この幸せが一生続けと泣きながら願った… 映画『閃光』
元カノが結婚すると知った夜、公園で台湾人の女性と偶然出会う。すべての男の夢みたいな映画を見ました。これが本当の話だったらな…と思うほどに、切なくてエモーショナル。恋愛に傷つき、傷つけし誰もが見る1本です。
久しぶりに会った元カノから結婚すると言われたとき、男はどう思うでしょうか。いろんな感情を抱きつつも、一言で言えば「やるせない」です。
別れた彼女に対して、どれだけの気持ちが残っているかによりますが、かつて自分とは合わなかったにせよ、別の人と幸せになります的な話をされて無傷でいられるはずはありません。
もちろん祝福する気持ちはあります。だけど、そう簡単に割り切れる話ではないと言いますか…。
よく言われるのが、恋愛において男は別名保存、女は上書き保存。個人的には性別は関係なく、その人によると思っていますが、本作の主人公、将来に不安を抱えて生きるフリーターの和也は別名保存タイプでした。だからこそ割り切れないし、受け止めきれないのです。
「俺とあいつ、2人が幸せになる道はあったのか、なかったのか」
どれだけ考えても仕方のないことを心の中で反芻し、やるせない思いを抱きながら帰路につく。
その途中で公園のブランコで遊ぶ台湾人女性・月華(ユェファ)と出会う…。
ドラえもんのもしもボックスでもない限り、そんなミラクルは起きないはずなのに、本作のリアル感、手触り感が、それを受け入れさせてくれる。
ユェファと出会ってからの和也の日々は、すぐに晴れることはなくても、少しずつ小雨になっていきます。元カノのことが頭から消えることはなくても、ユェファのことを考える時間が増えていきます。
本当に他愛もない日々を重ねていく2人。フリーターと訳ありの台湾人女性が依存し合う暮らしに幸せは待っているのか。
嘘でもなんでもいい、とにかくこの幸せが、やさしい日々が、ずっとずっと続いてほしいと泣きながら見ている自分がいました。
2人の心の機微が繊細に切り取られている本作。せつなくて、やるせない夜のお伴におすすめです。部屋を真っ暗にしてご覧ください。
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