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今日も明日も夫とおしゃべりしたい

これはただののろけ話なのだが、昨日晩ごはんを食べながら夫と話していたら気づくと2時間経っていた。

夫と話すととても癒される感じがする。何かに似ていると思ったら、初めて心療内科に行ったときと同じ感覚だった。


会社の産業医に勧められて行った心療内科の担当医師は、40代ぐらいの男性だった。
私はその場で何を話していいのかわからず、言葉につまりながら聞かれたことにぽつぽつ答えていると、途中から自分の閉じ込めていた感情がずるずると引っ張り出されて涙が出て仕方なかった。医師は無言でティッシュを差し出し、私の話を最後まで聞いた。

帰り道、私は初対面の医師の前で感情をコントロールできず泣いたことが信じられなかった。
同時に、医師にとっては当たり前なのかもしれないが、自分の言葉を一度も遮られることなく言葉に詰まっても最後まで聞いてもらえる、というのはとても癒される体験だった。

どうして夫と話すと癒されるのだろうと考えると、夫もまた最後まで聞いてくれる人だからだと気づいた。

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私は会話があまりうまくないことに昔からコンプレックスを持っている。
関西出身なのに鉄板ネタのようなすべらない話も無ければ、気の利いた返しも上手くできない。趣味は洋裁で一人黙々と手を動かすことに喜びを感じるから、人に熱く布教できる話題もない。

けれど夫は、今日あったことをぽつぽつと考えながら話す私の言葉を決して遮らずいつも最後まで聞いてくれる。
そのことが、大げさではなく私の存在自体もまるっと肯定されたような気持ちになる。

夫は時々、私に「話題が豊富だね」と言う。だけど本当はそんなことはなくて、夫と話していると記憶のスイッチのようなものが押されて過去に読んだ本や自分の体験が次々思い出されてくるのだ。

プルーストの「失われた時を求めて」の冒頭で主人公が紅茶にマドレーヌを浸して食べた瞬間に幼い頃の記憶を思い出すが、それと近いんじゃないかと思っている。

同時に、私は夫の話を聞くこともとても好きだ。夫の中に積み重なってきた地層のような時間に触れるときに、いつも夫を尊いと思う。
この世にたった一人しかいない固有の存在であるということを実感するからかもしれない。

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夫には内緒だが、在宅勤務中の夫がテレビ会議をしている声が聞こえてくるといつも私は耳をすませてしまう。
仕事中の夫の口調は相変わらず優しく穏やかで、私は石原さとみさながら夫に対して何て素敵な人なんだろうと思っている。

そんな夫と結婚している自分の縁とか運の良さが本当にありがたいばかりで、まだもう少し私と一緒にいてもらえるように夫を大切にしようと思った。

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