見出し画像

直観脳 脳科学がつきとめた「ひらめき」「判断力」の強化法

岩立康男 
1951年生まれ。千葉大学脳神経外科学教授。千葉大学医学部卒業後、脳神経外科の臨床と研究を行う。


1.直感とは?

直感とは、自分の経験知や知識によってもたらされるものであり、脳は言葉にできない新旧様々な記憶と新たに得られた情報を繋ぎ合わせて無意識の中で思考して判断しています。直感は無意識から生まれ、時には私たちが意識的に気づかないほどの微妙な情報を元にしています。脳の中で行われるこのプロセスは、我々が意識的にコントロールすることが難しいものですが、その結果として得られる判断は驚くほど正確です。

優れた直感には、脳を広く使うことが重要だと著者は述べています。脳の異なる部分が情報を総合し、それぞれの専門知識を生かして判断することで、より的確な直感が生まれるのです。このように、直感は我々が日常的に行っている思考の一部であり、その重要性を認識することでより良い意思決定をする手助けになるでしょう。

2.集中ではなく分散こそが鍵

脳を最大限に使いこなすためには、逆説的なアプローチが必要かもしれません。著者によれば、脳を広く使うための秘訣は「集中しないこと」なのです。脳は、「集中系」と「分散系」という2つの異なるシステムを持っています。前者は、複数の課題に意識を集中させる際に活性化され、後者は大脳の広い領域を均等に活性化させるためのものです。

直感力を高め、脳のポテンシャルを最大限に引き出すためには、「分散系」を活性化させることが鍵です。つまり、何か特定の作業に集中し続けるのではなく、さまざまな活動や刺激を通じて脳を刺激することが重要です。このような状態では、脳の様々な部分が活発になり、新しいアイデアや発見が生まれやすくなります。

もちろん、集中力が必要なタスクもありますが、時には意識を広く広げ、脳の活性化を均等に行うことが重要です。

3.直感力を高めるには?

「よい記憶」を蓄積することは、人生において重要な要素です。その中には、成功や達成感を伴う「よい結果」だけでなく、目標を持ち、全力を尽くした努力も含まれます。どんな経験や趣味でも、その中でのめり込み、楽しむことが肝要です。

また、なぜあることをするのか、その理由を考えることも重要です。なぜかを考え、その結果が自分の中で納得できるものであれば、それは記憶のネットワークに残りやすくなります。なぜかを考えることで、その出来事や経験の本質を深く理解し、より強固な記憶として残るのです。

著者は「直感力を発揮するためには、あせらずにゆっくりと進むことが重要」と述べています。時間をかけることで、自分の経験や知識と新たな情報を結びつけ、矛盾のない決断ができるようになります。そのような決断は、自分自身の成長や学びとなり、より深い記憶として残るでしょう。

まとめ

革新的なものが生み出された裏には、必ずといっていいほど、「ひらめき」が存在します。ひらめきは偶然の出来事ではなく、観察や経験、熟考が重なった結果として生まれるものであるとされています。だからといって「ひらめこう」と頑張っても生まれるものではありません。考えて考えて考え抜き、力を抜いた瞬間に訪れるものなのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?