3月に読んだ本の感想その1(遊び、夏目漱石、教育、水木しげるなど)

 いつの間にか今年も1/4が終わり。早いですね。
 恒例の、今月読んだ本です。10冊載せてます。

1.『遊びと人間』(ロジェ・カイヨワ)★4
 なぜ人は遊ぶのか、ということについて書かれたフランスの社会学者の名著です。
 僕としては「なぜ演技は楽しいのか」ということを知りたくて読みました。(欲しい答えはなかったですが)
 筆者は遊びを競争(スポーツなど)、偶然(宝くじなど)、模擬(おままごとなど)、眩暈(ジェットコースターなど)の4つの成分があると分析しています。ここでいう「模擬」が「演技」にあたります。誰でも子供の頃にヒーローごっこなどをやったことがありますよね。
 「文明の道とは模擬と眩暈の組み合わせの優位を撤去し、競争と偶然の地位を上位に置くことである」
 「眩暈の共有は真の社会的靭帯である」。

2.『こころ』(夏目漱石)★4
 社会人になってから初めて読み返しました。
 感想が昔とあまりに違う…!! 超衝撃。
 昔は「先生」や「私」にほぼ100%自分を重ねて読んでいましたが、いまは随分距離をとって読むようになりました。何より「お嬢さん」に「先生」が全く向き合ってなく、クズやん、と思いました。
 この作品の凄いところは、近代的知識人である「先生」に「殺人」をさせたところですね。

3.『公立vs私立』(橘木 俊詔)★1
 2014年の本です。「小学校から大学に至るまで、結局私立と公立どっちがいいの?」ということを検証した本です。
 読んでいてうーんとなったのは、「偏差値が高い私立」と「偏差値が低い私立」を区別した研究が少ないのかなと感じたからです。紹介されている大体の研究が、「私立」という枠組みのみでくくっているような印象を受けました。それでも私立出身者の方が生涯年収は高いらしいです。ただし最近は公立も復活しているので、この先もそうとは言えないと思いますが。

4.『学校の当たり前をやめた』(工藤 勇一)★4
 話題本。手段と目的を取り違えず、目的意識をもって仕事をしようという内容がビジネス本としてもうけているんでしょう。
 今の時代の教師は広いネットワークが必要だなと感じました。

5.『ゲゲゲの娘日記』(水木悦子)★3
 鳥取県民にオススメ!!! 特に都会に出てきた鳥取県民。鳥取弁全開で、読んでいて超懐かしくなりました。
 初対面のNHKの人に「アンタ、頭が巨大だ!脳みそが二つ入っとるの!」という水木さんの人柄よ。

6.『オクスフォード&ケンブリッジ大学 さらに世界一「考えさせられる問題」』(ジョン・ファードソン)★2
 両大学で実際に出たとされる「面接時の質問」と、それに対する「筆者の答え的なもの」が37個くらい載っていました。
 答えはあまり面白くないんですが、問題がとにかく面白い。
 医学部「あなたならどうやって警察に知られずに人に毒を盛りますか?」

7.「注文の多い料理店」(宮沢賢治)★3
 今読むと、食べられかける二人の男は「イギリスの兵隊風」で「ピカピカの銃」をもつ「若く太った」二人なんですね…。
 最後に化け物サイドが食べて勝利で終わりではないことに寂しさを感じました。

8.『ゲゲゲの鬼太郎2 妖怪軍団』(水木しげる)★3
 ねずみ男が毎回クソ野郎すぎて笑う。あと、毎回許す鬼太郎の懐のでかさがすごい。

9.『日本語は論理的である』(月本洋)★2
 人工知能の研究などをしている理系の教授が「論理学」を使いながら日本語が論理的であるということを説明している本。
 途中から難しくてお手上げ。ちゃんと理解しようと思ったら「生成文法(チョムスキー)」「認知言語学」「行為連鎖モデル」「形式論理」などを考えないといけない。一回で入ってこなかった本。でも「言葉は比喩」「論理は比喩」あたりは面白かったです。

10.『奇跡の演劇レッスン』(兵頭友彦)★5
 在校生の6割が不登校経験者という高校で、演劇のレッスンや演劇部の顧問をやっている国語教師の本。
 演劇がなぜ人を変えることができるのか、ということが書かれている。
 演劇、特に演劇教育やワークショップに興味があれば必読です。基本的には説明文というよりエピソード紹介&戯曲という形で進んでいくので、読み物としても面白いです。


 今回はここまで。

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