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【洋裁パターン作成】文化式原型を使わず、洋裁教室の授業をしている本当の理由とは

こんにちは、洋裁教室コモノのぜんばやしです。

今回の記述のテーマは、「洋裁の原型」についてです。

最近、中学校以来という超初心者の方からもよく授業の問合せをいただくので、初心者さんはどの様な所で困っているのか、調べていたんですね。

そうしたら、どこで学んだら良いかという選択の中で文化式を選ぶか、ドレメ式を選ぶか、トミー式を選ぶかという相談の記事を見まして。

いやいや、もう原型から基本を学んで手に職つけて、っていう時代でも無いやろ、と私は強烈に思っているので、今回はそこの所含めの話を書いてみたいと思います。ちょっとファッション業界ダークサイドに触れてしまう内容になるかもしれませんが。

ところで洋裁の原型って何?

服飾学校に行った事が無い人からすれば、先ず原型って何のことやらと疑問に思われる事でしょう。

原型というのは、立体である人体の上半身の半身を、平面に展開したものです。「平面作図するときの元」なので、原型。

なんでイロイロ種類があるかというと、まぁ、凄く雑に言うと、洋裁を教えている学校の流派の違い。文化服装学院は文化式で、ドレスメーカー学院はドレメ式で、と言った感じ。お茶とかお華みたいですね・・。

全然見たことも聞いたこともない、というのであれば単純に「文化式原型」とか「ドレメ式原型」とかでweb検索してみてください。そうすれば画像が出てくるので、具体的にはそちらでご覧あれ、です。

洋裁教室コモノが、文化式原型で服を作らないのは何故か


一応私は文化服装学院を卒業しているので、「文化式原型」を使う方法で洋裁を教えるべきなんでしょうが・・・実は、使ってません。原型。

えっ。って思われるでしょうが、洋服作るのに原型、いりません

それ知るのに100万以上払って習ったのに何で、って言われそうですが・・だって、無くても作れるんですもの。実際のところ。
自分が使って作図してないのに、それを教えるって変じゃないですか。
なので、自分がやってる方法を洋裁教室では教えています。

原型使うパターン作成って、まぁ、裸の人体を平面化して(原型にして)、そこにどれくらい服としての形の寸法(緩み分)を足して平面化するか、っていう考え方な訳ですよ。

洋裁学校では、先ず〇〇式原型で自分の原型を作り、そこに服としての緩み分としてバストに何センチ、丈何センチ、肩先に何センチ上がって何センチの幅を出す、という形で平面の作図をしていきます。

しかしこれって、いろんな体型の人が共通のデザインの服を作って着る、という前提であって初めて、意味がある考え方での作図だと思うんです。

身も蓋もない言い方で何ですが、もう、ユニクロさんが圧倒的な安さと品質で共通のデザインの服を提供してくれてるから、わざわざそういう方法で服を作らなくてもいいじゃん。って思うんですよ、私は。

今の時代の服づくりは、どのようになっていくか


誰も彼も流行りのデザインの服を一斉に着たい時代・・それは、すでに過去のものだと思います。皆が憧れの女優さんと同じデザインの服が着いとか、今シーズンは何色が流行りだ、とか。

今の気分を着るのも悪いわけじゃないし、そういう世界もある程度は存続はするでしょう。でも、実際に売れる母数が圧倒的に小さくて、製造の立場としては商売にはなりにくい。

流通のピラミッドの頂点に位置する販売プラットフォーマーは、売れそうなものを作ってる製造者のものをピックアップして売らせていれば、堅実に稼げる。しかし製造の立場の人は、昔のように流行としてのシルエットのものを大量に製造して、利益を出すのは非常に難しいと思います。

皆、気がついたんだって思います。

「流行」って、ファッション業界がかなりの部分、意図的に設定しているんだって言うことを。

それに憧れで流行りの服を着たところで、必ず自分が魅力的に見えるようになるわけでもない、ということも。

今は「自分に似合う」「自分をより美しく見せてくれる」

そっちの方に、要求が移行している。

まぁ、沢山物が溢れて簡単に手に入れられるようになったことによって、お客さんの目が肥えちゃったんだと思います。
それに費用対効果に敏感になった、というか、現実的になったというか(苦笑)。

