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2月なのに大晦日?旧正月ってなに?

みなさん、あけましておめでとうございます。

ハッピーバレンタインのほうがもうすぐですが、なぜいま新年の挨拶と思われたかもしれません。みなさん、「中国の春節が始まりました」というニュースを耳にしたことがあるのではないでしょうか。春節とは中国の旧正月、元旦のことを指します。中国をはじめとするアジア諸国では、旧暦に基づいた文化があります。私が駐在していたベトナムも同様で、ベトナムでは、旧正月を⦅TET/テト⦆と呼びます。旧暦では2021年は本日、2月12日が元旦となり、昨日の2月11日が大晦日ということになります。本日は旧暦について、テトについて、ベトナム生活の経験をもとに少しお伝えできればと思います。

旧暦ってなに?国によって日付感覚が異なる?

ベトナムは中国の影響を強く受けており、いまも旧暦文化があります。旧暦では本日が元旦。今日が1月1日で明日が1月2日?これってどういうことなのでしょう?ベトナム人は私たちと違う暦で仕事や生活を送っているの?と不思議に思われる方もいるのではないでしょうか。

まずは旧暦と新暦について少し説明します。旧暦とは太陰太陽暦、つまり月の満ち欠けに基づいた暦です。月は、新月から満月までは29.5日と言われており、この周期を1か月と考えます。余談ですが、女性の生理を日本語で月経と呼びますが、これも大体ひと月の周期と一緒ですね。月と太陽がいかに人々の生活のリズムを作っていて、私たちの体とも関係しているということが分かります。日本文化にも旧暦に基づいた考え方や文化があるようで、探してみると面白いかもしれませんね。一方で新暦ですが、こちらは現在世界的な基準となっている太陽暦(グレゴリオ暦)となり、こちらは地球が太陽の周りを回る周期に基づいた暦です。地球が太陽の周りを回るのはおおよそ365.2xxx日とのことで、こちらを1年として考えます。旧暦・新暦ともに、少しづつ実際の季節とは異なってきてしまうため、それぞれうるう月・うるう年を設定してその時間のずれを調整しているようです。

ベトナム人にとって旧暦は大切な暦、お正月はもちろん旧暦でお祝いします。ただ、普段の生活や仕事は新暦に沿って生きていますので、日付の感覚は私たちと同様です。ベトナム人と接していて思ったことは、2つの暦を使い分けて生きているのではないのかということです。誕生日はどちらを正とするのかというと、どっちもあり、新暦だとxx日、旧暦だと今年はxx日と言われたことがあります。ベトナムではカレンダーは、新暦中心のカレンダーの日付の横に小さく数字が書いてあります。これは、旧暦に日付が書かれているのです。

旧暦のベトナムは13か月分の給料がもらえる

ベトナムは13か月分の給料がもらえると聞いたことがあります。12か月しかないのにどうしてと不思議になりますよね。これも、旧暦に基づいた考え方によるものだと気づきました。旧暦は、月の満ち欠けの周期を1か月と考えるため、少しずつ季節とずれが生じてきます。計算してみると365日よりも1年が短くなりますね。毎年の旧暦の正月の日付が異なるのは、そのためです。どんどんずれていっては季節がおかしくなってしまうので、うるう月という13か月目を追加して調整しています。ここから13か月分の給料という文化があるのだと思います。実際のところは、12か月分+テト前後にボーナスとして支給というような感じですが。ちなみに、うちの会社はテト前に支給となっていました。理由は、テトという一大イベントでお金が必要になるからです。

