刺激がなくても毎日は楽しい…だけど… 映画『Repeat After Me』
毎日をそつなく生きる。悪く言えば「平凡」になってしまうけれど、その生活がずっと続くことは、それはそれで幸せなことだと思います。
でも、いつか夢中になれること、寝食を忘れて没頭できることに出会ったとき、自分は平凡な生活を捨てて、そっちを選ぶことができるのかと考えることもあります。
今回おすすめする映画『Repeat After Me』は、15分の短編でありながら、その瞬間は予告なくやってくると教えてくれる一本です。
英会話講師、ヨシ。３７歳、独身。趣味はジグソーパズルとお笑い動画。会話の相手はペットの亀。単調な毎日を繰り返すうちに、いつしか孤独であることを忘れていた。そんなある日、ヨシは外国人シングルマザーのメグと、その娘ハンナを遊園地へ連れて行くことになる。二人と過ごす柔らかな時間が、埋もれていたヨシの感情に、そっと光を当てる…。
本作の主人公・ヨシは英会話教師。人生で特に刺激的なことがなくても、日々を楽しく生きる優しい人です。
仕事をして、ご飯を食べて、趣味のジグソーパズルをする。そんなちょっとした楽しみの繰り返しで、大きな変化は求めていません。
でも、ふとしたことがきっかけで、本人が気づく間もなく心からある感情が溢れ出ます。これまでは心のコップに注がれても珪藻土にように吸い込まれていたものが、止めどもなく溢れて出てしまいます。
「Repeat after me. "I feel lonely."」
自分の意と反して感情が溢れ出てしまうことは、一見すると苦しいことに思えますが、刺激され変化することの先には、これまで考えもしなかった人生が待っています。
どっちが正しくて、どっちが悪いとかはありません。でも、自分の心が動いたならば、素直に向き合って、自分のためにできることを精一杯、思いっきり、力の限りを尽くしてみよう…。そう思える作品でした。
いつかの自分のために、見ておいて絶対損はしない一本です。
それではまた、ゆうせいでした。
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