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No.139 『日立製作所』 恐竜との訣別宣言

日立製作所の個人投資家向けWEBセミナーの見どころは、冒頭5分の河村CFOの話にあると思います。一言でいえば、「環境変化を生き抜くためには変わり続けなければならない」。なにを今さらそんなこと。そう思われたでしょうか。でも、頭で理解していても、実際に行じるのはなかなか難しい。ましてや、日立は創業100年、売上高8.8兆円、従業員数30万人の超老舗巨大企業。並大抵の覚悟ではないと感じました。

「強い者が生き残るのではない。環境に適応できた者が生き残るのだ。恐竜と人間ではどちらが強いか?もちろん恐竜。では実際に生き残ったのはどちらか?もちろん人間である。それはなぜか。環境の変化にすばやく対応してきたからだ」。進化論のエッセンスはこんな感じではなかったでしょうか。河村CFOはダーウィンが好きなのかもしれません。日立製作所は恐竜には決してならない。眉根を寄せた悲壮な表情に強い決意が表れ出ていました。

実際、日立製作所は変わり続けています。テレビやパソコン、音響機器などB to Cの戦線は縮小しました。一方で、IT、エネルギー(送配電や再生可能エネルギー)、インダストリー(産業・流通や水・環境)、モビリティ(エレベーターや鉄道)などB to Bの領域を広げています。「変わらざるをえなかった」東芝に対して、日立の経営戦略には予見とか意思とか準備とか能動的な言葉がふさわしい。もちろん、過去には製造業で最大級の赤字を計上する苦難を日立も経験しています。「幸せは不幸な出来事を装ってやってくる」、「戦闘民族サイヤ人は死にかけると強くなる」。大いなる逆境を乗り越えた自信が日立の変化を支えているのかもしれません。

「企業の寿命は30年」と教えられたことがあります。一方で、「10年前に存在した企業が生き残っている割合は6.4%」、「小学生が大人になった時、今は存在しない職業が65%を占める」なんて話も聞いたことはないでしょうか。テクノロジーの発展によって変化の速度が加速していることは確かに体感できますよね。いうまでもなく、YouTuberの台頭はこの10年の出来事ですから。

「あの日立製作所が変わり続ける努力をしています。ぼくも見習わなければいけないと思いました」。最後は小学生の感想文のような締めくくりとさせていただきます。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。


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