駿台atama+共通テスト模試【一部心の声を追加】

 試験後初の休日なので解き直しをしている人も多いだろう。
率直な感想は、なんだこれ?である。先月の記述模試は「理科の試験は考察地獄に成り果てたな。」程度だったが、今回はセンター試験から共通テストへの傾向の変化を大きく感じ取った。今から言うことはあくまでも個人の主観であり、多くの予備校講師が昨年度の時点で言及し尽くしたかもしれないが、以下個人の感想として聞いてほしい。
なお共通テストには目を通していないため主にセンターと共通テストの比較。

 まず、英語の私の第一声は「あ、本当に文法問題消えたんだ。」である。さらに実用英語の資料読み取りばっかり!疑似留学!?ってぐらい〇〇の行事参加のお知らせやメールを読み解け!が連発されていた。ただ、全文読む時間的余裕は当然なく、他科目の勉強もある一般受験生は元々英語の適応力が高いか神講師や神参考書を見つける、他科目よりも英語に時間を割くをしか全文読むことはできなそう。どこを読むべきか捨てるべきかが重要であると感じる試験であった。取捨選択はある程度の技術を予備校講師に教わるか多読で自分の経験則を養うかしかないんじゃないだろうか。読むところを間違えると英語の広告文宣伝文を大量に読んで80分で解ききれず時間が終わるので模試というよりなんちゃって留学体験になってしまう。文章の内容としてはほぼ全てが旧センター試験の第4問B、第3問B、Cで変わり種として問われていた問題の寄せ集めであった。逆に今回の試験でちゃんとした文章を読み取り設問に答える問題は第6問Bのみであった。以下に今回のテストで問われた内容を全て羅列する。学校行事のスマホ画面のやり取り、卓球イベントの広告文、ディナークルーズの宣伝文、文化祭スケジュールのメールやり取り、キャンパスの地図読み取り、映画俳優に関するネット記事(これは割としっかりした文章)、文化交流訪問のスケジュールやり取り、プレゼン資料の穴埋め問題(女性アスリートと食料廃棄問題)、宇宙事業(しっかりした文章読み取り第6問B)。以前のセンター試験で問われていた学術的な英語を読み解く入試ではなく、将来日本で生活をしていても日常会話で使うかもしれない次元の英語を読み取らせる入試に変わっていた(勘違いしてはいけないのが決して語彙のレベルが下がったわけではない)。大学に入ってから本格的に学術的な英語を読む人は少し旧過程の人との差がついてしまうのではないだろうか(それぐらい明らかに文章の会話自体のレベルがガクンと下がっている)。

 数学は試験時間がちょうど1時間だったものが10分伸びてセンター受験生からしてみれば何とも気持ちの悪い時間配分。あまり70分の試験はお目にかかれるものではない。印象的だと思ったのは実用的と言うのかくだらない問題というのかⅠAのバスケゴールの問題。わざわざあんな変な出題をする意味があるのか…。数学は日常でも使われてますよアピールが酷い。また、試験問題の中で呑気に男子学生が間違いを連発する会話を穴埋めする問題もあった。過去の数学のセンター試験では、おー、こんな変わった出題をしたのか!などと楽しんでいた予備校講師もいたが共通テストで変な出題は当たり前。文科省の指示でこれからはほぼ毎年こんな感じの出題が続くのだろう。悲しいが大学入試センターが第1問から5問まで「これが大学入試だ!」という真っ当な数学の出題をすることはもうないのかもしれない。

 その点については化学がさらに酷い。実用的な問題にするためにわざとらしく高校生のYさんが酸と塩基に疑問を持ち隣町の大学の先生わざわざ問題を聞きに行くのである(第4問)。今の高校生はこれが普通なのか?報告書、図書館の資料、中学生の実験ノート、隣町に聞きに行く…(第1問から第4問までこの調子で日常生活に無理矢理絡めた非常に気持ち悪い出題が続く)。今の時代は素直な第5問のような問い方ではダメなのだろうか。

 生物も知識偏向教育からの脱却を死ぬ気でしようとする意思が伝わり笑える。あえて大学入試内容を大幅に逸脱し、大学教養レベルも超えるような物質を問題文中に登場させ、「これ知らないでしょ?でもね、知る必要はないの。だって、今の教育はこんな知識を覚えるよりも思考力や発想力を養うのよ?」と問題文中の物質自体の既知か未知かを問わない出題がほとんどであった。教科書に載ってないものは平気で問題文に登場させるけど、どうせ設問に関係ないからいいだろ?ということである。結局生物の共通テストは知識過多じゃないアピールをし、旧過程で賛否の多かったいわゆる「国語の問題」を寄せ集めた感じである。出題形式としては意外にも1番良い構成であったと思う。高校生の女の子が「昨日専門書を見ながらまとめてみたの!」と友達にまとめたノートを見せる恥ずかしい場面はあったが(第5問B)、それ以外は健全な問題が並んだ。
【追加】今年の共通テスト生物は問題作成者が平均点を読めず赤面の大惨事。共通テストの存在意義が短時間で膨大な文章量を用意して思考力を問うことで合っているのか作問者は自分の心に手を当てて今一度確認していただきいたい。点数調整なんて微々たる補填で人生を狂わされた生物選択者に顔向けできるのか。

 どうでもいいことかもしれないが、全問必答になった影響であろうか理科のマークシートが大問別ではなく連番式になっていた。センター試験時代は理科の大問別マークは3、4個マークして以下10個以上を空欄にし、隣の列に進んでいた。そのせいでマークシートが裏まで続いていたが、今の共通テストでは連番になったのでそんなことが無くなった(コンパクトに表で終わった)。センター試験から共通テストに代わってよくなったところはここぐらいだろうか。

 また、余談ではあるが個人的には数学②(ⅡB第3問)で現行の大学教養で行う検定の分野で出題されていたのが懐かしかった(当然、第3問は選択の大問)。もし共通テストを受けるのなら、今回の模試のような難易度であれば大学の授業をある程度しっかり聞いていた再受験組は第3問を解いてもいいかもしれない(今回の出題であれば1年生の1単位の授業で十分にお釣りの来る内容)。

 さて生意気に分析してみたが、先述の通りおそらく昨年度の時点で多くの予備校講師が当然良問揃いで素晴らしいテストだったとまとめているはずである。センター試験世代が別の角度から講評してみた。

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