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『世界のエリートがやっている 最高の休息法 「脳科学×瞑想」で集中力が高まる』

久賀谷 亮
医師(日・米医師免許)/医学博士。イェール大学医学部精神神経科卒業。アメリカ神経精神医学会認定医。アメリカ精神医学会会員。日本で臨床および精神薬理の研究に取り組んだあと、イェール大学で先端脳科学研究に携わり、臨床医としてアメリカ屈指の精神医療の現場に8年間にわたり従事する。そのほか、ロングビーチ・メンタルクリニック常勤医、ハーバーUCLA非常勤医など。2010年、ロサンゼルスにて「TransHope Medical」を開業。同院長として、マインドフルネス認知療法やTMS磁気治療など、最先端の治療を取り入れた診療を展開中。臨床医として日米で25年以上のキャリアを持つ。脳科学や薬物療法の研究分野では、2年連続で「Lustman Award」(イェール大学精神医学関連の学術賞)、「NARSAD Young Investigator Grant」(神経生物学の優秀若手研究者向け賞)を受賞。


1.脳は常にエネルギーを消費している

脳の疲労は、身体の疲れとは一線を画し、十分な睡眠をとってもすぐには解消されない場合があります。その疲れが長期間にわたって蓄積されると、心の健康に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。興味深いことに、脳はそのサイズに比して非常にエネルギーを消費します。実際、私たちの身体が使うエネルギーの20%が脳に使われるのです。

このエネルギーの大部分は、"デフォルト・モード・ネットワーク"と呼ばれる脳の回路によって消費されます。これは、私たちが意識して行っている活動ではなく、心の中で漠然としている時でも活発に機能する脳の一部です。内側前頭前野、後帯状皮質、楔前部、下頭頂小葉などから成り立っています。

デフォルト・モード・ネットワークは、脳のエネルギーの60〜80%を消費すると言われ、私たちが何も考えずにいても、このネットワークは不断に働いています。これにより、私たちの脳は無意識のうちに疲れを感じていくのです。

2.マインドフルネスの有用性

ビジネス界でも、最新の脳科学に基づくアプローチが注目を集めています。脳を直接的に働きかける手法が取られ、特に第3世代の認知行動療法や瞑想がビジネスパーソンの間で人気を博しています。科学的に裏付けられた効果として、瞑想が脳にポジティブな変化をもたらすことが実証されているのです。

瞑想を通じて身につく「マインドフルネス」は、グーグルやアップル、フェイスブックなどの世界的な企業でも採用されています。マインドフルネスは、ビジネスパーソンが経験するような心の疲労やストレスに効果を発揮しているからです。

2009年のニューヨークでの研究では、医師70人にマインドフルネスプログラムが導入され、感情的な疲労が25%改善されたという報告があります。また、マインドフルネスを習得した人々とそうでない人々との間には、統計的に有意な関連性が見られました。これにより、マインドフルネスがビジネスパーソンの疲労症状を軽減する有用性が示されたのです。


3.今を生きる

脳の疲れやストレスは、私たちが過去や未来の出来事に関して心配したり、反芻したりすることから生じると言われています。特にうつ病の患者に見られるように、過去の出来事や将来の不安にとらわれる傾向が、デフォルト・モード・ネットワークを過度に刺激し、脳を疲弊させます。この状態は、「心が今を生きていない」ということに起因していると言われ、こうした状況を打破するためには、マインドフルネスが不可欠なのです。

では、マインドフルネスとは何か?マインドフルネスとは、現在の瞬間に意識を向け、評価や判断を差し置いて、ただそこに存在することです。この実践によって、未来への不安や過去の出来事から解放され、脳が休息することができます。具体的なマインドフルネスの方法としては、呼吸に焦点を合わせる「マインドフルネス呼吸」や、食事をする際に食べ物の味や香りに意識を集中する「食事瞑想」などがあります。これらの実践によって、心と体の健康を促進し、心のバランスを取り戻すことができるのです。

まとめ

マインドフルネスは、現在の瞬間に集中し、評価や判断を排除することです。この実践により、過去や未来の不安から解放され、心と体がリフレッシュされます。呼吸や五感を通じて、今を感じることで、ストレスが軽減され、集中力や幸福感が高まるのです。日常の小さな瞬間にもマインドフルネスを取り入れることで、心の安定と豊かな人生を築くことができるでしょう。



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