風邪は万病のもと
風邪は万病のもと。
子供の頃から耳にしてきた言葉だ。
風邪をひくと、いろいろな病気を引き起こす、という意味なのだろうか?
多くの病気は風邪のような症状から始まるから注意せよ、ということなのだろうか?
真意はよくわかっていない。
そもそも「風邪」って何なのだろう?
感冒症状、を言うのだと聞いたことがある。
では、感冒症状とは?
感冒は,鼻漏,咳嗽,咽頭痛などの上気道症状を引き起こし,通常は発熱を伴わずに自然に軽快する急性ウイルス感染症である。診断は臨床的に行う。手洗いは感染拡大の防止に役立つ。治療は対症療法である。
(MSDマニュアルより)
専門的な解説も書いてあったが割愛する。
上気道症状、つまり喉が痛いとか、咳が出るとか、鼻水が出るとか、鼻が詰まるとか、か。
「診断は臨床的に行う」とあるけど、これは確定診断がなくて症状を見て判断するっていう意味だろう。
これが万病のもとの理由になりそうだ。
症状だけ見て「風邪ですね」としておいて、別の症状が出てきて、別の疾患を疑って、確定診断のための検査をして、「他の疾患」とされる。
だから、もともと他の疾患であっても上気道症状の時は「風邪」と判断されてしまうってことなんだな。
で、「通常は発熱を伴わず軽快する」とあるので、「風邪は軽く済む」と一般的に認知される。
だから「風邪くらいで仕事を休めない」となるわけだ。そこからして間違っているのだけどね。
しかし、忘れないで欲しいのは風邪も「急性ウイルス感染症」なのだ。
また引用する。
全感冒の約50%は100を超えるライノウイルスの血清型のいずれかによって引き起こされる。コロナウイルスはアウトブレイクを引き起こし,またインフルエンザウイルス,パラインフルエンザウイルス,エンテロウイルス,アデノウイルス,RSウイルス,およびメタニューモウイルスによって引き起こされる感染症も,特に再感染の患者では,感冒として発現することがある。(同上)
風邪といっても感冒で、感冒とはウイルス感染症で、さまざまなウイルスの再感染例は感冒として発現することがあるってことなんだ。
発熱についても、発熱しているという状況の時点で「免疫機能が働いている」と解釈できるのだけど、発熱すると「解熱剤、抗炎症剤」で「体温の数字を下げようとする」場合が多い。
一長一短で、何が正しいとは言えないけど、発熱や炎症反応は体の正常な機能だと言える。
体の機能が落ちている高齢者では肺炎になっても熱が上がらず、肺炎に気づかない、なんて話も聞いたことがある。
風邪は万病のもと、か。
風邪は多くが無症状か。
Acute Ischemic Stroke During the Convalescent Phase of Asymptomatic COVID-2019 Infection in Men
によると、無症候性のCOVID-19感染者(この表現も謎なのだけど)でも脳卒中のリスクが高まる、とのことらしい。
COVID-19を呼吸器疾患だと思っていたのだけど、どうやら違うみたいだ。
COVID-19陽性だと、症状がなくても別の疾患が潜んでいるってことなのだろう。
何かの話にそっくりだ。
そして、無症候性ってことは感冒とも思われていない。そういう人に脳卒中のリスクがあるってこと?
昔、脳外科病院に勤めていたときによく聞いたセリフがある。
「これまでは風邪1つひいたことがなかったのだけどね」
本人が受診していないだけで、世の中になるいろんなウイルスに感染はしたと思う。
けれど発症していなかった。
けれどウイルスは体内に入りウイルスタンパク質が体内で増えて、免疫応答の結果、脳卒中を発症したのかもしれない。
過去はそういう調査の仕方をしていないので、何とも言えない。
COVID-19をただの風邪、という意見は全面的に賛成できない部分もあるけど、風邪と言ってしまえば風邪だ。急性ウイルス感染症なので。
問題は、そのウイルス感染で大変な状況になる人とそうでない人に分かれるってことなんだ。
COVID-19は風邪、と聞いた時に
「なにぃぃ、じゃあ恐ろしいじゃないか!万病のもとだろうぉぉぉ」
となるのか
「は?風邪?じゃあ、たいしたことないね」
となるのかは、その人の認識次第だろう。
どちらの認識が正しいとか間違っているとかは言えない。私はそのようなジャッジメントはできない。
データが示しているのは「肥満にとっては万病を連れてくる方の風邪」なのだろう、ということだ。
私のBMIは19です。
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