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YourTable(フードバンク)の活動について

 YourTable(フードバンク)は、食品ロスを削減し、支援者に提供するために、余剰食品を無償で提供する活動を行っています。フードバンクは、企業や個人や農家の方々による寄付によって運営されており、その活動は、食品ロスの削減、地域の支援者の相談先、地域のつながりの強化など、様々な効果をもたらしています。

 食料を支援者に届けるというフードバンクの活動は、1960年代にアメリカで始まりました。当時、アメリカでは、農家が収穫した農産物を余剰で抱え、廃棄せざるを得ない状況がありました。また、多くの人々が貧困に苦しんでおり、十分な食料を得ることができませんでした。アメリカのフードバンクの配布物量は、2023年で約60万トンに達しています。これは、2022年から約10%増加し、年間約4,000万人が利用しています。
 フードバンクは実際の食料を支援者の手に届ける活動ですが、フードスタンプという、低所得者向けの食料援助プログラムがあります。現在は食料品店で買い物をする際に利用できる電子マネーの形態をとり、政府によるフードスタンプの配布金額は2023年で約750億ドル(約8兆円)、約4,200万人が利用しています。

 イギリスにおいても類似の食料支援策として、スープキッチン、フードバンクやフードクーポンという仕組みがあります。16世紀以降、イギリスでは没落した農民がロンドン等の大都市に流入しスラム街を築くようになり、支援を必要とする国民が増加しました。1701年、エリザベス救貧法が制定され、救貧院(労役所)では、食事、住まい、職業訓練が行われるようになります。18世紀末、小麦の不作による貧困層の危機的な困窮対策としてスープキッチン(炊き出し、あるいは無料食堂の意味)が各地に設置され、1804年の冬にはロンドン市内の各所で毎週5万人に最低限の食料が提供されるに至る。
 また、食料支援の方法としてフードクーポンという政府から発行される食料券があります。食料品店で買い物をする際に利用することができ、低所得者向けの支援策として、1940年代からイギリスで導入されています。

 食料等の生活を支える最低限の支援を必要とする方へ物資を届ける仕組みは各国の事情により様々です。我が国では生活保護の仕組みがあります。生活に困窮している方が、最低限の生活を送るために必要な費用を金銭で支給する制度です。2023年1月現在、約210万世帯がこの制度を利用しています。生活保護は最低限の生活費を保障する制度で、平均的な支給額は世帯構成員数や年齢、居住地等により異なりますが、2023年1月現在、単身世帯だと約13万円、2人世帯で約20万円、3人世帯で約25万円ほどです。これを食費、家賃、光熱費、水道費、通信費、医療費、教育費、交通費、被服費、日用品費、娯楽費などに充てます。市区町村の福祉事務所を経由し、支給を受ける世帯所得や資産、家族構成などについて自治体による確認を受けながら手続きを進めます。生活保護による支援は、申請から受給の決定までに手続きや確認事務経るための時間、全国平均で約2週間がやむを得ずかかります。一方、フードバンク活動では、支援の申し出から実際に物資を入手するまでに多くの時間はかかりません。生活保護の受給決定による金銭の入手までの生活を支えることができ、素早く支援できるという特徴があります。公的な生活保護制度とわたし達もその一翼を担うフードバンクの活動は車の両輪のようでもあります。お互いの制度の至らない点を、補完していると考えています。

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