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【ビジネス書解説】「未来の年表 – 人口減少日本でこれから起きること」

こんにちは。
今回は、河合雅司さんの「未来の年表 – 人口減少日本でこれから起きること」について解説していきます。

はじめに

日本が少子高齢社会にあることは、誰もが知る常識です。しかし、その実態を正確にわかっている人はあまり多くないです。50年、100年単位の人口推移を見ると、日本人はゾッとする速度で減少していきます。2015年時点において日本の総人口は1億2700万人でした。それが、40年後には9000万人を下回り、100年も経たないうちに5000万人ほどになる見通しです。これほどの速度で人口が減るのは、世界史において類例がないです。歴史上、初の危機がいまの日本を襲っています。今後、海外に移住する予定はなく、日本で過ごそうと考えているのであれば、まずは日本の少子高齢社会の実態を正確に把握してください。

今回の記事では、日本の少子高齢社会に関する知識を8個のポイントにまとめています。今回の記事を観て参考になった。面白いと思った人は、いいねやコメントお願いします。


具体的なアクションプラン

【1個目】 2023年、企業の人件費がピークを迎えて企業を苦しめる

2023年以降、5年間で労働人口が約300万人も減少します。その一方で、団塊ジュニア世代が高賃金をもらう50代に突入します。労働人口が減少する一方、人件費は高くなり企業は非常に苦しい状況に陥ります。

日本の労働人口の減少は目を覆いたくなるほど悲惨な状況です。国勢調査によれば、15歳以上の人口に占める労働人口は、2010年から2015年の5年間で約295万人も減少しています。さらに、内閣府が公表した労働人口の将来推計では次の3つの条件、
1.合計特殊出生率が2030年までに2.07まで上昇
2.女性の労働力率が現在の50%から2030年には85%、2060年には90%まで上昇
3.60歳以上の労働力率を5歳ずつ引き上げる
を満たしたとしても、2030年には2013年と比較して、労働人口が300万人も減少するとされています。そしてさらに、2030年から2060年にかけては、30年間で約700万人も労働人口が減少します。ちなみに、先ほどあげた3つの条件を省いて、現在と同じ条件で計算すると、2030年には約900万人、2060年には約2700万人も労働人口が減少します。

労働人口が減少すれば、あらゆるサービス提供が不足する可能性があります。特に高齢者が増加すれば、医療や介護に関するサービスは確実に足りないです。さらに、金銭面で考えると、確実に社会保障を支える世代の負担は増加します。高齢者1人の医療費、介護費、年金などの補償を労働者1人で肩車するように支えなければいけないです。このような状況になれば、若者は消費活動を制限して、自分の将来のためにお金を溜め込み始めます。さらに高齢者も自分の長い老後生活のお金を確保するために消費活動を制限します。そうなると、日本の景気は悪化します。労働者の所得は益々低下します。企業体力が乏しい中小企業は倒産します。日本が足を踏み入れている少子高齢化は、これ程に恐ろしい未来への第一歩目です。今の日本が直面している問題がどれほど深刻かを理解してください。そのうえで、自分の身の振り方を考えてください。


【2個目】 2025年、ついに東京都も人口減少へ

世界的な大都市である東京も、いずれ少子高齢化の影響により苦しむことになります。2015年の国勢調査によれば、東京都の人口は2025年でピークを迎え、そこから人口が減少していく見通しです。その一方で、東京都の高齢者人口は増加していきます。2015年に301万人だった高齢者人口は、2040年に394万人、2050年に419万人になる見通しです。要は、2025年以降は人口が減少する一方、高齢者人口は増加し続け、高齢者比率が急激に上昇します。

東京の高齢化が急速に進む理由は大きく2つあります。まず1つ目の理由は、高度経済成長期に夢見て地方から出てきた「かつての若者」の高齢化です。団塊世代が85歳以上となる2034年になると、日本の80歳以上の人口がピークを迎えます。その数は、1630万6000人の見通しです。日本の人口である、1億2000万人のうち1630万人、つまり約8人に1人が80歳以上です。この超高齢化の波は、若者の街である東京にも確実に影響を及ぼします。

続いて、東京の高齢化が急速に進む2つ目の理由は、高齢者の東京への流入です。現在、東京の人口が増加している理由は、高収入を求めて流入する若者の影響だけではないです。高収入の息子や、娘が住んでいる東京に、地方に住んでいた親が助けを求めて引っ越しています。同居する場合もあれば、近隣に物件を借りて住む場合もあります。東京に住んでいた人が高齢になることに加え、高齢者が流入している結果、東京都は現在も高齢者の人口が増加しています。

