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短歌

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短歌の連作をまとめています。
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#ひとつぶやき短歌

短歌「さよならグッドモーニング」(18首)

g 00 d M oRn I N g 斜陽シテ目がまわり超高速度で落下し定点 オーディオの音を抜き取り味見して噎せた入道雲の終わりに 路の傍に落ちてる花を噛み千切り匂いを嗅いだ探索犬B 朝靄の雑踏の隙間駆け抜ける閃光一筋フラッシュバック 蜘蛛の巣が地球をさらいに来るらしい試験は忘れていい雰囲気だ 貪欲にあの子の窓を這う蔦は血管らしく取り払えない ざらざらと小川に流るる太陽をつまむと白く溶け落ちていく 足元のレールの終わりが見えなくて線路と呼ぶのをやめ

短歌『吐息の見える街角』

『朝』 1.海の陽もぼろい硬貨も暗がりもシーツに包んで燃やそう全部 2.モザイクにひらいた網の膜間へと紛れる朝は汽笛に霞む 3.さえずりの音階が意味不明すぎる愛を囁くことにしておく 4.だらだらと崩れる放縦精神はベッドでひたに存在を吐く 5.街宿る雨は地上に跳ね壊れゆく、白き朝の吐息は奏 6.色褪せる永遠(とわ)を謳った翌日に囀る鳥は雪に踊りて 『木陰』 1.屋根たちに隠されるあのけやきにはきっと異界の鍵がねむれり 2.なつかしいにおいを寄せる木漏れ日にあな

0-2013.6短歌

『部屋』 1.水槽に消えゆく霞に祈りつつ乾いた花びら千切っては口に 2.セーターの毛玉を食べた心地して猫のとなりにあった空咳 3.いなくなる瞬間気圧を下げるなら気象予報士のままでいたい 4.眠れずに吐いた言葉が合図して僕を海から引き剥がしてく 5.夕暮れに傘差してみるも青じみて浴槽に羽根が落ちていたんです 6.あのゆめの覗き込むのを壊そうと屋根裏に捨てたバットを探す 7.交わす舌灰の味しかないけれどふたつの身体に音素が落ちる 8.白日に消されてくのは焦燥でそれ

短歌「洗濯機的パラロギズム」

{[命にて]=/私の光/は誰か/へと/届いていますか/=[〈〈不安〉〉が鳴りて]} 愛したよ瞳の名札も剥がしたよぜんぶあげるからこっちに来てよ プールから上がったみたいに燦々と注ぐ言葉の花束がある 1と2を交互に数える父と母、倦怠を攫う風を真似して 洗濯機壊れてしまった洗濯機パラロギズムに踊り疲れて 散るだけの桜の頭上に広がるはまだ名前さえない青い空 僕はこう、君はそう、変わらないままで、僕らを掠めて、時だけ過ぎて 植物は恋して廻る太陽へ 真似る目玉はたったのひ