コロナ禍と日本について考えてみる(2021.5.1)

コロナに関する政府批判が強くなっていると感じるが、何に対する批判なのかというと、以下の2点ではなかろうか。
 
①検査体制について
②人口当たりの病床数は世界一なのになぜコロナ用に増やせないのか
 
検査は当初クラスター対策なのでむやみに増やさない、というような理由だったと思うが、どちらにしても、クラスター対策が失敗したと仮定して、戦略切替可能にするための猶予は1年あった。
現在もよく分からない対策で、そもそも濃厚接触者を追うのを諦めた時点でクラスター対策は出来ていない。
 
救急の病床数が増やせないのは医療制度の問題がどうやら大きいらしい。
これも欧米が爆発的な感染拡大をしているのを見ながら、その原因が分かっていながら何もしてこなかった。
https://www.medius.co.jp/asourcenavi/numberofbed/
 
 
検査については、コロナ発生当初私も書いていたが、やはりオリンピックという存在が意識下にあったと思っている。
これはあくまで自論ですが、今だにオリンピックを開催しようとしているところを見れば、あながち間違ってはいないと思っている。
感染者数を多く見せたくない、というスタートを切ったばかりに、方針転換をするタイミングを失って、その後も変えられずに今に至る。
だから感染者数は全くあてにならないが、重傷者数と死者で日本の限界値は想定できる。
日本の感染者数は世界と比較は出来ないが、発表されている数より多いだろうということはもう多くの人が感じている。
 
そして今最も重大なのは重症患者の受け入れが出来ない状況になっている関西圏だろう。
検査を増やして感染が分かったところで、病床数は増やせないこともあって積極的でない可能性もある。
接触確認アプリCOCOAを入れ、感染者との接触の疑い通知が来て保健所に連絡しても、検査に至らないケースもある。
運用方法をしっかり考えずにアプリだけとりあえず作ったみたいな印象だ。
 
病床に関しては必ずしもその数が救急に回せない事情があるにせよ、どうやら制度や利権が邪魔をして政府はそこにメスを入れていないようだ。
 
そして結果、国民に『お願い』することしかできないのが日本の現状なので、いよいよ皆怒りを口にし始めたのだと思う。
 
ところで、上記2点について”数少ない”首相の記者会見で質問をした記者がいた。
たまに紹介するビデオニュースドットッコムの神保哲生さんだ。昨日は朝生にも出演したようで…
https://www.videonews.com/
 
 
世界報道自由度ランキング2021が出たが、日本は67位。
https://yorozu-do.com/press-freedom-index/
 
記者会見のルールとかジャーナリズムとか話し出すとキリがないのでここでは省くが、先進国では著しく低い数字が続いている意味を顕著に示すことの一つが、この首相会見であろうと思う。
ちなみに民主党政権時に一部開放された記者会見の流れがあったので、ネットメディアもこの場にいることができている。
 
この神保さんは、安倍前首相に検査について質問し、菅首相に病床数について質問をした。
それ以外のメディアはしないしできないのは利権による忖度で、それもあるから自由度が低い。
 
フリーランスでスポンサーのいない神保さんだからできる質問だった。
他にも江川紹子さんもよい質問をしている。
 
しかし、さら問いというのが出来ないために、頓珍漢な回答をしても逃げられるのが現在の記者会見(と呼べない政府広報)だ。
 
私は常々、こういう問題を扱うときは書いてきたが、報道の自由は本当に大事で、国民が知る権利をステルス的に奪われている状態はとてもまずいと思っている。
今回も大手メディアが政権と癒着していなければ、スポンサーに説得できるだけの矜持があれば、政府に対して厳しく迫ることができたし、そうなれば政府もやらざるを得なくなる。
震災時は民主党政権だったが未曾有の災害ということもあり、報道管制が敷かれたが、質問の時間をしっかりとったし、対応をしてきた。
その解答が正解とかではなく、そういう質疑応答がしっかりあったということだ。
 
安倍政権からは完全に権力側が指定する方法に記者クラブが準じてきた。
報道各社との会食が問題になるのはそういうことなので、たかが飯だがそれはとても重要なことなのだ。
 
 
今のコロナ対策で怒っている人たちも、こういう事情があることを知らない人もいるだろう。
大手メディアが政権と癒着しているし、スポンサーが絡むと忖度するから、テレビと新聞だけ見ているだけでは分からないことがある。
 
それを補完するのは、今では週刊文春だろう。
文春があって救われている。
日本のおじさんは週刊誌が好きだから、結構事情を知っている人も多いと思う。
 
しかし、日本のジャーナリズムが今や週刊誌に支えられているというのは何ともお粗末なことだろうかと思う。
 
 
このコロナ禍の惨状を見て勘弁してくれと思う人は、まずは政権交代ができるように野党を育てることを考えて欲しい。
確かな野党は共産党だけだが、政権を獲ることは絶対ない。共産党という名前を使う限りにおいては。
民主党系に期待できないのも分かるが、それではいつまでたっても日本は変われない。
ひと昔前は民主系も新自由主義を進めようとしていたから似たり寄ったりだった。
自民党に対抗できる政党を、国民が育てていかないとダメなのであり、そのために幾度も政権交代を繰り返したらいいと思う。
そのダメなところがしっかりウォッチできるように、まずは報道自由度ランキングが上がる改革をして欲しいし、そうでないと常に臭い物に蓋をする、という伝統が復活してしまうだろう。
 
国民は権力を監視しなければならないし、それは義務なんだと思う。
ただでよい生活なんてやってこないし、もう大分落ち目になってしまったこの国は、政治について考える時間を、各自少し作らなければならないと思う。
 
そしてポスト資本主義時代を、日本が中心になって作っていけるようになれば最高だと思っている。
コロナ禍を無駄にせず、この現状をしっかりみつめ、元の生活に戻ろうというのではなく、行き過ぎた資本主義の修正を踏まえた、自殺をする人がいないような、新たな豊かさを創造できる改革が可能となる日本になって欲しい。