結局のところ、みための服は自分の演出の手段であって、目的じゃないですから。

物が有り余るようになって、沢山持つことに飽きているのもあるし、要求がありえないほど高くなってるのに気がついてない感じもある。

量産のレベルに、オートクチュールレベルを求めてる。

無理でしょ〜 って思う。
産業構造的に一定期間、ある程度の数の服を完全に売りきらないと、とてもやっていけないのに。

時代は大量消費を求めてないのに、既存のファッション業界の販売体制にガッチリ組み込まれてしまってるんですよね。
大分瓦解しはじめていますが、生存出来ず生産の現場から人が居なくなるから、自然に淘汰されて、大多数のブランドは無くなるんだろうなと思う。

結局、ユニフォーム的にベーシックなデザインの服を、ファストファッションの製造業者が手堅く提供するのがメインになる。・・もう既にそうなってますよね。大多数が「ユニクロでいいや」ってなる。それなりにデザインも洗練されてるし、やっぱり強いよな〜って思う。

皆と同じ服が嫌な人は、古着など過去の遺産を漁るか、手作り作家と呼ばれる服作りをしている人の物を買うようになるのかも。

手作り系は質は良し悪しで、小さいマーケットで、今のテイストを楽しむ消費がグルグルと回る。これも長いスパンでの流通というよりは、気分を買うのがメインになるんじゃないかなとも思ってます。

昔からファッション業界は水モノって言いますけど、そういう点は強固にまんま存続ですよね、色々厳しいよなぁ。

今ファッションを仕事にしたい若い人に、服飾学校で学ぶことをオススメしにくい理由


少し前にファッションが好きで仕事にしたいと考えている大学生さんが、私の教室を良く利用してくださっていたのです。ウチに来る前、あちこち服飾を仕事にしている人(製造系)に会って話を聞くたびに、「やめときな」と言われたと言ってました。

そりゃ、そうやろ。と思う。

何をどう考えても、作る方は将来性低い。
流通(販売)の方をやるのなら、色々切り口があるし可能性はあると思うけど。
製造の方はどう考えても、貧乏くじだからね。

私が30年前に服飾学校で学んだときでさえ、同窓でパタンナーになった子が就職した時に、学校で学んだことは全て忘れろ。と最初から言われた。と卒業後会った時に話しているのを聞きましたよ・・。

学校での服作りと、生産現場での服作りは、全く違う。

私は服の業界出身ではなく縁故もないので、現在の服生産現場の型紙作成がどうなっているのかよく知らないのですが、大分オートメーション化しているのではないだろうか、と思ってます。

数年前ニットの世界は、3Dでデザイン企画が出来るというニュースを聞いたような記憶が・・(あいまい情報ですみません)。

もう服は手で製図する必要は無く、ある程度基本的なデザインは着せる人のサイズをPCに打ち込んだら、自動的に計算してベーシックな型紙をCAD出力してくれるようになってるんじゃないかと思うんだけど、どうなんでしょうか。

少なくとも量産の世界は、そういう世界を構築してるか、そっちの方向で進んでいると思う。

そういう中で学校で今さら製図を原型からチマチマ引き、縫製の学習を3年間約300万かけてやってどうなるかというと、大分微妙だと答えざるを得ない。

服飾の専門学校というものが、ある意味、花嫁修業的な需要を前提にセッティングされているような気がするのは私だけでしょうか。2〜30年前の社会構造を前提にしてるような。

生徒さんの大多数は女子だし。一応服作りのやり方を、一通り学び終えたら終了。数年就職して結婚したら退職して、子育て中に家族の服を作るのに学んだことが使えるよ。といったような感じ。

製造現場と違う服の作り方を学んでも、それだけで仕事にしていけるかというと大分厳しいのが現実。手作り品をweb販売を中心に展開すると考えても、マーケティングの基本的な知識やスキル・ある程度以上の実行経験が別に必要になる。

ということから費用対効果を考えると、今から洋裁学校で学ぶのはどうかな〜と思う。正直なところ。
勿論基本から学ぶのに、意味が無いとは言いません。

でも、既存の学校に行けばその道のプロとして食べていけるというのは、もう無い時代に入ったな、と私は思っています。これは服飾だけではなく、全ての分野に関して同じようなことが言えるのかもしれませんね。

