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世界中で大ヒット。人気ゲーム「REAL STAGE」の件。 (ショート・ショート)

ああ。こんにちは。今日も、あったかくて良いお天気ですね。最近、調子はいかがですか?

今日はゲームのお話をさせてください。そんなに長くないので、ほんのちょっとだけお付き合いくださいね。

私たち人類は、太古の昔っからゲームが大好きなんです。あなたもゲームしますよね?トランプとか、スゴロクみたいなアナログみたいなものから、テレビゲームとか、スマホなんかのゲームもします?ああ、そうですか。あれ、ハマっちゃいますよね。うっかり課金しちゃったりとか。わはは。

でもね、わたしの知ってるゲームシステムは、それよりも、もっとすごいんですよ。「ゲームプール」って言いましてね。映像とサウンドだけでなく、「触った感じ」もリアルに体験することができるやつです。「触覚なんとかファーム」とかいう技術らしいです。自分から言っといてアレですけど、詳しいことは知りませんので、聞かないでください。わはは。

コレすごいんですけど、見た目は全然イケてないんですよねぇ。簡単に言うと風呂ガマです。「棺おけの形した風呂ガマ」ですよぉ。イケてないですよねぇ。この棺おけの風呂に専用のトロトロ液体を入れるんです。んで、そこに横になって浸かるんです。そうです、人が横になるんです。ゲームのために、です。ドロドロの棺おけに、です。さっきの「触覚なんとか」の技術で、ドロドロの液体が「触った感じ」を伝えてくれるんですって。あ。詳しいことは聞かないで。へへへ。

これが、現実と区別がつかないほど、かなりリアルなんですよ。

こっからは、歴史の教科書に載ってた話です。先に言っときますけど、受け売りですからね。

このゲームシステムの開発にかかわったY博士ってのが、昔、いたらしいんです。

彼の開発した初期ゲームシステムって、ゴーグルみたいなやつを頭にかぶってイヤホンして、視覚と聴覚に訴えるものだったんですけどねぇ、いや、これはこれで当時は話題になったんですよ。でも、これリアル感に限界がありましてね。どうやったら、リアル感を高められるか、と。

で、結局、Y博士が最後の最後に行き着いた結論が「ゲームプレイ中に、ゲームであることを忘れさせる」システムだったんですよ。ええ、もちろん記憶をなくすのは、一時的なものでゲームが終わったら思い出すんですけどね。

いやいや、これが世界的な大発明でしてね。Googleやら、アップルやら、特許の買収合戦がすごかったんです。ある国なんて、国土の半分と交換に買収交渉したんですよ。びっくりですよねぇ。

ま、いろいろありまして、結局、Y博士は、どこにも売却しないでシステムの設計図から、特許まで全てをオープンにしましてねぇ。そっからですよ、人類が大きく変わっちゃったのは、、、、。

いまでは、人類のほとんどが「ゲームプール」の中にいるんですよ。150億人くらいですかねぇ。プールの外にいるのは、メンテナンスのスタッフだけ。たった40人ぽっちですよ。150億人のメンテナンスするのに、40人ですよ。すごいですよねぇ。

え?みんながやってるゲームですか?

いろいろですけど、ほとんどの人が「REAL STAGE」っていうやつですね。これ、世界中で大ヒットの一番人気です。

現実世界とほとんど変わらない仮想世界で生活するやつなんですけどね。この「REAL STAGE」に130億人くらいいるんですって。「いるんです」って言っても、ホントはゲームプールの中に、ぷかぷか浮かんでるんですけどね。ははは。ぷかぷか。

このゲームの人気のポイントは、なんといっても、「産まれてから死ぬまで、人生まるごと体験できちゃう」とこです。

もちろん恋愛もあるし、結婚もあるし、青春もあるんです。でも、楽しいことばっかりじゃないですよ。困難あってのゲームですからね。学校行って、仕事して、学んだりして、どんどんスキルアップしていくんです。時には特殊な能力を身につけたりすることもあるんです。僕の友達なんか、なんと「将棋」の能力がすごくて、将棋の「能力メーター」が振り切れちゃってましたからね。ゲームの中で、なんとか名人とかになってましたし。ホントいろんなスキルがあって、身につけるのが楽しいもんですよ。

、、、、。

いろいろ、学んで、いろんなスキル身につけたら楽しいですよねぇ、、。

、、、、。

あ。覚えてます? 最初に言いましたけど、このゲームは「ゲームプレイ中に、ゲームであることを忘れさせる」システムですから。

、、、、。

もっかい言いますね。

ゲームやってる、ってことを忘れちゃって、現実世界だと思っちゃうんですよ。もちろん、記憶をなくすのは、一時的なものでゲームが終わったら思い出すんですよ。

、、、、。

、、、。

うーん。

、、、、、、。

えーっと、わたしがお話ししたいのは、以上なんですが、、、。

んー、ここまで、お話ししても、まだダメかぁ。困りましたねぇ。

、、、。

もう、こうなったら言っちゃいますけど、驚かないでくださいよ、、、。

、、、。

この文章読んでる、あなたは「REAL STAGE」の中にいるんですよ。

もちろん、ゲームのプレイ中は記憶を消してるから、分かんないんでしょうけども。

ただねぇ、あれなんですよねぇ。あなたのプレイ見てると、何年も、ずーっと冒険はじめてないんですよねぇ。

せっかくのゲームなのに、もったいなくて、もったいなくて、見てられないんですよ。それで、あなたにアクセスしてるんです。

え?わたしですか?

わたしは、ただのメンテナンススタッフですよ。

ほんとは、ゲーム中の人に話しかけるのは禁止されてるんですけど。あなたのプレイ見てたら、もう黙ってられなくて。

いや、ほんとに、もうすこし冒険しないと楽しくないですよぉ。このゲーム。

あ!監視員がやってきたんで、この辺でアクセス切りますよ。あいつにバレたらクビになっちゃいますんでね。

じゃあ、あと数十年分のタイムが残ってるんで、たっぷりゲームを楽し
(※アクセス切断により、一部のデータを受信できませんでした)



(※昔、書いたショートショートっぽいのが発見されたので投稿してみましたw)

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