【LGBT法案関連】自由民主党衆議院議員稲田朋美氏より返答がありました。

 【LGBT法案関連】自由民主党衆議院議員稲田朋美氏より返答がありました。

 とり急ぎ、返答内容を引用します。

>拝啓

 >仲春の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
 >さて、貴殿が公開質問状にてお尋ねの事項は野党案である「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案」(差別解消法)に対するものと思われます。与野党が合意し、LGBTに関する課題を考える議員連盟で了承したものは「性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」(理解増進法案)です。
 >従いまして、私は貴殿が問題にされている差別解消法案については回答する立場にはありませんが、私たちが目指している理解増進法案は、LGBTに関しての共通理解のもとに、これからの社会の姿を自分ごととしてみんなで一緒に考えていく土台をつくるための法律です。
 >なお、ご参考として理解増進法案を同封いたします。
 >ご理解いただきますようお願いいたします。

 >                             敬具

 以下、同封されていた法律案を提示します。

 「性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」

(目的)

 第一条 この法律は、全ての国民が、その性的指向又は性自認にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえないのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向および性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識の下に、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、性的指向及び性自認の多様性を受け入れる精神を涵養し、もって性的指向及び性自認の多様性に寛容な社会の実現に資することを目的とする。

(定義)

 第二条 この法律において「性的指向」とは、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいう。
 2 この法律において「性自認」とは、自己の属する性別についての認識に関する性同一性の有無又は程度に係る意識をいう。

(基本理念)

 第三条 性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又は性自認にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがなえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら強制する社会の実現に資することを旨として行われなければならない。

(国の役割)

 第四条 国は、前条に定める基本理念(以下単に「基本理念」と言う。)にのっとり、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。

(地方公共団体の役割)

 第五条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。

(事業主の努力)

 第六条 事業主は、基本理念にのっとり、性的指向及び性自認の多様性に関するその雇用する労働者の理解の増進に関し、普及啓発、就業時間の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及び性自認の多様性に関する当該労働者の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(学校の設置者の努力)

 第七条 学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校をいい、幼稚園及び特別支援学校の幼稚部を除く。以下同じ。)の設置者は、基本理念にのっとり、性的指向及び性自認の多様性に関するその設置する学校の自動、生徒又は学生(以下「児童等」という。)の理解の増進に関し、教育又は啓発、教育環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及び性自認の多様性に関する当該学校の児童等の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(施策の実施の状況の状況の公表)

 第八条 政府は、毎年一回、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の実施の状況を公表しなければならない。

(基本計画)

 第九条 政府は、基本理念にのっとり、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解に関する理解の増進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画(以下この条において「基本計画」という。)を策定しなければならない。
 2 基本計画は、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解を増進するための基本的な事項その他必要な事項について定めるものとする。
 3 内閣総理大臣は、基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
 4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本計画を公表しなければならない。
 5 内閣総理大臣は、基本計画の案を作成するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。
 6 政府は、性的指向及び性自認の多様性をめぐる情勢の変化を勘案し、並びに性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね三年ごとに、基本計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。
 7 第三項から第五項までの規定は、基本計画の変更について準用する。

(調査研究)

 第十条 国は、性的指向及び性
自認の多様性に関する調査研究その他の性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の策定に必要な調査研究を推進するものとする。

(知識の着実な普及等)

 第十一条 国及び地方公共団体は
、前条の調査研究の進捗状況を踏まえつつ、学校、地域、家庭、職域他の様々な場を通じて、国民が、性的指向及び学習の振興並びに広報活動等を通じた性的指向及び性自認の多様性に関する知識の着実な普及のために必要な施策を講じるよう努めるものとする。
 2 事業主は、その雇用する労働者に対し、性的指向及び性自認の多様性に関する理解を深めるための情報の提供、研修の実施、普及啓発その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
 3 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校の児童等に対し、性的指向及び性自認の多様性に関する理解を深めるための教育又は啓発その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(相談体制の整備等)