洋裁教室コモノでは、パターン原型を使わず、どのような形で服を作っているのか


ここまで読んできた方は、じゃ、あなたの洋裁教室ではどうやって服作ってるの?と、そこが気になると思います。

ウチでは直接「自分の」デザイン原型を作成するのです。
まぁ、生徒さんが作りたいのであれば。ですが。
例えば「シャツ(ブラウス)原型」など、これからずっと作り続けそうなものがはっきりしてる人は、それを開発してます。

最初は自分に似合ってる現物の服から型作りしたものや、既成の型紙付き本の服を雛形にして、徹底的に仮縫い補正。

そうして自分の体型に合う&綺麗に見せるシルエットを作り出します。
補正作業をしながら、型づくりの基本的なポイントを実地に学ぶ形で、授業をしています。

服って、痩せてるから何でも似合う、とか、そういうもんじゃないんですよ。
ハッキリ言って、ウエストくびれがなくても、十分着痩せします。腹があんまり出てると微妙ですが、ある程度太っていても、さほど問題はない。

特に首周りの「アキ」がどのようなバランス・布の量感で存在するか、そこでいくらでも見た目の印象が変わるものです。

自分が素敵に見える布の量感のシャツや、ワンピースやパンツのシルエットというのがありますよね。中年以降の人は、今までの洋服を着てきた経験から、ある程度自分のシルエットというのが既に分かっていると思います。

そのシンプルな元型的な服の型紙を作っておく
それを原型にし、そのバリエーションで毎回服を作る。

そういう形での服作りを、洋裁教室コモノでは、やっています。

実際ブランドさんの服作りでも、それぞれのブランドさんのシャツとかパンツとかのデザイン元型があって、それのバリエーションで毎回作っていると思うんですよね。同じやり方をするわけです。

そのマイデザイン原型を作るのに何が問題になるのか。
それは、ズバリ「美しいシルエットを見出す力」

もうすでに、型紙付き本が大量に安く販売されている今、原型に寸法を足して型紙を作ることに時間を費やす必要は全く無いと思ってます。

原型から製図して服を作っても、結局、仮縫い補正は毎回必要になる。同じ型紙で服を作っても、布地が変われば全然違うシルエットの服になるんですよね。

この仮縫い補正の時に、毎回どれだけ自分がイメージしているシルエットに近づくまで粘れるか。そこが勝負です。

なんとなくモッサリしている服になってしまう理由は、縫製の技術も勿論ありますが、着ている人との分量感のミスマッチだと思います。

私はこの仮縫いこそが、デザイン・服を作り出す行為だと思っているので、時間の許す限り仮縫いの作業に時間を割くことをおすすめしています。

仮縫いで着心地の悪さを治す操作や、基本的な洋裁の約束事に沿うように補正すると、シルエットも結果バランスがよくなるんですよ。面白いですよね。

結局量産の服は、全体の平均を取るモノづくりなので、だいたいフィットするけど誰にもフィットしない服、なんですよね。

数十万払ってオートクチュールで服を作ってもらえる人は、プロに任せればいいと思います。
そこまでは必要ないけど、ちょっとシルエットにこだわりたいという場合、自分で趣味として作るのも、これからはアリではないかなと思うんですね。

ある意味、凄い贅沢でもあります。
どこにもない自分だけの物を作るのに、手間暇かけているわけですから。

多分、全然今までモノづくりをしたことがなかったら、紙に線を引くだけで凄く大変で、自分の出来なさにビックリすることでしょう。

でも昔は大概、家の中で服を作っていたんですから、ある程度やれば誰でも縫い物はできるようになるものだとも、思います。
今はあまりにも生活の中で実際に手を動かすことが、少なくなりましたよね。

ウチの教室では、よその教室や学校では決まりきったものしか作れないのが物足りなくて、と通って頂いている方が多いですね。

あまりにも洋裁初心者なんですけど、とお教室に問合せされる方が近年増えているので、京都校でのリアル授業とは別メニューで、洋裁の基本をガッツリと学べるものを用意するべきかな、と今考え始めています。

今はYoutubeなどで発信されてる人も沢山居るしな〜 と思っていたのですが、バラバラとしてて学びにくいのかもしれませんね。

ちょっとプランがまとまりましたら、報告します。
洋裁初心者向けの学習に興味ある方は、フォローしてくださると嬉しいです。

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