ちなみに、東京都が高齢化すると、医療や福祉のサービスが確実に不足します。東京はこれまで、ビジネス中心の街づくりをしてきました。そのため、介護の基盤整備が遅れています。施設整備率は低く、在宅サービスも整っていないです。家族や地域の支援をあてにしようにも、東京は地価が高い影響で住居が狭いため、在宅介護が困難な場合が多いです。医療に関しても、東京都は地価が高いため簡単に病院を増やすことができないです。結果的に、地方よりも高齢者が多いにも関わらず、医療機関は地方よりも少ない状況に陥ります。「大都市・東京」の高齢化は、地方の高齢化とは少し違う混乱を招くと考えてください。


【3個目】 2030年、百貨店、銀行、老人ホームが地方から消える

人口が激減する日本では、国土の均衡ある発展を目指すことは不可能です。地方では、人口減少や、高齢化に伴い衰退の一途をたどります。内閣府がまとめた報告書「地域の経済2016」では、2030年には日本の80%、38道府県で生産力不足に伴い需要を賄えなくなるとされています。

生産力不足は、あらゆるサービスの維持が困難な状況を招きます。国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」では、恐ろしい未来が描かれています。その内容は、地方からあらゆるサービスが消滅する内容です。報告書の中には、「存在確率」という言葉が使われています。「存在確率」とは、サービス維持に必要となる需要規模のことです。例えば「生存確率50%」は、その地域の人口が一定数を下回ると50%の確率でサービスが存続できないことを意味します。ではここから、いくつかのサービスの存在確率をお伝えします。

まず、食料品の小売店、郵便局、一般の診療所は、地域の人口が500人の場合で存在確率80%です。つまり、このようなサービスはある程度は人口が減少してもサービスの存続が可能です。一方、老人介護福祉施設は人口500人の場合、存在確率50%です。要は、高齢化した過疎化地域では老人介護施設の存続は難しいです。さらに、銀行は人口9500人の地方自治体であれば存続可能ですが、人口が6500人を下回ると撤退を始めます。診療所ではなく一般病院規模の医療施設は人口5500人で撤退を始めます。

さらに、2040年の人口予測から存在確率を計算した場合、百貨店は38.1%の自治体で存続が難しくなります。大学は24.5%、有料老人ホームは23.0%、ハンバーガー店は22.7%の自治体で存続できなくなります。サービスの存続が難しくなれば、住み心地が悪くなることに加えて、そこで働く人が減り、お金の動きも乏しくなります。そうなれば、さらに地方の税収は減少し、衰退の一途をたどります。政府が描く未来予測には、このような恐ろしい未来が描かれていることを理解してください。


【4個目】 2035年、未婚大国が誕生する

日本では、年々、婚姻件数が減少し続けています。厚生労働省の「人口動態統計月報年計」のよると、2016年の婚姻件数は620,523組です。この結果は、前年の2015年と比べて14,633組も減少しており、戦後最小を更新しています。このような話をすると、少子高齢化が進んでいるため、婚姻件数が減少するのは当たり前と思う人もいます。ただし、実は婚姻件数が減少している理由は、少子高齢化だけが原因ではないです。

婚姻件数の減少を別の角度から見てみます。日本のデータ統計では、50歳まで結婚したことがない人の割合を「生涯未婚率」と呼びます。「生涯未婚率」の割合は、1990年を境にうなぎ上りに上昇し続けています。2015年時点の生涯未婚率は、男性の24.2%、女性の14.9%です。要は、2015年時点では、男性の4人に1人、女性の7人に1人が50歳までに結婚したことがないです。そして、生涯未婚率は今後も増加し続ける予測が立てられています。2035年には、男性の3人に1人、女性の5人に1人が生涯未婚の「未婚大国」が誕生する見通しです。

もちろん、結婚するもしないも個人の選択です。結婚した方がいいとは言わないです。しかし、国家全体で考えると、婚姻件数の減少は日本の人口減少に直結する大問題です。日本は世界的に見て、結婚と出産の結びつきが強いです。日本では、婚外子、要は、未婚の子の出生率は2.29%です。それに対して、婚姻前に子供が宿る「できちゃった婚」で生まれた子の割合は25.3%です。つまり、「出産🟰結婚」という意識が日本は非常に強いです。日本では婚姻件数の減少は、少子化、並びに人口減少を加速させます。結婚するかどうかは個人の自由ですが、国家的には改善すべき問題であると考えてください。


