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今年こそ花粉症を治す

免疫メンテナンスで取り上げているアレルギーの項目ですが
今回は今や国民病となってしまった花粉症を取り上げたいと思います。

花粉症は年々増えている
戦後に国を挙げてスギの植林を進めたために、花粉症を発症する人が増えています。

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データがやや古いのが難点ですが、アレルギー性鼻炎全体が10年(1998年→2008年)で有病率が29.8%→39.4%と増加しており、スギ花粉症の有病率も16.2%→26.5%と増加していることが見て取れます。4人に1人はスギ花粉症と多くの人が悩まされています。

アレルギー発症の原因
スギ花粉の場合は花粉が異物と認識されることによって反応します(もちろん人間の体にとって異物なのですが、寄生虫と違って害を及ぼす訳ではないのでただの免疫細胞による過剰応答です)。スギ花粉が飛散する時期は例年2月くらいから始まります。これらが粘膜に付着し体内に入ることで免疫細胞が誤って学習してしまい、次第に花粉が粘膜に付着するたびに反応するようになってしまいます。

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検査
問診や鼻鏡検査など総合的に判断することが必要ですが、主要な検査として主に以下の二つがあります。
・皮膚テスト
メリット:安価(21種類で保険使わないで3360円)、20分で判明
デメリット:検査前1週間は薬なしでアレルギー症状を我慢する必要がある

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・採血
メリット:採血するだけ
デメリット:数日かかる、高価(13種類以上で保険使わないで14300円)

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治療法
①花粉を除去(粘膜に付着させない)
マスク・メガネ
これが基本。ただし症状の軽減が図れるが基本的に自然治癒には至らない。

②薬物療法。内服薬や鼻噴霧薬。
これが一般内科レベルで対応していることです。これで十分と思っている方はワンシーズン分ネットで薬を買ってしまえば医療費は安く済みます(セルフメディケーション税制対象です)。時折薬を使って肝機能が悪くなることなどが報告されているので具合がおかしい場合は飲んでいる薬を見せて採血などしてみてもらうと良いでしょう。また1%程度の人に眠気を起こすので運転する人はスプレー型だけの方が良いです。

③アレルゲン免疫療法
永久的に治したいと思えばこれをするしかないですが、3年はかかるので忍耐力を必要とします。また体にアレルギー物質を入れて体を慣らすやり方でいわば「毒をもって毒を制す」やり方ですので、たまに全身がショック状態になったりします。一般内科ではなくアレルギーを専門とするクリニックでする方が安全です。アレルギー性結膜炎や気管支喘息などにも有効です。

・皮下免疫療法(注射)
週に1回皮下注射し、徐々に慣らしながら2週に1回、1ヶ月に1回と間隔を開けていく。治療終了までに3年はかかる。ハウスダスト・ダニ・花粉で8割程度の有効性が認められ、5年経過しても持続性が8割程度ある。

・舌下免疫療法(舌の裏に薬剤を投与)
1日1回舌下に薬を投与し徐々に量を増やしていく。治療期間は2年以上で3〜5年を目安とする。7~8割程度の患者さんに有効。

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参考)
鼻アレルギー診療ガイドライン
トータルアプローチ アレルギー診療
引用)
花粉症環境保険マニュアル
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/2019_full.pdf
よくわかるスギ花粉症の舌下免疫療法
https://www.toshiwa-kai.or.jp/medical/wp-content/themes/toshiwakai-medical/images/pollen/pdf/pollen1.pdf

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