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ドラは上下対称なのか?

(3月11日追記:福地先生に「左右→上下じゃないの」と指摘されたんで修正)

違いますね。

ドラ表示牌がめくれているからです。その局で真っ先に示される確定情報。

では、具体的にどのような違いが起こるのかを、一旦、字牌ドラのことは忘れて、数牌ドラ全体の集合において考えてみます。


【19牌ドラの一般論】


まず、ドラが19牌の時の、手組、立直、副露、押し引き、読み等に関する一般論を述べます。これらは、後に述べるドラが28牌、37牌、46牌、そしてドラが字牌の時も、同様に説明します。

1と9は、言うならば、SARSと話題のウイルスが遺伝子的に似通っているように、お互いに近い性質を持ちます。以下に例を挙げます。


・ドラが使い辛い最端の牌なので、順子に組み込みにくい。よって、手組全体が非順子系の手役である、ホンイツトイトイチートイチャンタ系に寄る

・上記の手役と相性の良い、字牌の価値が高まっているので、序盤から数牌の切りが目立つ捨て牌になりやすい

・逆に言えば、役牌から切り出している者がいるならば、それは、立直赤1やタンピン系が望める手牌構成であると読める

ドラが使い辛いので立直の打点は下がる。よって、押せる、押し返されるケースが増える。また、非順子系の手役が増えるので、そもそも立直発生率が下がる

・局の聴牌率が下がり、聴牌巡目が遅れる

流局率が上がる。もしくは、低打点への差し込み率が増える。なので、手が悪いからと何でもかんでも変則手に向かったり、立直や副露に思考停止中抜きベタオリしたりするのも良し悪し。ケイテン絡みの知識と技術が最も求められるドラであろう(数牌ドラの中では)

闇聴ケアは下がる

ドラを全く使えないクイタンの打点は大きく下がる。よって、押せる、押し返されるケースが非常に増える。

・仮に捌きのクイタンをするにせよ、1副露目をどの牌から鳴くか、2副露目中にどの程度安牌を持つべきか、対立直へのどの牌を何巡目まで押せるのかといった具合に、他家に対する読みや統計学的知識や牌の正確なカウント等の技術が求められる

・ただ、これはそもそも、安いクイタン一般に当てはまる説明ではある。ドラが内側に寄ると、マンガンをベースとした面前と副露の打ち分け、他家の打点上昇、中盤以降での速やかなオリ等、むしろ副露判断や対副露読みやケイテンの押し引き等が簡単になると考えているので、ここでクイタンの一般論を述べた。安いクイタンを多用するプレイヤーは、様々な戦術論と戦術書の流布と、実際の天鳳民のデータ等により、激減していると想像している。

・Mリーガー黒沢咲プロのように、安いクイタンや愚形リーチや安手押し等の、分散が激しい局面への誘導は避けて、要すべき知識とヒューマンエラーとメンタルのブレを削減する、という戦略は、少なくとも現在の人間のレベルを相手にする我々プレイヤーにとっては、とても優秀であろう

副露による牽制効果として一般的に挙げられるものは、他家の手順を歪める他家を急がせて面前を放棄させる他家をオリさせる等々だが、ドラが19牌の場合、この効果が薄いのは最早解説するまでもない

・ただし、非順子手、特に、マンガンになり易いホンイツは別である。牽制効果が十分に望める。他家の手牌価値は低いので一人聴牌3000点の収入が狙える。19牌が比較的使い易く、ドラと手役の相性が良い

副露による牽制効果はメリットだけではない。デメリットは、手牌価値が低い他家のオリを誘導してしまうこと手牌価値が高い他家の一人押しや後手追い付きを誘導してしまうこと他家に自身の手牌構成と手牌進行と意図といった「情報」を与えてしまうこと

副露は一般的にその副露と手牌価値の高い他家との一騎討ちを誘導する行為とみなせる。麻雀は他家が3人もいるので、鳴いて優雅な一人旅、とはなかなかならない


思い付くものをなるべく挙げてみました。もしかしたら漏れがあるかもしれないので、後日に適宜加筆修正しときます。このnoteの最初なので記述はくどめにしました。以下は重複する内容はなるべく避けますので、上記をここで是非理解して頂ければ。

以上がまず、ドラが19牌の時の一般論です。次に1と9での違いを考えてみます。

ドラを、面子でより使い辛いのは、19どちらでしょうか。

9ですね。ドラ表示牌が8なので789という面子が作りにくくなっています


【ドラが1と9での違い】


ドラが9の場合に、1の場合と比較して、どのような変化が、手組、立直、副露、押し引き、読み等で起こるのか、という視点で説明していきます。


789という面子が作りにくくなっているので、打点、聴牌率、立直率が下がり、一方、流局率と低打点差し込み率の合計値が上がる(局消化率とでも名付けたい)

