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アドラー心理学の名作『嫌われる勇気』を読んだら今を大切にしようと感じる話


すごいタイトル。
嫌われたい人はなかなかいませんね。。。

日本では200万部以上、世界では400万部以上を発行した超大作。
どんなもんだろうということで読みました。
哲人と青年との対話形式でとても読みやすい。
注意:青年は結構悪態つくときあります、素直で強気なんですね。

普段、聴き慣れない表現が言葉がいろいろと出てきますが、
伝えたいことは割とシンプル。

トラウマの否定(過去の経験をどう受け止めるか)
全ての悩みは対人関係(他者との比較ばかり)
課題の分離(褒める褒められる禁止)
共同体感覚(自分の居場所はある)
今、ここ(点と点がつながるように)

という点を簡潔に自分の感想をまとめてみます。

1.トラウマの否定

トラウマってみんな大なり小なりあるよね。
僕は大きいトラウマって特にないんですけど父親が割と気性の激しい方だったのでよくぶちぎれて皿を投げつけてました。おかげで大きな音には人一倍反応するし、嫌悪感が強いです。(余談ですが耳もめちゃくちゃいいです。)
トラウマとは?

自分の経験によって決定されるのではなく、経験によって与えられる意味によって自らを決定するのである。

つまり?
本文で紹介されたのは、何年も自宅に引きこもりになっている友人について。
一般的な考え方では何かいじめや虐待、または逆に甘やかされたからと考えられますが、アドラーの目的論では異なる解釈をしています。
ひきこもることで親の目を自分に注目させるという目的を達成している。

というんですね。
なかなか面白い。よくよく考えるとそうかもしれないと妙に納得しました。
この目的論でいうと、トラウマなんてないよ、与えられた意味を自分でマイナスに捉えた結果なんだよってことです。

よくありますよね、昔好きだった人にひどいフられ方をして、女性恐怖に陥ってしまうとか。それも自分でどう解釈するかななんですね。
トラウマを利用して行動ができないだけ。
結局行動して失敗することが怖いのでしょう。だからその状態が目的なんですね。


2.全ての悩みは対人関係

主人公である青年は劣等感のかたまり。自分の容姿も正確も好きではない。
幼い頃から兄と比較され続け、親から言葉の暴力を浴びていたんですね。
僕もそうでした、同じように兄や同級生と比較されるたびに、『自分はダメな人間なんだ』なんて考えることもしばしば。
それって結局、他者に対する劣等感なんですね。
他にも
・自慢ばかりする人→劣等感が強い
・ブランド品や豪勢な暮らしを自慢してる人→優越感に浸りたい
・私は不幸な生まれで苦労して・・・→不幸自慢

ほら全て他者が関わってきますよね。

人生には敵がいるのではない、すごくシンプルにみんな仲間だと思いましょう。
それについての人生の課題(タスク)を本書から引用します。

行動面の目標
①自立すること
②社会と調和して暮らせること
心理面の目標
①わたしには能力があるという意識
②人々は自分の仲間であるという意識

ここから逃げるのは人生に嘘をついているということ。
シンプルに素直に勇気を持とう。
そう、アドラー心理学は『勇気の心理学』なんですね。


3.課題の分離

私が感じた本書の核だ。
承認欲求ということをご存知でしょうか?
マズローの欲求階層説でも言及されている、いわゆる自分の行ったこと、言ったことを誰かにほめてもらいたい、認めてもらいたいと感じる欲ですね。
・掃除した→褒めて
・料理作った→褒めて、美味しいって言って
・宿題ちゃんとやったよ→ご褒美ください
・今日もnote書きました→すごいじゃん!って言って。そしてスキをください。
とかとか。

認めてもらうのに必死です。

自分が下した決断に誰がどう言おうが関係ない。
褒められようとするな、自分の行動は自分で決めるんだ。
他人が褒めてくれるのを待っているなんてなんて自由度が低いんだ。
そして、この課題の分離こそがスタート地点になる。

とにかく自分の課題(価値観)に集中すること。
これを行うと嫌われることも多くなる、が、対人関係から開放され、自由を
手にする。

嫌われる勇気は幸せになる勇気だと哲人は語ります。


4.共同体感覚

課題の分離がスタート、ゴールは共同体感覚です。

他者を仲間だと見なし、そこに『自分の居場所がある』と感じられることを共同体感覚といいます。

と哲人はいいます。

悩みのもとは対人関係にあると前述しましたが、
幸福の対人関係の指標となるものが共同体感覚だ。

そしてこれを鍛えるための方法が3つある。

1.自己執着から他者への関心
自分がどうみられているか?という思考から自分が他者に何を与えられるのか?という思考へ。
あくまで共同体の中心ではなく、一部なのだという意識。

2.横の関係
褒める褒められるの関係は縦
劣等感や競争意識は縦の関係から生まれ、縦の関係の奥にあるのは操作。

3.勇気づけのアプローチ
さらに先のアプローチ。
介入するのではなく援助をする。他者を評価するのではなく感謝をする。

これらを行うことによって共同体にとって有益だと自分が思えること。
他者からの評価ではなく『私は貢献できている』と思えること。

これこそが幸せに繋がるのだ。

褒めるということを日常的にしている人がほとんどですよね、私もそうだし、当たり前だと思っていたこの辺りで少し混乱もしてきました。


5.今ここ

哲人は改めて言います。
『自己執着から他者への関心へ切り替えよ』と。

そして新たなキーワードとして自己受容、他者信頼、他者貢献が挙げられます。
・ありのままの自分を受け容れよう→自己受容
・無条件に相手を信じよう→他者信頼
・自分の価値を実感するために他者へ働きかけをすること→他者貢献

これは、前述した人生の課題(タスク)にも深くつながっている。

『幸福感とは、貢献感である』

ただし貢献できているかは目に見えないことでもあり、貢献感が持てれば良い。
承認欲求を明確に否定し、ただ普通でいいと。特別になることはない、普通になる勇気も必要だ。と。

そして最後に哲人は語ります。
原因論に基づくフロイトの哲学では人生をまるで物語のようにとらえる発想であり、人生の大半を『途上』としている。

対してアドラー心理学は、線ではなく『点』の連続である。
今、この瞬間が充実していればそれでいい。

そして今を真剣にできないことを『人生最大の嘘』と言い、
過去や未来にスポットを当てるのではなくただただ今を生きよう。と言います。

そして二人の対談は終わります。
最後にようやく青年は笑顔を見せました。

青年、今までほぼほぼ笑っている描写もなかったんです。
なんかホッとしましたね。

感想

世界は思っている以上にシンプル。
自分が難しくしてしまっている。
特に課題の分離については心にすっと入ってきた。
結局のところ他者をコントロールすることなんて不可能だ、
自分次第だ。

本書の最後では、アドラー心理学では人生を『点の連続』と定義しているが、私の好きなAppleの創業者、スティーブ・ジョブズもかつて似たようなスピーチをしていたことを思い出した。

本書はキーワードになっているところが多く、読んで全てを自分の中で
理解し、行動することは容易ではない。

自分をただ受け容れようと思うことも
他人を信頼しようと思うことも
他人に介入しすぎないことも

どこからでも構わないと思う、まず実践をして欲しい。

是非、自分に合ったテーマから日常生活に生かして欲しい。

それでは、また。