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ねこのはなし〜ちびこがハゲた

  人間4名と猫5匹と暮らしております。猫は年の順にうえからモカ(♀)サクラ&ソルト(♀)チビ(♀)まる(♂)。個性的な彼&彼女のご紹介は前回の「お注射キライにゃん」ご参照。今回はチビ(ちびこ)のお話です。

  「ちびこがハゲてるんだけど」娘3号が言い出した。

 「うっそ。どこ?」「左の後ろ脚のとこ」

 どれどれ、と捕まえてみると、たしかにキジトラ模様がそこだけ薄くなっている。けっこう広い範囲で、よくある「ケンカからのネコパンチの応酬の結果生じる、ひと房抜けてるハゲ」とは明らかに様子が違う。どうした?

「お医者さん連れて行こうよ」

 3号は皮膚病やムシ系(ノミとかダニ)のトラブルを心配している。そっちだとしたら、他の猫もいるから早めの対応がいいかも。ちょうど今日は2号も休みで家にいたので、連れて行ってもらうことにした。例によって洗濯ネットに入れて、今日はひとりだけなので持ち運び用のケージでおでかけ。

 予想もしない展開にお怒りのちびこは、車に乗ってから病院に着くまでずーっと「ぬわぁ、ぬわぁ」と文句を言い続けている。そういえば前回のお注射の時も、ひとりだけずっと文句言ってたな。「だぁいじょぶだから」と声をかけたら、そんな気休め信用できん! という目で睨まれた。そらそうだ。だけどおんじ(恩人の意。チビこは3号に保護された)が心配してるから、とりあえずそのハゲの原因を調べてもらおうよ。多分お注射はないと思う。確約はできんが。

 病院到着。付き添いは2人までという張り紙があり、私と3号が付き添い、2号は車で待機となる。ちょうど患者さんがいなかったのですぐに診てもらえた。症状と経緯を説明してお渡しする。先生がカゴから取り出して患部を診察、ブラックライトらしき懐中電灯で照らされたりしている。

 やがて先生がこちらへやってきた。とりあえず外から確認したところ、かぶれやムシなどは見られないようで、自分で舐めて毛をむしっているようです。アレルギーを起こしていて、かゆみがあって舐めているのではないかと思われるので、血液検査をします。少しお待ちください。

 先生が戻っていったあと、私と3号は顔を見合わせて「なるほどねぇ!」となった。アレルギーでかゆかったのか。そりゃあ外から見ただけでは、赤くなったりただれたりしてないからわかんないね。3号も「腑に落ちたわ〜」と独り言ちている。とりあえず病気ではないようなのでちょっとホッとした。

 検査の結果、やはり抗体反応があったのでアレルギーで決まり。ただ、何のアレルギーなのか詳しく検査するとなるととってもお高いことになるらしい。「症状はそれほどひどくないようなので、しばらくお薬で様子をみましょう」とのご判断でステロイド7日分・アレルギーを抑えるお薬と、皮膚の調子を整えるサプリメントを30日分いただき、診察は終了した(それでもけっこう高額医療。ペットあるある)。心配していたほどのことはなかったけど、ちびこは帰りの車の中でもずーっと「ぬわぁ、ぬわぁ」と文句を言っていた。けっこうしつこい。

 帰宅後、家族で「なんのアレルギーなのか?」推理大会が始まった。おおかたの意見は「寒暖性じゃね?」。『ネコはこたつでまるくなる』の唄の通り、みんなこたつは大好きだ。足を入れてもネコだらけで足が伸ばせないこともある(ネコあるある)。ちびこもこたつは好きだけど、しばらく入っていると出てきてしまう。寒くないの? と思うけど、お腹がぬくければOKらしい。だからふわふわの毛布とか膝掛けとか、誰かのマイクロファイバーの上着とかの上に座って寝ている。きっとあったまり過ぎるとかゆかゆになるんだろうね、ということでまとまった。

 そして当然のことながら、お薬飲ませバトル開始。最初のうちはごはんに混ぜていたが、バレて、上手にそれだけ残して食べるようになった。食後に発見された薬を3人がかりで抑えて戦争みたいな騒ぎで飲ませたりしていたが、結局ごはんの前に、首根っこを捕まえて飲ませるのが一番よさげだということになった。敵もさるもので、飲んだふりしてペロペロしてるけど実は口の中にまだ残していて、飲み終わったと思って手を離すとペッと吐き出したりする。だから口に入れたらしばし「ちびこ飲んだ〜? 大丈夫〜?」と言いながらにらめっこ。ようやく飲み込んで解放されたのち、イヤガラセで私の席に鎮座し食事の邪魔をするところまでが、最近のルーティンだ。

 そういえば夏になると、アゴに黒いカスみたいなのができて黒くなって、ビジュアル系バンドのメイクみたいになるので「(デーモン木暮)閣下」と呼ばれてる仔もいる(ソルトである)。最初の年にびっくりしてお医者さんに連れていって、「ニキビです」と言われた時はへええ! となったなぁ。ごはんを食べた後ちゃんとお掃除しなかったり、油分が残っていたりするとなるらしい。毎年アゴの下が黒くなってくると「ソルちゃん! 閣下になってる!」「100,010歳になっちゃうよ! ちゃんとお掃除して!」とみんなに言われて、「はっ、やばい!」という顔になって、一生懸命きれいにしている。だから近年は50,010歳くらいでとどまっている。

 一緒に暮らすようになってわかることだけど、にゃんこも人間と同じでいろいろあるんだなあ。というか、人間もネコも生き物なので、あまり変わりはないということなのだろうか。

 イヤガラセをしてくるちびこはなんだかかわいい。それと、どんなにバトっても夜は一緒のお布団でまるくなって寝てくれるとこも。お薬が効いてきたのか、ハゲたところもポワポワと毛が長くなってきた。はやく元に戻るといいね。

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