見出し画像

大好きなメロディーがありすぎて~Patrick Vageeツアー参戦レポ

 セトリバレしたくない方はツアー参戦後にまたおいでいただけると幸いです。『Patrick Vagee』の曲&新曲はやるという前提で曲名出してますが、他はできるだけ明言は……でもUNISON好きの方にはわかっちゃう匂わせな書き方です、すみません。

 ついに来た。最愛のバンドUNISON SQUARE GARDENが最新アルバム『Patrick Vagee』(以下Vagee)を引っ提げてのツアー、本日が私の一期一会の参戦日である。
 最新とはいえこのアルバムが発売されたのはもう1年も前。はやり病の影響もろ被りの音楽業界にあってなお、常にライブを続けてきた彼らにとっても「ようやく」のツアーである。日程は着々と遂行され、抜けるような秋晴れの空の下、この日彼らは私の街へやってきた。

  当日は休日出勤日。それでも楽しいことが控えているので、いつもより仕事も進む。17:00、斜めにかけた『旅の音楽隊』トートバックをぱたぱた揺らしながら、職場から徒歩10分のライブ会場へ5分で駆けつけた。ホールの周りはViperみたいな待機の列。誰もかれも思い思いのグッズを身に着けている。うんうん、みんな待ってたよね!
 会場に入って驚いた。隣の席が空いてない! 最近はDVDでしか見てなかった光景である。やっとここまで戻ったという嬉しい気持ち半分、少し不安な気持ちが半分——だけどこの満員の客席は、届けるUNISONと受け取る聴衆が今まで積み重ねてきた信頼関係の現れだ。そのことに私たちは誇りを持っていいんじゃない? そう思うと不安は消えた。
 やがて場内が暗転。はやる気持ちのまま、立ちあがる。『絵の具』がフェイドアウトして、斎藤さんの歌声が響いた。

 全部嫌になったなんて簡単に言うなよ
 全部が何かってことに気づいてないだけ
 信号は変わる 星は生まれるから
 今日は何とかなるぜモードでいいや

 今までのアルバムツアーはアルバムの1曲目がライブでも1曲目だった。でも今日はこの曲だと聞いていた「Simple Simple Anecdote」。2年余り、不自由な思いをしながらも「何とかなるぜモードでいいや」と、ライブのあり方を模索し、常に音楽を届けてきた彼らの自負と「ようやくいつものアルバムツアーに戻れたぜ!」という喜びが伝わってくるような気がした。周囲にひたひたと感動の波が押し寄せているのを感じるが、大好きな曲だもんで最初から踊っちゃう、落ち着きのない50代がここにいる。斎藤さんの「ようこそ!」が飛び出し、楽しい時間が始まった!

 続いてVageeの1曲目と2曲目、そして高らかにもう1曲。畳みかけるような曲が続く。序盤で惜しげもなくエース級の曲を投入してくるので、こちらもテンション爆上がりだ。
 次は『Dr.Izzy』から。待ってる時間はつらくない、だけど冷静さは保ってらんない! なんて、さっきまでの私たちですね。続いて初期も初期のファーストアルバムから。ライブで聴くのは初めてかもしれない、マイナーコードだけど力強い曲。ライブの前に聞き直した時は、若い頃の斎藤さんの少ししゃがれたような声で唄われていたけれど、ここでは声は伸びやかで艶やかで、でも激しさはその頃と少しも変わっていない。
 そして「新曲ぅ!」からの「Nihil Vip Viper」。ああ、声出しNGがつらい。一緒に「フゥッフゥ~!」って言いたい。田淵さん、意地悪いな! 歯噛みしながら、それでも踊らされてしまう。もう、全部楽しい! それにしても、初期の曲からの最新の曲で、その間には15年以上の隔たりがあるのに、全くそれを感じさせない。なんだろうこれ……不思議な感じだ。
 あれこれ考える暇もなく、『Mode Mood Mode』から大好きな曲! 疾走感・メロウな旋律とコーラスのハーモニー・「わかんないままで」それでも「追いかけずにいられ」なくて、走り続けると叫ぶ歌詞。好きなところが全部詰まっている、私にとってのUNISONの4番バッターの曲だ(いや他にも好きな曲はたくさんありますが)。聴けて嬉しい! ちょっと涙が出た。

 すこしおいて、再びライブが動き出した。ひしゃげた音のギターのイントロが鳴る。どのアルバムにも必ず登場する、ちょっと風変わりな曲。静かに始まり徐々にテンションが上がる。真っ赤な照明が点滅、そして噛みつくような「めんどくせえよ 忌々しい」。禍々しくも美しく、息が詰まるような迫力。「……すごい」それ以外の言葉が浮かばない。これほどパンチのある曲だとは。<ライブが10,000倍カッコイイ曲>の爆誕を目の当たりにした。会場がみんな、その迫力に呑まれているようだった。
 続いて照明が青に変わり、またまた初期の曲。続けて歌われると、よく似た雰囲気の曲だと気づく。そして本日2回目の、昔の曲と最新の曲が違和感なく繋がる感覚。何度もライブに参戦してるけど、こんなふうに感じたのは初めてだ。悔しいけれど翻弄されている。セトリの鬼の田淵さんのことだからきっと計算ずくなのだろう。私たちのこんな反応を察知して、心中ほくそ笑んでいるのかもしれない。でもいい、思いっきり揺らされてやる!