【5個目】 2045年、東京都民の3人に1人が高齢者になる

東京都がまとめた報告書「都民ファーストでつくる「新しい東京」」には、東京都の高齢化率推測が示されています。その内容によると、2015年時点では東京都の高齢者率は22.7%です。全国平均は26.6%のため、やはり東京は全国的に見ると高齢化のスピードは遅いです。しかし、東京都も将来的には高齢化の波に飲み込まれます。東京の高齢者率は、2030年には24.3%、2045年には31.3%になると予測されています。つまり、2045年になると、東京都民の3人に1人は高齢者です。

東京都が高齢化していく未来は、他の調査データでも示されています。2010年と2015年の国勢調査を確認すると、東京都では65歳以上の人口が36万3000人増えていることがわかります。他にも、「日本の地域別将来推計人口」によると、2040年の東京都の高齢者数は、2010年に比べて約144万人増えて412万人になるとされています。なんと30年で65歳以上の人口が1.5倍です。

既に高齢化が進んでいる地方の自治体では、もはや高齢者が増えようがないです。先にもお伝えした通り、高齢化と過疎化が進めば、あらゆるサービスがその地域から撤退を始めます。言い換えると、日常生活である程度、不自由のない暮らしをしたり、介護サービスを満足に受けるには人口が多い地域に住むしかないです。だからこそ、満足できるサービスを受けるために高齢者が東京にどんどん移動してきます。その結果、東京都民の3人に1人が高齢者になる時代がきます。地方の衰退は、都心部にも影響を及ぼす国家的問題だと考えてください。


【6個目】 2050年、世界的な食糧争奪戦に巻き込まれる

日本では少子高齢化やテクノロジーの発達、業界別の平均賃金の差など、あらゆる理由が折り重なり農業従事者が減少しています。農林水産省の「2015年農林業センサス」によれば、販売農家も含む農業就業人口は209万7000人です。この結果は、前回調査の2010年と比較すると、50万9000人も減少しています。たったの5年で約20%の減少です。そして、農業就業人口は今後、さらに先細りする見通しです。さらに、農林水産省の資料、「荒廃農地の現状と対策について」によると、2014年の荒廃農地は約27万ヘクタールです。このうち、再生可能と考えられる農地は約13万ヘクタールで荒廃農地の半数にも満たないです。言い換えると、約14万ヘクタール分の農地は、農作物を作ることができなくなったってことです。農業就業人口や、農地の減少は、日本の農作物の生産量を急激な速度で減少させます。

農産物の国内生産量が減少したら海外から輸入すればいいと考える人もいますが、現実の問題はそんなに単純なものではないです。日本の人口は減少していく一方、世界的な人口は現在も増加し続けています。内閣府の「2030年展望と改革タスクフォース報告書」では、2015年時点で約73億人だった世界人口は、2030年には約85億人になるとされています。世界的に人口が増加するということは、世界中で食糧不足が発生する可能性があるってことです。農林水産省の「2050年における世界の食糧需給見通し」によると、世界人口を養うためには、2050年時点における食糧生産量を2000年の1.55倍まで増やす必要があります。このデータは、世界的な食糧危機の可能性を示唆していると同時に、日本がこれまで通り食糧を輸入できるかわからないことを意味しています。人口が減少の一途をたどり経済停滞している日本が、他国との競争で満足な食糧輸入量を確保できるのか。日本の人口減少は、日本全体の食糧危機にも影響を及ぼす可能性があると理解してください。


【7個目】 2065年、外国人が無人の国土を占領する

あなたは、「無子高齢化」という言葉をご存知ですか?「無子高齢化」とは、出産が可能な年齢の女性がいなくなり、高齢化だけが進む状況のことです。既に高齢化と過疎化が進んだ地域は「無子高齢化」で苦しんでいます。若い人は都会に出ていき、その地域に住んでいる人は既に子供を産むことができない高齢者だけの状態です。このような話をすると、そこまで極端な話は自分には関係ないと思う人が多いです。しかし、実際には日本に住んでいる以上、かなり多くの人が将来的に無子高齢化で苦しむことになります。国土交通省の「国土のグランドデザイン2050」には、寒気がするほど恐ろしい未来が描かれています。例えば、日本列島を1平方キロメートルずつに区切ると、日本列島を約18万個に分けることができます。この区分けした18万個の地域の人口増減を分析した結果、2050年には、63%の地域の人口が半分以下になっています。しかも、そのうちの3分の1にあたる19%の場所には、誰も住んでいない状況です。さらに、国土交通省が作成した「国土の長期展望」には、離島振興法の対象地域となっている有人離島の約10%が2050年には無人島になっていると記されています。

