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ジェンダー平等を、青森県の基本戦略に(一般質問から:上)

11月30日、一般質問を行いました。

この議会は、宮下知事が新しい基本計画案を提案しているもとで開かれています。
知事は「青森大変革=AX」という基本計画を出してきましたが、私としては阪神タイガースの岡田監督をリスペクトし、「青森大変革」をARE(青森レボリューション)と読み直し、三つの提起を行いました。
①こどもの権利保障
②ジェンダー平等
③気候正義
いずれも、世界の潮流を紹介したうえで、本県のあり方を問いました。
知事が、子どもたちに対して“世界に羽ばたく”ことを期待しているので、そうであれば県政自身が、国際政治で普遍的価値として追及されている課題をみずからの問題意識とする県政になるべきだと考えたからです。

「21世紀にはいって20年も経てつくる基本計画。『ジェンダー平等』の旗を高く掲げるべき」。

準備していた再質問の原稿にそう書いていたんですが、時間切れでそこまでいきませんでした。
そこで、ジェンダー平等にかかわって一般質問で提起したことをここに紹介します。


【壇上からの質問】

「ジェンダー平等」を青森県政の基本姿勢に――壇上からの質問

ジェンダー平等を求める声は、国際的な大きな潮流となっています。男女賃金格差の完全な解消をめざすEU、男女同一待遇の声があがるスポーツ界、同性婚の法制化、性的マイノリティーへの差別禁止など、国際連帯の大きなうねりが起きています。
「女性の世界史的復権」とも呼ぶべき新しい時代を迎えるなか、本県でもジェンダー平等を貫くことが必要です。
なお今日は(便宜上)、「ジェンダー平等」という言葉と「男女共同参画」という言葉を、同じ意味で使わせてもらいます。
ジェンダー平等がなぜ大事か。
それは、男性も女性もそうじゃない性自任を持つ人も、一人ひとりが個人として大事にされ、「性による役割分担」のフィルターから自由になり、エンパワーメントされることが、結果として青森の力になるからです。

〇人口動態との関係でも大事な課題

人口動態との関係でも重要な課題です。
第一に、仮に出生率が反転しても、女性が増えなければ出生数は増えません。第二に、出生数が増えても、それを上回る人口流出が続く限り本県人口は増えません。そして近年、若い女性の人口流出が増える傾向を感じています。
2020年に改定された「まち・ひと・しごと創生 青森県長期人口ビジョン」は、2015年から2019年における20~24歳女性の転出超過率が大きくなっているとしています。国勢調査でも調べてみました。ある年の20~24歳の女性が、5年後、25~29歳になったときに何人になっているかをみると、2000年から2005年の比率は97.7%で減少率は2.3%にとどまっていますが、2015年から2020年の比率は90.6%となり、1割も減っていることが分かりました。
県外に出る女性が多いと思う理由について青森県男女共同参画センターは、「経済的魅力に乏しい」とともに「閉鎖的な社会」をあげています。「男尊女卑が根深い。江戸時代かと思うことがある」「職場や地域の体制や間隔が古いまま」という声です。女性活躍と言う角度からは、県の「第5次あおもり男女共同参画プラン」が「妻は家庭を守り、夫は外で働く」という「性別による固定的な役割分担意識や性差による偏見が男女の行動を制約している」と指摘しています。
ジェンダー意識は内面化されていますので、その存在を自覚し、自己点検と改善をはかる努力が常に必要です。私自身も課題にしたいと思いますが、県行政としても必要な姿勢です。またそれを生み出す社会制度をなくすため、政治の責任が問われています。
ところが基本計画案には、この視点がありません。男女共同参画の推進について、家庭内のことは記述がありますが、社会全体の課題になっていません。これでは不十分です。
そこで、青森県基本計画「青森新時代」への架け橋の策定について。男女共同参画を基本計画に位置付け、計画を推進していくべきと考えます。県の見解をうかがいます。

〇男女の賃金格差解消を

日本のジェンダーギャップ指数は125位、先進国最低です。指標が低いのは、政治部門とともに経済部門です。大きな課題である男女の賃金格差について質問します。
日本の男女間の賃金格差はG7で最も大きく、OECD加盟38ヵ国中、下から4番目です。本県の格差は76.9で、全国よりもましだとはいえ、大きな格差が残っています。
その要因は、女性に非正規が多いこと、女性が多い保育や介護などケア労働の賃金が低く抑えられていること、管理職比率の差があります。ただ最近、同じグレードで同じ業務をしている場合でも男女の賃金格差――「説明できない格差」が生じていることをフリマ大手メルカリが公表しました。この格差は日本独特のものだということです。
なお、知事部局は74.0で、大きな格差となっています。
今年、ノーベル経済学賞を受賞したゴールディン氏は、格差是正のために、男性の家庭参加、時間外や長時間労働を前提にした働き方の改善とともに政府の介入が必要だとしています。男女の賃金格差解消のために県が役割おw発揮することを求め、三つ質問します。
第一に、本県における現状と男女間の賃金格差が生じる要因についてうかがいます。
第二に、女性管理職の増加を促進する県のとりくみについてうかがいます。
第三に、賃金格差を解消するためには、非正規雇用者の正規雇用化をすすめることが必要と考えます。県はどのようにとりくんでいるのかうかがいます。