・順子では使い辛いドラを使う為に、手牌構成が、ホンイツ、純チャン、チャンタ、トイトイ、チートイに寄る

・特に最低でもドラ単3900が狙えるチャンタ系の価値が上がる為に、関連牌である、ヤオチュー牌の価値が高まる

ドラ表示牌の8は非常に貴重な牌となるので、例えば自身の配牌に既に8があれば、自身の手牌価値が上昇するのは勿論、他家の手牌価値も減少する。また、他家の手牌構成と手牌進行度に対する読みの為のキー牌ともなる

・トイトイドラ2、あるいはホンロートイトイ狙いでの、序盤早々のオタ風ポン!が、しばしば見られる。面前での手牌進行の価値が下がっているからだ。また、副露による手牌進行でも、字牌を抱えられるならば安牌には困らず、仮に最悪手詰まったとしても放銃打点は下がる、という思考をプレイヤーは持つからでもある。チャンタ系狙いで19牌をいきなり両面チーも定番

・この類の変則的な鳴きにどう対応すべきかは、ズバリ「人読み」を推奨したい。りつみさんなら無理鳴きは無いからオリ、ZEROさんなら何でも有り得るから押し等。麻雀にはファジーだが無視はできないという要素が多いが、この「人読み」は何故か、あてにならないと軽視されがちだ。麻雀の技術は「人読み」に限らず、序盤読みも手組も副露読みも愚形立直判断もケイテンプッシュも、どれも全ては、損益の境界線が曖昧なのだ。その曖昧さを出来る限り受け入れて、如何に思考のネットワークを広げられるかが上達の鍵なのだ。「人読み」は今後は研究が進む領域であろう(例えば天鳳最上位プレイヤーの方々は、公にしてないだけで、既に色々とプロファイリングしてそう)

闇聴チートイ6400は要注意。自身の手牌価値が低いので、放銃するとメンタルにくる

・9はチーされにくいので切り易い。赤1あれば、さっさと処理して、立直赤1狙いというのもよくあるパターン。

・チーされにくいので切り易いということは、上家に対する牽制効果は下がっている


ここで、1から9を比較した場合に視点をひっくり返してみます。


・ドラ表示牌は9なので、ドラ面子とは関連が無く、123という面子が作り易くなっているので、チャンタや純チャンは勿論、立直がし易くなっている。123三色も。手牌価値が明白に高い

こんなところでしょうか。後日思い付いたら書き足しときます。他にアイデアある方、是非Twitterやnoteのコメで連絡して頂ければ。麻雀は、いざ要素を全部書き出そうとすると大変だと分かります。

余談ですが、アナログ的思考に対して、一見は論理めいた数理的記述で自信満々に否定するのは見飽きたパターンです。単にそれは非論理に過ぎない。また、数理的記述でなければ非論理だ、とは私は思わない。こういう話は良くないんで次いきます。


【28牌ドラの一般論】


2と8は、ヒトとチンパンジーのように、お互いになかなか近い性質を持ちます。


・19牌ドラ程ではないにせよ、依然としてドラを面子で使おうとすると、手牌構成が端に寄るので、打点、聴牌率、立直率等が下がる

28牌はタンヤオで使えるので、字牌の価値はドラが19牌の時より下がる

・非順子手率は依然高い

・流局率、低打点手への差込率も依然高い

・クイタンは、ドラ単騎3900↑の手組と副露が有力になる。28牌はドラでも比較的和了し易い


19牌ドラの項目でも色々と詳しく記述したと思うので、このぐらいにしときます。


【ドラが2と8での違い】


ここでも、ドラが8の場合に、ドラが2の場合と比べて、どう変化するのかという視点と、ドラが9の時に既にした考察も合わせて考えてみます。


・ドラが9の時と同じく、ドラ表示牌の7がネックで、相変わらず678と789のドラ入りの面子が作りにくいので、ドラが9の時と類似の考察となる

789の面子が作りにくいのに加えて、ドラが9の時に狙えたドラ単のチャンタ系は勿論無く、チャンタ系の価値が下がる

89のターツは最愚形とみなせるので、9はドラ絡みの牌とはいえ、評価が難しく、孤立役牌との比較が微妙になる

・8を使おうとすると、ホンイツ、トイトイ、チートイ、クイタンがメインになる

・特に、守備的かつ後手高打点である、チートイドラ2狙いの手牌進行が増える


ここでドラが2の場合に留意するべき点についても挙げてみます。


・ドラ表示牌が1なので、123より234の面子が出来易く手組がタンヤオに寄る

・タンヤオに寄るということは、逆に言えば、非順子系の手組が減るので、つまり、ドラが2の場合は、立直とタンヤオの、いわゆる手なりの手組、捨牌が増える。手牌価値が上がる

