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【ショートエッセイ/アート 】ジェームズ・タレル パリの新作

アーティスト、ジェームズ・タレル(James Turrell)は光を使ったアーティストだ。

光を使うアートは色々ある。ネオンで文字や形を作って発光させるもの、照明を並べたインスタレーション、自然光を使ったもの。

タレルのアートは人工的な、あるいは自然界の光を、とある形の枠の中に閉じ込めて表現することが多いのが特徴だ。
この方法だと、枠外の光のない部分によって、光がある部分がいっそう強調され、私たちは光を強く意識することになる。そしてその光にもイリュージョンがかかけられているから、さらにタレルの作る光の沼から出られなくなるのだ。
(いつも口うるさい夫なり妻なりの、良いところひとつだけを切り取ると、その部分がとても尊く見えてくるのと同じだと思う)

タレルの新作が、パリのガゴシアンというギャラリーで発表されている。

タイトルは、”confidences,”で、”Ariel”と”Jeu”という2つの作品から構成されている。
光は2つの作品で互いに呼応するような反応をしながら、ゆっくりと色が変化するそうだ。どんな変化や呼応なんだろう。

普段私たちの目の網膜に入ってくるものは、何かの物体に電気や日光などの光が当たり、それが跳ね返ってくるものだ。
なので私たち光は日常的に見ているけれど、見ているものは物体だと思っている。
タレルの作品の光を見ると、光そのものを感じることができる。光の美しさ、不思議さ、神秘性。

パリの作品からは、どのような光を、光をどのように感じる自分を、体験できるのだろうか。
現地に行くことができないが、思いを馳せる。

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