(詩) 「大地はもう黒く」
宿命のように旋律を否んだから
体に傷を受けて飛ぶ鳥
しいられた全ての歌に背をむけて
降りやまぬ雨が
街を区切って貫く太い川をどこまでも
青く 青く 沈めてゆく
大地はもう黒く焼けただれている
ただあの青い川を道しるべにして飛ぼう
取り戻せない空
夜明けに向かって伸びる細い枝を眺めて
呟き 喘ぎながら
鳥 鳥 うたをうばわれた鳥
きみのなかに宿るうたは
今もまだ眠ったまま
傷ある鳥の翼は でも美しい
きみはその羽を自ら繕って
ただれた土壌の土を払い落とす
薄い光が胞衣のように身をつつむ
夥しい影が遥か眼下に蠢いている
音を放たない闇は暗いが
それは きみには触れられない
空をゆくきみの瞳から ふと
一滴の涙がこぼれおちる
その冷たい粒は膨大な群の中に
吸い込まれ すぐに蒸発した