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中高生が、「ちょっと年上の先輩」と出会える場所 —— #ユースセンターがある生活 第8弾レポート

ちょっと年上の先輩

 皆さんには、中高生時代の「ちょっと年上の先輩」と聞いて、思い浮かべる人はいますか。

 年が近くて親近感があるけれど、自分より先の人生を生きていてどこか頼りやすいような「ちょっと年上の先輩」。多くの中高生にとって、そんな存在である大学生との接点は、兄弟や塾の先生・チューターなどにとどまっています。しかしながら、進路という無限大の可能性を手にする中高生にとって、大学生と出会い話す機会はとても貴重なものです。

 そんな「ちょっと年上の先輩」である大学生と気軽に出会い、遊び、話せる場所が府中市にあります。それは、Co-study space “Posse” という名前のユースセンターです。「ユースセンター」とは、中高生が自由に過ごすことのできる居場所であり、活躍・挑戦の場所でもある施設です。訪れた中高生は、勉強をしたり友達と一緒に遊んだりできます。あるいは、常駐するスタッフと話したり、それをきっかけとして、やってみたい企画を叶えることもあります。

 この記事では、そんなユースセンターPosseの運営代表である大谷さんと、利用者のあいこさんをお招きし、お話を伺ったオンラインイベント「#ユースセンターがある生活 第8弾」の様子をお届けします。

Posseという場所

 Posseは、東京都府中市にある、中高生のための第3の「学びの場」です。週2回開館していて、1回100円で利用することができる施設になっています。

 Posseの最大の特徴は、運営メンバーの中心が大学生であることです。府中市に住んでいたり、通っていたりする多様な大学生が、施設の開館時間には常駐し、来館する中高生とコミュニケーションを取っています。そのなかには、車中泊で日本一周をした人や、自分で狩りをしてジビエ料理をつくる人など、かなり個性的な経験をもつ大学生もいるとのことでした。Posseは第一に中高生のための居場所施設ですが、そうした多様な運営の大学生にとっての居場所でもあるようです。

 そんなPosseが大切にしているのは、「居場所」「関係性」「学び」という3つの要素です。大谷さんによると、実際に通っている利用者の保護者の方からは、「大学生が近くにいて勉強を教えてくれるのがありがたい」や「Posseに通い始めてから学校に休まず通うようになった」といった反応があったそうです。Posseでの大学生との「関係性」や「居場所」感が、中高生への「学び」へとつながっている様子が伝わってきますね。

利用者が語る、Posseのありかた

 さて、このイベントには、Posseを日頃から利用している中学2年生の「あいこさん」が登壇し、Posseでの過ごし方や感じていることを話してくれました。あいこさんは、初めてPosseに来館してから、およそ1年ほどとのこと。お話のなかからは、スタッフの大学生の方々と仲が良い様子が伝わってきました。

 日頃Posseを訪れた際には、カードゲームやトランプで遊んだり、学校や家について大学生とおしゃべりしたりするそうです。大学生からトランプの大富豪をはじめて教わり、他の中学校の子も交えて遊ぶことで友達が増えた、という経験談を話してくれました。また、あいこさんは合唱が好きなため、同じく中高時代に合唱をしていた大学生と音楽の話で盛り上がることが多いのだとも話していました。さらには、そうした日常においてだけでなく、あいこさんは試験前にもPosseを訪れることがあります。その際には、自習に取り組んだり、大学生に問題を出してもらうなど、勉強の手伝いをお願いすることもあるそうです。

 そんな過ごし方をしているPosseについてあいこさんは、「Posseはリラックスできる」と話していました。というのも、Posseはいい意味で学校とは関わりのない場所であるからです。Posseにおいてであれば、学校で嫌だと感じたことも安心して大学生に話すことができる、とあいこさんは話していました。

ユースセンターを増やしていくために

 ここまで紹介してきたPosseのように、中高生が「ちょっと年上の先輩」である大学生と出会い、一緒に遊んで関係性を深めたり、学びを刺激されたりする場所。そんな場所は、日本全国を見渡すとまだまだ数少ないのが現状です。近年は「こどもの居場所」への注目が徐々に高まっていますが、中高生の居場所となる施設——ユースセンターは依然として不十分な状況にあります。

 そうした問題意識のもと、全国にユースセンターを増やしていきたいという目的で開催しているのが、この「#ユースセンターがある生活」というイベントです。このイベントでは、ユースセンターの利用者の声を通じて、ユースセンターの価値を社会に伝えていきたいと考えています。そして、その先で中高生の選択肢の1つとして当たり前にユースセンターがあるような社会が訪れることを願っています。

 #ユースセンターがある生活は、文京区青少年プラザb‐labと尼崎市立ユース交流センターの2つのユースセンターが事務局となって開催しているイベントです。ユースセンターの価値を当事者の視点から広めていくことを目的として、日本全国の様々なユースセンターのスタッフと利用者をゲストとしてお招きしています。2022年3月に第1回を開催して以来、数か月に1回開催し、今回で第8回を迎えました。

 そして、2024年3月20日(祝水)17:00-19:00には、「#ユースセンターがある生活」の特別編を開催します。全国にある7つのユースセンターから、それぞれの利用者が登壇して、自らの過ごすユースセンターについて語りあっていただく予定です。ユースセンターの存在を初めて知ったという方でも、今回のレポートで興味を持ってくださった方には、ぜひご参加いただけるとうれしいです。

 また本イベントでは、#ユースセンターがある生活 というハッシュタグを使用しています。TwitterやInstagramにて、#ユースセンターがある生活で検索いただくと、様々なユースセンターでの日々の様子をご覧いただけるかと思います。ぜひこの機会に、そちらも併せてご覧ください。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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