国境離島や外洋離島は、排他的経済水域の重要な根拠となります。エネルギーや鉱物資源確保、漁業や海上輸送の自由など、大きな国家的役割を持っています。そんな大切な離島が無人島になれば、日本国土である主張が弱くなります。不法占拠をたくらむ国から日本を守り抜くことが難しくなります。さらに、離島に限らず本土でも誰も住んでいない地域が増えると治安維持が難しくなります。人の目が届きにくい地域は不法地帯と化していきます。日本政府が、これから数十年後の日本の未来に対して、どのような展望を持っているのか正確に把握してください。


【8個目】 日本を救う10の処方箋

ここまで、日本の危機的状況をお伝えしました。では、どうすれば最悪のシナリオを避けることができるのか?ここからは10の処方箋と題して、日本を救う方法を一気にお伝えします。

処方箋1、高齢者の生活費削減
安い家賃で入れる高齢者向け住居の確保など、高齢者の生活費負担が軽くなる政策で戦略的に超高齢化を迎えることが大切です。年金制度の維持が苦しいのであれば、せめて支出を減らす取り組みをしなければいけないです。

処方箋2、24時間社会からの脱却
24時間、いつでもサービスが受けられるという過剰サービスから脱却し、主となる時間の働き手を確保しなければいけないです。

処方箋3、非居住エリアを明確化
人が住む地域とそうでない地域を明確に区分けすることで、居住エリアには確実にサービスやインフラが届けられます。いまこそ、日本をコンパクトで効率的な国に作り変える時です。

処方箋4、都道府県を飛び地合併
高齢化、過疎化地域は税収が少ないです。その結果、行政サービスを届かせるのが困難な状況です。東京都と島根県や千葉県と佐賀県を飛び地合併させるなど、大胆な改革が必要です。

処方箋5、国際分業の徹底
人それぞれに得意・不得意があるように、国にも得意・不得意は存在します。日本は世界の中でも極めて国産品の生産分野が多い国です。得意を活かして他国と協力する必要があります。

処方箋6、「匠の技」を活用
工業製品を大量生産して流通させる市場から抜け出し、匠の技を活用した高付加価値商品で日本経済の活路を見出すことが大切です。目指すは「少量生産・少量販売」を成功させているイタリアモデルです。

処方箋7、国費学生制度で人材育成
付加価値の高い仕事を生み出すイノベーションは待っていても起きないです。選抜試験を実施し、優秀な成績の学生は「国費学生」として教育費を完全無償化するなど、大胆な人材育成改革が必要です。

処方箋8、中高年の地方移住推進
アメリカの「大学連携型CCRC」をモデルにした政策です。リタイア後のまだ元気なうちに都会から移住し大学のキャンパスで学生生活を楽しむ生活には様々なメリットがあります。

処方箋9、セカンド市民制度を創設
人口が減少している地域では、定住者ではなく訪問者に目を向け、リピーターやファン人口を増やす政策が必要です。1度きりの観光ではなく、都会から定期的に足を運びたくなる仕組みをつくってください。

処方箋10、第3子以降に1000万円給付
これからの日本が抱える問題の根本的な原因は高齢化と少子化による人口減少です。少子化に歯止めをかける大胆な政策を打ち出し、問題の根本原因を解決する必要があります。

以上が日本の未来を守るための10の処方箋です。

解説は以上です。
日本はいま、世界史上、類例のない大きな課題に直面しています。類例がないということは、常識的な政策では解決できないということです。大胆な発想と決断が日本の未来を守ります。大胆な発想と決断には、国民1人1人の正しい理解が必要です。少子化対策の政策予算を確保しようとすれば反対意見が出るのは、現状の日本が直面している課題を正しく理解できていないからです。そして、課題を解決できない場合、どのような悲惨な未来が訪れるのか理解できていないからです。僕たち日本国民1人1人が現状と処方箋を正しく理解すれば、国は確実に動きやすくなります。現状と課題を正しく理解することが、個人レベルでできる日本防衛の第一歩だと考えてください。今回の記事が役にたった。面白いと思った人は、いいねやコメントお願いします。


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