 そんな感じでライブの間中、私は彼らの音にどっぷり身を委ねた。大好きなあの曲のストリングのイントロ(ライブ仕様)が流れた時は「はあぁっ」と変な声をあげて両手で顔を覆ったし、セッションで3人がストップモーションになり顔を見合わせてタイミングを計っている時(貴雄さんの笑顔が印象的!)は、おかしくて手を叩いて(声を出さずに)笑った。両手ピースもしたし、ついに生で聴けた”スロウカーブ”ではこの夜いちばん跳ねた。
 でも楽しい時間は永遠には続かない。CITSからおなじみの曲をひとつ、『Dr.Izzy』からスマッシュヒットをひとつ、盛り上がること間違いなしのキラーチューンで場内を最高潮まで持っていって、「ラスト!」と斎藤さんが歌い始めたのは、Vageeの最後を飾った曲だった。キラキラ輝く音が降り注ぐ。アルバムを聴く時いつも感じていた多幸感が、今日は生の音で全身を包み込む。やっぱりライブは別ものだ。しあわせ! 来てよかった!(いや来ない選択肢はないけど)

 今回はアンコールあり。またもや「声出しNGなのに!」という2曲。田淵さん、もはや狙ってる? という疑惑すら湧いてくる。だって言いたいじゃあないですか、「フゥッフゥ〜」も「ハッピー」も「オッケーピーポーワンモアタイム!」も「バカ〜!」も「that's alright!」も! わかってやってるんだとしたらこのセトリお兄さん(←配慮)そうとうな意地悪である。次のライブの時は、一緒に叫べるようになってるといいな。
 アンコールのラストは「春が来てぼくら」。すごくいい曲ができて自信満々だったのに売れなかった! とぼやいていたのはオンラインライブの事前特番の時だっただろうか(違っていたらごめんなさい)。でもラストにこの曲を持ってきたのは、やっぱりこの曲がアルバムにとっても彼らにとっても大切な1曲なのかな、と勝手に思う。

 ちゃんとこの足が 選んだ答えだから 見守ってて

 最後のフレーズが染みる。いつもはワーッと盛り上がって終わるけど、今日はみんな、じいっと聴き入っている。そして万雷の拍手。ライブは終わった。

 規制退場の指示を待つため席に座ろうとして、ふとお隣の方と目が合った。たぶん、私と同年代のミセス。「よかったですね」と話しかけられ「楽しかったですねぇ!」と応えたら「ほんとに楽しそうでいらして」と言われた。どんだけはしゃいでたんだ私。お恥ずかしい。でもライブTシャツ着てるし今さらか。
 彼女は隣の隣の県からいらっしゃったそうだ。すごく迷ったけど来てよかった! と言ってらした。来月のXIIXのチケットも取ってるんだけどまだ迷ってて……とおっしゃっていたので「大丈夫ですよ! 楽しみですねぇ」と全力で肯定。楽しいことを諦めるのもそろそろ減らしていきたいですよね。来月もぜひ、この街に来ていただきたい。

 終演後、おのおので参戦していた娘と合流。1年ぶりのライブだった彼女は「もう1曲目で目から(涙が)ビュッだったよぅ〜」と言っている。終わって座ろうと思ったら後ろのお姉さんが泣いていて、「わかります! 激(しく)同(意)!」と思ったそうだ。
 合流後、2人でごはん(イタリアン)を食べに行った。食後のドルチェを頼もうとメニューを見せてもらったら、
「なにこれ『天使の菓子』? Torte Paradiso……ってあらちょっとパラディッソーですってよ」
「……これだね」「だな」
 ええ、いただきました<Torte Paradiso>。レモン風味の焼き菓子バニラアイス添え、美味しゅうござった。翌日仕事だったので、娘は夜な夜なドライブ(2時間)で自宅へ帰っていった。おつかれ。

 久しぶりのアルバムツアーはいつもどおり、楽しくて熱いライブだった。だけど、聴かせる曲で始まり、昔の曲と最新の曲が年月を越えて紡がれ、再びじっくりと聴かせる曲で終わるという構成は、いままでなかったように思う。昔の曲と今の曲が、大きな円弧を描くように繋がってひとつに融けあっているようだった。だから終わったあとの「はー楽しかった!」は変わらないのだけれど、時間が経った今でも1曲1曲を噛みしめ、自分の中に落とし込むように、余韻を繰り返し思い出している。
 ライブ前に全曲聴き直した時にも思ったけれど、オンライン・着席・ランキング・リバイバルなどなど、ちょっと特別なかたちのライブをして、そこで得たものを糧にして、UNISON SQUARE GARDENは第2フェーズに入ったような気がする。今夜彼らが見せてくれたちょっと新しい顔に少し驚き、嬉しくなり、そしてわくわくしている。次はどんな顔を見せてくれるだろう。

 私のPatrick Vageeツアーは終わったけれど、彼らは今もいろんなところへ音楽を届けている。いつも次の一手を考えている彼らだから、そろそろまた告知があるのでは……と思っている。そのときは、またヨロズ整えて参加する所存である。心待ちにしていよう。

 今は、彼らの音楽を届ける旅が、来年つつがなくゴールを迎えることを祈っている。
 素敵なライブをありがとう。気をつけて。


サポートしていただきありがとうございます。もっと楽しく読んでいただけるよう、感性のアンテナを磨く糧にします! そして時々娘3号と、彼女の大好きなAfternoon Teaにお茶を飲みに行くのに使わせていただきます。