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「人との関わりを心から楽しめるようになった」 ユースセンターがある生活第6弾

人との関わりが広がる場所

 若者が、学校を超えて友達になれる場所。
 若者が、10km以上もの道のりを越えて、仲良くなった大人に会いに来る場所。
 あまり学校に通えず人との交流を避けていた若者が、「人と話すのって楽しいな」と思える場所。

 そんな素敵な場所があることを、皆さんはご存知ですか?
 その場所は、「ユースセンター」と呼ばれる若者が自由に過ごすことのできる施設のひとつです。訪れた若者は、勉強をしたり友達と遊んだりできます。さらにそれだけではなく、常駐するスタッフと話したり、それをきっかけに興味のあることにチャレンジしたりもできます。ユースセンターは、若者の居場所であり、活躍の場でもある、そんな施設だということができます。

ユースセンター「Youth+宮の沢」の様子

 この記事では、そんなユースセンターの魅力を発信するイベントである「#ユースセンターがある生活」の様子を報告しながら、ユースセンターでの人との関わりの広がりを皆さんにも感じていただければと思います。

市内すべての若者が対象

 2023年8月25日、北海道にあるユースセンターYouth+をお招きして、イベント「#ユースセンターがある生活 第6弾」が開催されました。実際に施設を運営されているスタッフお二方と、施設を利用している若者にご登壇いただき、Youth+がどういう場所でどういう取り組みをしているのか、施設を利用するなかでどんな変化を感じているかを伺うことができました。この記事の冒頭で紹介した「素敵な場所」の特徴は、どれもイベントのなかで伺ったYouth+のお話でした。
 Youth+は、北海道札幌市に5館存在するユースセンターです。施設では勉強したり遊んだりできるほか、イベントも適宜開催されています。ゲームのイベントで同じ趣味の人と出会ったり、大人気の焚火イベントが開かれたりするそうです。また、「着物部」のように少し変わった部活動を楽しんでいる施設もあるとのことでした。
 5館存在する、と聞くと非常に施設が多くあるように感じますが、どの施設も広い札幌市の都市部に集中しているため、札幌市の端に住む若者は訪れにくい環境にあるそうです。そこでYouth+のスタッフの皆様は、「札幌市のすべての若者が利用対象である」という理念のもと、自ら施設の外に出て若者の住む地域へと足を運びます。この取り組みは国内でも珍しいアウトリーチによるユースワークで、そのときに使われるのがキッチンカーやリビングカーです。

Youth+のキッチンカー

スタッフは、このキッチンカーに乗って若者の住む地域の公園などを訪れます。そして食べ物を渡しながら若者と話し、日ごろ施設には来れない若者との関係性を作るのだといいます。そして、こうして仲良くなった若者が、そのスタッフに会いに自らYouth+を訪れることもあるそうです。スタッフが若者に出会おうとすることで、何もしなければ出会えなかった若者との関わりが生まれているのです。

ユースセンターでの人との関わり

 それでは、ユースセンターではどのような人の関わりが生まれているのでしょうか。その答えは、イベントの見どころとも言える、ユースセンターを利用する若者同士のトークセッションの中にありました。今回の第6弾では、Youth+の利用者であるねここさんのほか、山梨県にあるMiacisの利用者たいすけさんと、兵庫県にある尼崎市立ユース交流センターの利用者しゅーとさんに登壇いただきました。

トークセッションの様子

 ねここさんは、高校1年生と2年生のときに、先ほど紹介したキッチンカーのデザインをし、塗装をするプロジェクトに参加しました。その活動では10人ほどのメンバーでデザインを話し合っていましたが、ねここさんは他のメンバーの意見を聞きとってまとめるような立ち位置を自然と担っていたそうです。
 他の若者と協働して活躍していたそんなねここさんですが、中学校3年生のときにはあまり学校に通えていなかった、と話してくれました。そんななかソーシャルワーカーに紹介されて、Youth+に出会い、「本当に自由な場所だな」と感じて繰り返し来館するようになりました。そのなかでスタッフと次第に話すようになり、徐々に打ち解けていきました。そして、「人と話すのって楽しいんだな」と実感できるようになり、スタッフや他の若者に自分から話そうとするようになったそうです。
 そんなねここさんは、「Youth+に行っている中で今までで1番印象に残っている出来事を教えていただきたいです」という参加者からの質問に対し、以下のように答えてくれました。
Youth+ではたくさんの思い出を作らせていただきましたが、中でもYouth+で他校の子達と友達になれたことはとても印象深かったです。本来『私ひとりで来館し自習し、活動に参加しスタッフさんと楽しく話す』ことがルーティンでありましたが彼らとの出会いのおかげで、Youth+の時間がより一層楽しく輝いて見えました。また時間を共有する中で、私の視野を広げ前向きにさせてくれたと思います。
 トークセッションの最終場面では、登壇してくれた若者3人に「ユースセンターに来てからどんな変化があったか」を伺いました。それに対し、3人とも共通して話してくれたのは、人との関わりの変化でした。ねここさんは、「人との関わりに対して心から楽しめるようになった」そうです。また、たいすけさんは、「他の人との交流があって性格が変わり、人前でも喋れるようになった」と話します。さらに、しゅーとさんも「ユースセンターに来ると、色々な年代の人と話すようになった」と語っていました。
 今回のイベントではこうした若者自身の感じていることを聞くことで、ユースセンターにて、若者が人との関わりを広げ、楽しみ、それを通して若者自身が変化を経験できていることがわかりました。なかでも、「人との関わりを心から楽しめるようになった」というねここさんの声は、日ごろからユースセンターに関わるスタッフにとっても強く印象に残るものでした。

ユースセンターを増やしていくために

 このように、価値があると利用者自身が感じているユースセンター。私たちは、若者の選択肢の1つとしてユースセンターを広げていきたいと考えています。そのための取り組みとして生まれたのが、今回ご紹介していたイベントである「#ユースセンターがある生活」です。
 #ユースセンターがある生活は、文京区青少年プラザb‐labと尼崎市立ユース交流センターの2つのユースセンターが事務局となって開催しているイベントです。ユースセンターの価値を当事者の視点から広めていくことを目的として、日本全国の様々なユースセンターのスタッフと利用者をゲストとしてお招きしています。2022年3月に第1回を開催して以来、数か月に1回開催し、今回で第6回を迎えました。
 第7回となる次回は、愛知県名古屋市にあるユースセンター「Moi Moi」の皆様をお招きして、10月下旬に開催する予定です。ユースセンターの存在を初めて知ったという方でも、今回のレポートで興味を持ってくださった方には、ぜひご参加いただけるとうれしいです。皆様と画面越しでお会いできることを楽しみにしております。
(イベント情報はこちら ▶▶▶ https://youthcenter.peatix.com
 また本イベントでは、#ユースセンターがある生活 というハッシュタグを使用しています。TwitterやInstagramにて、#ユースセンターがある生活で検索いただくと、様々なユースセンターでの日々の様子をご覧いただけるかと思います。ぜひこの機会に、そちらも併せてご覧ください。

#ユースセンターがある生活  の様子

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

*なお、前回(第5弾)のイベントの様子はこちらからご覧いただけます。


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