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(詩) 「緑風橋 吹田」



射す陽の裏に沈む街角
あらう風 静寂の音響
辿る道の内部を照らす
陽は翳り 風を包み
又一面の雲を境界に向かってふちどり染めていく

此処で時間は和らいで
住民たちのくぐもった話し声
あらう風 遠景に気配のように
記憶の坑道を進みながら
こわばる波長をほどいていく

川の表面 おもてに濃い緑色の皺を刻んで
時間を風の内側に縫い留める
空白の巨大な量感が扉を開けて
射す陽を翳らせ 風を雲へと頻りに
かえしながら

影、町、風、に分け隔てていたものを
元に戻らせ 鎮めていく