テトホリデーは家族と過ごす大切な時間

ベトナム人にとって一年のうちでの一大イベントがテトです。テトは毎年前後含めて7日くらいが連休となります。祝日が少ないベトナムでは、この長期休暇でほとんどの方が帰省して家族と一緒にお正月を過ごします。私たちのお正月の感覚よりももっと大切にしている印象があります。自論ですが、ベトナムでは「社会人」という言葉は馴染みがなく「家族人」、つまりは家族を大切にできるようになることが一人前と考えられるような文化があると聞いたことがあるので、そういった意味でも、新年を家族で迎えることには大きな意味があるのではないかと思います。また、テト期間、ベトナム人が働く場合、会社は通常期の4倍の給料の支払い義務があります。このことはいかにテト期間に休むことを大切としている文化なのかがうかがえるのではないかと思います。もちろん、業種やお仕事によってはテト期間に働かなくてはいけない方々もいらっしゃいますが、テト期間は一斉に帰省をするため、普段人で溢れかえるホーチミンですが、飲食店も閉める店舗も多く、閑散とします。

ベトナム人はテトが近づくと働かない?

そんな一大イベントが近づいてくると、ベトナム人は「頭の中がテトでいっぱい!」というような雰囲気が一目瞭然になります。うちの会社のスタッフだけでしょうか(笑)テトはお金を使う、と先ほど書きましたが、みんなテト前になると色んな準備を始めます。黄色い花(梅)や赤い装飾(縁起がいい)を用意して軒先に飾ります。個人宅も、マンションも、会社も、町中が装飾でいっぱいになります。そして帰省に備えて、髪をきれいに整え、ネイルをして、服を買って、、、と見た目も急に変わるところは素直でとてもかわいいです。そしてベトナム人と一緒に働きながら思ったこと、テト前は仕事にならない、についてですが、ここも気づいたことがあります。それはベトナム人は旧暦でも生きていることです。私たちもクリスマスが終わって、年末が近づくころになると、もう仕事納めだから、あとはメールチェックだけ、、なんてことが起こりますよね。今年の例でいうと、2月上旬は旧暦の年末、新年を楽しみ迎える時期にさしかかっているのか、と考えるしっくりときます。異文化を理解するには、その国や土地の方々の生き方、考え方の根本にあるものを知ることがまず一歩です。そのためには旧暦という考え方はとても大切なポイントだと思いました。

テト期間中に旅行するなら絶対に気を付けて!

テト期間は残念ながらスリなどの軽犯罪が増加します。帰省やお正月の準備にお金が必要になるからだと言われてます。また、外国人もベトナム人も気が緩みがちという点もありますね。もしテトの期間に出張や観光でご渡航される方は、人が多い通りでは財布・携帯は肌身離さずよく注意して歩くようにしてくださいね。私はベトナム生活に慣れた2年半が経った頃、テト前に携帯をすられました。テトの装飾品を売っている出店がたくさん並んでいる通りを歩いていた時、人で溢れていた通りで、うっかりリュックを後ろに背負ったまま歩いたり立ち止まったりしていたら、気づいたらリュックの小さいポケットに入れていた携帯がなくなっていました。なんだか危なそうな場所だな、と思ってはいたので最初は前に抱えていたのですが、見入っているうちに背負ってしまっていたようです。。。

ベトナム人は新暦のカウントダウンはしない?

最後に、ベトナム人にとっての新暦についてです。結論からいうと、新暦も新暦で普段から意識していますので、カウントダウンをします!カウントダウンのイベントがあったり、ハノイやホーチミンでは何か所からか日付が変わるタイミングで花火があがりますよ。ただ、私たちのクリスマスに対する感じに近いのかな、と思っています。一年を振り返ったり新年の抱負を考える、という意味ではやはり旧暦が基準となっているような印象です。一緒に働いていてわかったことは、新暦での新年を迎えるときは「HAPPY NEW YEAR」という感じで、旧暦の新年を迎えるときは「Chúc mừng năm mới」なのだそうです。「Chúc mừng năm mới」はベトナム語でのあけましておめでとうの意味です。つまり日本語だとどちらも同じですね(笑)新暦では仕事上のカレンダーで新年になったというニュアンス、旧暦でやっと一年が終わってまた新しい一年が始まるという感覚なのでしょうか。旧暦と新暦、歴史的にも奥が深くて面白いですね。

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