・クイタンで、24のカン3待ち23の片アガリ4待ち、あるいは2単騎待ち等のドラ絡みで盲点となり易い待ちが増えるので、オリ打ち、勝手読み、5のノーチャンスへの過信等に要注意


ドラが2と8とでは、2の場合は123は作りにくいですが234は作り易いです。8の場合は7がネックで678と789共に面子が作りにくいです。

2の場合は234の面子の分、タンヤオにもなり易いので、総合すると、ドラが1と9の時よりもドラが2と8の時のほうがより大きな違いがあるとみなせるでしょう。SARSだとかチンパンジーだとかの例えを逆にすべきでした。


閑話休題します。

最近『サピエンス全史』を読んだんですが、世界史、考古学、社会学等に対する、著者ユヴァル・ノア・ハラリの広範なる知識と深遠なる考察と興趣溢るる文章表現に驚嘆しました。諸家絶賛の嵐となったのもむべなるかなと思いました。

ただ、こういった一般向けの概論というものは、アカデミズムに属する専門家からは白眼視されるのが常で、故ドナルド・キーンの『日本文学の歴史』も日本文学界からは「書こうと思えば俺でも書けた」「厳密さに欠ける」「専門家はその専門領域のみを語るべきだ」等と、批判の声が強かったのを思い出していました。日本の文学界は現代・近代・江戸・平安・万葉、等々に専門が細かく区分され、専門家は各々の専門に閉じ籠り、お互いに口を出さないというのが暗黙の了解になっていると聞きます。

まあ、しかし、私のような一読者からすると、結局は先に書いたもん勝ちで、書かなかったあんた達が悪いのでは、今さら嫉妬しても…と思います。

今回のnoteの内容は、いつかは書こうかなと考えていたアイデアでして、ずっと先送りしてたんですが、ここ数日色々ダラダラ読書してる内にふと、「誰かに先に書かれたら嫌だな…」という焦燥感に襲われて急いで書き出したというのが今note執筆の動機でした。昔、Twitterでも類似の内容を軽く呟いたことがあって、そん時は結構いいね貰ったんですが、つまり誰か覚えていてもおかしくないなと。なんか最近はTwitterで手の内を明かすのを少し躊躇うようになりました。

最近、お知らせ本や、りつみ本や、平澤本や、その他諸々の麻雀本を拝読していたのですが、いずれも優れた内容で勉強になりました。ただ、内心ほっとしたのは、私のnoteの内容とあんまり被ってないな、例えば序盤読みについての記述は極めて少ないなという発見でした。やはり、どうせ書くなら、新しい、斬新な視点を、皆さんにお示ししたいものです。noteには文量の制約が無いのもメリットです。


ここで、一旦、19牌ドラと、28牌ドラの実戦譜を取り上げてみたいと思います。


【19牌ドラの実戦例】


まずMリーグでの内川pの優れた手組を紹介します。

ドラ1mについての性質は既に説明した通りですが、この局面で着目すべきは、他家の手牌価値の低下です。なので、一見、手牌価値に乏しそうな自身の手牌をタンヤオ牌に寄せ易くなっています。他家の押し返しが怖くない。発残しはアシスト狙いでしょうか。内川pはこの局、後手タンピン押し返しか、ベタオリか、という思考でいます。実戦は次巡ツモ6mで以下、

手牌が内側にぐいぐい寄ってきました。当然3s先切りなどはしません。他家の手牌価値が低いからです。(ちなみに、序盤の他家の切りから、他家の速度が遅いと分かるので、それもブクブクを後押ししてます。興味ある方は私の以前のnoteを参照して頂ければ)

先の画像で、タンピンに気付ける、タンピンに寄せて守備力を減らしても構わないとみなせる、内川pの高い雀力が垣間見れた一局でした。内川pには正直これまであまり関心が持てなかったんですが、急に好きになりました。ちなみに、俺でもこうなるよと思われている方は、果たして先の画像で打発とした場合、本当にツモってきた6mを残せているのか、自問してみましょう。次行きます。

僭越ながら私の鳳南から。

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