AI技術開発をグローバルな体制で展開するArchaicは、自社開発のVideo AI、診断AI、需要予測AI、リコメンデーションAIと、GPT-4のAI統合による高度なAIシステムを提供開始したとのこと。プレスリリースによると、”Archaicの診断AIは、医療現場での診断支援を行う技術です。ChatGPTと組み合わせることで、患者が気軽に自分の健康状態に関する質問をできる医療チャットシステムを提供します。このシステムは、患者の不安や疑問を解消し、医療現場の負荷を軽減することが期待できます。”とのこと。

3-2:薬機法等の文書チェックサービス

①ZETA「ZETA VOICE」のオプションサービス「コンテンツチェック機能」
レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」のオプションサービスとして、ChatGPT等を活用した「コンテンツチェック機能」を開始。ヘルスケアに特化しているわけではないですが、誹謗中傷のほか、景表法や薬機法に抵触しそうな"適切でない可能性があるキーワード"を判定できるとのこと。
プレスリリース

②シェアモル「Transcope」内の薬機法チェック機能
SEOに強い文章をGPT-4が自動作成する「Transcope」において、作成した文章の薬機法チェックを自動的に行う機能をリリース。チェック結果と理由が表示される。
プレスリリース

③Archaic
広告・ヘルスケア事業社向け広告チェックAIに、ChatGTP連携サービスを5月30日に開始。
プレスリリース

※上記と類似のサービスとして、DCアークテクトのAI 薬機法チェック&リライトツール「機械良文」β版がリリースされており、プレスリリース等ではGPT活用については触れられていないので恐らく違うと思いますが、参考としてコメントしておきます。

3-3:BtoBtoC系サービス

①ライフログテクノロジー「カルミルアドバイス」内「AIアドバイス」機能
6月より、法人向けサービス(食事指導者向けツール)「カロミルアドバイス」契約企業の食事指導を手助けする機能「AI アドバイス」を希望した企業に提供開始。食生活の分析や食生活の改善提案、コメントの自動生成ができる。
プレスリリース
※指導対象者の「カロミル」アプリにも表示させる新機能も展開→プレスリリース

②Medi Face「Mente for Biz」
法人向けメンタルヘルスサービス「Mente for Biz」では、AIドクターとユーザーとの対話にChatGPTを活用。AIによるチェック精度の向上のため、表情、声、話し方などをスマホから取得し反映。
※朝日生命が導入
プレスリリース

まとめ・補足・雑感

ChatGPTを活用したサービスで現状特に多いのがカウンセリング系サービスでが、確かに元々チャット形式のカウンセリングサービスはありましたし、相性は良さそうです。さらに発展すると、遠隔健康医療相談での活用もあり得るのではないかと思います。活用方法は回答側だけでなく、相談側でも入力補助の可能性があるかもしれません(という趣旨のツイートを見てなるほど!と思いました)。

もちろん回答側も何らかの補助ができる気がしていますが、精度など、色々課題はあるのだと思います。相談でなくオンライン薬局ですが、PharmaXがOTC医薬品EC販売の「YOJO」サービスで、LLM活用のPoCを実施しているとのことです。


※20231001追記
非常に参考になる記事


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