 第十二条 国及び地方公共団体は
、性的指向及び性自認の多様性に関する各般の問題に関する相談に的確に応ずるため、相談体制の整備その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
 2 事業主は、性的指向及び性自認の多様性に関する理解の増進に資するよう、その雇用する労働者の就業環境に関し、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備するよう努めるものとする。
 3 学校の設置者は、性的指向及び性自認の多様性に関する理解の増進に資するよう、その設置する学校の児童等の教育環境に関し、当該児童等又はその保護者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備するよう努めるものとする。

(民間の団体等の自発的な活動の促進)

 第十三条 国及び地方公共団体は
、事業者、国民又はこれらの者の組織する民間の団体が自発的に行う性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する活動が促進されるよう、必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

(性的指向・性自認理解増進連絡会議)

 第十四条 政府は、内閣官房、内
閣府、総務省、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省その他の関係行政機関の職員をもって構成する性的指向・性自認理解増進連絡会議を設け、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関す施策の総合的かつ効果的な推進を図るための連絡調整を行うものとする。

 附則

(施行期日)

 第一条 この法律は、公布の日
から施行する。

(検討)

 第二条 この法律の規定につい
ては、この法律の施行後三年を目処として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

(内閣府設置法の一部改正)

 第三条 内閣府設置法(平成十
一年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。
 第四条第三項第四十六号の次に次の一号を加える。
 四十六の二 性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画(性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律(令和三年法第    号)第九条第一項に規定するものをいう。)の策定及び推進に関すること。

 理 由

 全ての国民がその性的指向又は性自認にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識の下に、性的指向および性自認の多様性を受け入れる精神を涵養し、もって性的指向及び性自認の多様性に寛容な社会の実現に資するため、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定その他必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 稲田朋美議員からの返答の中には割と重要な情報があります。
 それは与野党連合(LGBT議連)と野党が同時にLGBT法案について動いているということ。二つの法律案が同時に検討されており、LGBT法案、LGBT理解増進法などのキーワードで検索すると先に出てくるのは「性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関する法律案(以下差別解消法という)」です。
 この点でLGBT議連の構成員と、その他の野党構成員、そしてTwitterなどで交わされている議論について大きな錯誤が発生しているのではないかと言う点が非常に心配になります。
 もっとも、利権の温床になり得るという点では「性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案(以下理解増進法という)」も差別解消法も大きな違いはありません。公布から三年経過した後、見直しを行うことが前提とされているのも気になる点です。もちろん見直しの結果良い方向に進むこともあり得るでしょうが、現在の政治情勢を鑑みるにあまり期待はできません。いわゆるWBPC問題(困難女性支援法に纏わる利権問題)がどの方向に転がっていくかにもよるのでしょうが……。
 岩屋毅議員からの返答を鑑みるに、議連内においても当事者意識に差があるのも大いに気になります。
 さて、残すは西村智奈美氏からの返答を待つのみになりました。同氏は野党側の議員ですが、どのような回答が返ってくるのでしょうか、そもそもお返事をいただけるのでしょうか……。
 今後は上記法律案の問題点の検討、ネオ同和と揶揄されることから「平成二十八年法律第百九号 部落差別の解消の推進に関する法律」の内容と施行による結果の比較、理念法の意義などについて調べていく予定です。法律には明るくない身ゆえ、皆さまからもご意見をいただけると幸いです。

 参考までに「平成二十八年法律第百九号 部落差別の解消の推進に関する法律」は以下です。

 https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g19001057.htm

平成二十八年法律第百九号
部落差別の解消の推進に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題であることに鑑み、部落差別の解消に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実等について定めることにより、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的とする。
(基本理念)
第二条 部落差別の解消に関する施策は、全ての国民が等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、部落差別を解消する必要性に対する国民一人一人の理解を深めるよう努めることにより、部落差別のない社会を実現することを旨として、行われなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、部落差別の解消に関する施策を講ずるとともに、地方公共団体が講ずる部落差別の解消に関する施策を推進するために必要な情報の提供、指導及び助言を行う責務を有する。
2 地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、部落差別の解消に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとする。
(相談体制の充実)
第四条 国は、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るよう努めるものとする。
(教育及び啓発)
第五条 国は、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うよう努めるものとする。
(部落差別の実態に係る調査)
第六条 国は、部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、地方公共団体の協力を得て、部落差別の実態に係る調査を行うものとする。
附 則
この法律は、公布の日から施行する。

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