【県の答弁】基本計画との関係について

企画政策部長:
次にジェンダー平等に関する質問のうち、男女共同参画を基本計画に位置付け推進していくべきと考えるが、県の見解についてです。
次期基本計画の策定にあたっては、男女共同参画の理念を十分に考慮した上で、政策・施策体系を設定したところです。
具体的には、政策テーマ「地域社会」の施策として「女性の人財育成とエンパワーメント」や「多様性を尊重する環境の整備」を位置づけています。また、政策テーマ「こども」の施策「社会全体で子育てする環境づくり」では、主な取り組みとして、家庭生活における男女共同参画の推進を、政策テーマ「しごと」の施策「持続的・安定的な労働力の確保」では、女性やシニアなどの多様な人財が能力を発揮し活躍できる環境づくりの推進を掲げ、男女共同参画をすすめることとしています。さらに本計画の第6章では、多様な主体と共に計画を着実に推進していくために必要な事項として、SDGsの理念を踏まえた各種施策の展開を記載しているところです。
県といたしましては、SDGsのゴールの一つであるジェンダー平等も含め、男女共同参画の理念を尊重しながら本計画を推進していきたいと考えています。

【県の答弁】男女の賃金格差是正について

商工労働部長:
本県における現状等についてです。
厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、本県における一般労働者の月額賃金は、男性が267,400円、女性が219,100円となっており、男性の賃金を100とした場合の女性の賃金は81.9で前年に比べて格差が2.3ポイント縮小しているところです。
また、厚生労働省の「令和4年版働く女性の実情」によると、男女間の賃金格差の要因は、役職の違いよる影響が最も大きく、ついで勤続年数の違い、労働時間の違い、学歴の違いなどと分析しています。

環境生活部長:
男女の賃金格差解消に関するご質問のうち、女性管理職の増加を促進する県の取り組みについてお答えいたします。
性別に関わりなく、あらゆる分野において個性と能力を十分発揮できる男女共同参画社会を実現するためには、女性の管理職や役員の増加を促進するなど、政策方針決定過程に女性の参画を拡大していく必要があります。
女性の管理職の増加は、男女の賃金格差の解消に資するとともに、企業等の意思決定において多様な視点が確保され、本県の経済や企業の活性化にもつながるものと認識しております。
女性の管理職を増やすためには、経営者層の意識改革や働きやすい環境の整備に加えて、家庭内でも家事や育児、介護などの負担が女性に偏っている現状を解消していく必要があります。 また、女性が自らの意思と能力を高め、主体的に活躍ができるよう、研修機会の増加やチャレジを促す機運の醸成が必要です。
このため県では、仕事と家庭のジェンダーギャップ解消事業において、県内の商工、農林水産、建設、金融の団体で構成する、あおもり女性活躍推進協議会で取り組みの状況を共有したり、男性の家事参画の促進などにとりくんでいるところです。
また、県男女共同参画センターにおいてキャリアアップを図りながら、指導的地位や意思決定において活躍できる女性人材の育成に向けて、青森ウィメンズアカデミー、働く女性リーダーコースなどを実施しております。

商工労働部長:
非正規雇用者の正規雇用化への県の取り組みについてです。
県では、非正規雇用者の待遇の改善をはかり、雇用の安定をはかるという点から、非正規雇用者の正規雇用化を進めるため、正規雇用を希望する方々と県内企業の双方に向けた取り組みを進めています。
具体的には、正規雇用を希望する方々が抱える課題について、ジョブカフェあおもりや県内三市に設置しているサテライトスポットで相談対応するとともに、正規雇用に必要となるスキルを習得するためのセミナーの開催や資格を取得するための職業訓練などを行っています。 また、県内企業における正規雇用化を促進するため、未経験者など多様な人財を活用する手法や正規雇用への転換を支援する国の助成制度を紹介するセミナーを開催しているほか、企業見学会や職場体験会の開催を通じて、両者のマッチングを支援しています。
県としては、今後とも関係機関と連携しながら、正規雇用を希望しながら非正規雇用で働く方々を積極的に支援していきます。


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