そうだ、ヒッチハイク、しよう⑰ 北海道編 中編
世界は割れ響く耳鳴りのようだ
いよいよ私のゲーム仲間のうちでも未だ誰も会ったことのない北海道の漢、シル君が仕事を終えて颯爽と登場。
ゲーム中はその甲高い声と愛すべきお茶目な悪戯キャラとで、可愛らしい少年のイメージの彼だった(恐らく他のメンバーもそう思ってる)が、今私の目の前にいるのは可愛らしいとは真逆のイケメン。
うーん、近い芸能人を強いて挙げるなら仮面ライダー龍騎の頃の松田悟志。
そんな超絶イケメンのシル君と札幌の地下を進む。途中、通行止めになっている箇所があり何だろうと思っていると
「あ、ここが酒の悪魔が暴れた聖地だよ」と教えて貰った。
つい先日に地下鉄大通駅の構内で起きた、「俺は酒の悪魔だ、デビルハンターを呼べ」とチェンソーマンネタを叫びながら暴れた男が逮捕された事件、その現場がまさにそこであり、チェンソーマン好きにはなかなかにマニアな聖地巡礼スポットと化していたのだ。
札幌は女装趣味の男性がラブホで殺害されて首を持ち去られる事件なども記憶に新しく、定期的に飛び抜けてヤバイ事件が起きる地域としての印象が強い。
そんな札幌でシル君と頂く最初の北海道ご飯がこちら。
ラムしゃぶ!
北海道だからと言って安易にジンギスカンに甘んじることなく、それでいてしっかり羊でおもてなししてくれるシル君の心遣いに感謝。
そんでもって北海道限定のサッポロクラシックで乾杯。
わりと年下のシル君ではありますが、私と違ってちゃんとお仕事をしているので奢ってくれました。ご馳走様でした!
実に北海道を満喫しきった1日を終え、心もお腹も一杯にしてこの日は就寝。
時計台の鐘
ヒッチハイク生活も26日目に突入。全然意識してなかったのだが、世間はゴールデンウィーク真っ只中。通りで人が多い気がしていた。
昨晩は札駅からほど近い快活に宿泊していたので、そのまま札幌の中心部を観光しに行く。
大通公園を散策しながら有名な時計台へ。
こちらは時計台としては日本最古で重要文化財に指定もされているのだが、観光地としては不名誉なガッカリスポットとして有名だったりする。
確かに、周囲をビルなどに取り囲まれており景観もクソもないのだが、この時計台を中心に札幌が発展して行った結果としての現状であり、一方で時計台だけが変わらずにそのまま残っているのだと考えればちょっとは味があるのかもしれない。
そこまでガッカリさせて貰えなかったことが逆にガッカリな時計台を観た後はそのまま歩いて円山公園へ向かう。
結構な距離を歩いたので到着してからしばらく休憩。札幌という観光地にありながら公園で無為な時間を過ごすことの贅沢さと言ったら!
ベンチと喫煙所のついた公園というのもすっかり少なくなってしまったので、今のこのご時世でも灰皿を置いてくれていることに感謝しながら煙草をプカリプカリとやった後は本日の日中の主目的、北海道神宮と円山動物園へ。
せっかく熊本からこんなに遠い神社まで来たのだから、記念に何かお守りでも買おうと思い、悩んだ末に買ったのは交通安全でも厄除でもなく「学業守」。
来年こそ卒業できますように、というかなり切実な願いが込められているのだ。
買ったお守りは早速背中のデカいリュックに結び付ける。ここ北海道神宮で買ったお守りがリュックに着けた最初のお守りで、これ以降もどこそこでお守りを買う度に次々に取り付けていくもんだから、最終的には結構な数になったし鈴がジャラジャラ鳴ってだいぶ煩かった。
せっかく全国のいろんなお城や寺社を回るのだから、御朱印や城のスタンプなんかを集めれば良かった、とこの時に思いついたのだが、今から集め始めても逆にここまでで既に行った四国のお寺やお城で貰ってないことが悔しくなってくる気がしたので諦めた。
もしも第二回の全国ヒッチハイク旅があるとしたら、その時はぜひ御朱印集めやスタンプラリーの準備をして臨みたい。
そしてこれから全国旅に出ようと思っている人がいるのだとしたら、準備してから旅立つことを勧めたい。例え今は興味がなくても、私のようにあちこち行ってるうちに絶対興味が湧いてくるし、旅を終えた後も目に見える形で残り続ける数少ないものの一つになるのだから。(とは言え、御朱印貰うのも無料じゃあないので貧乏旅には向かないのだが…)
続いては円山動物園。
ひとり水族館に次いでひとり動物園も達成。残すはひとり遊園地くらいだろうか。因みに映画館は昔から一人で全然行ってたので平気。
どうしてだろうか、水族館の時は全然平気だったのに動物園はちょっとキツかったらしい。この日の私の簡易日記にはただ一言こう綴られていた。
「ひとり動物園は流石にしんどい」
踵鳴る
どうしようもなく寂しくなってしまったので、夜は再びシル君に晩ご飯を一緒に食べないかと打診したところ快諾して貰えた。やったね。
という訳で二度目の札幌ご飯はスープカレー。
この札幌で名物のスープカレーを頂くというのは、私にとっては「波よ聞いてくれ」の聖地巡礼に他ならない。
ゴールデンカムイ、チェンソーマン、波よ聞いてくれ、北海道は私の好きな漫画の聖地を巡礼しまくれる非常に神聖な土地である。
スープカレーの後は札幌の独自の文化である「締めパフェ」を堪能すべくパフェ屋へ。実はシル君のお気に入りのパフェ屋があり、昨日のラムしゃぶの後に「締め」ようとしたのだが売り切れで断念していたのだ。そのリベンジである。
お酒を呑んだ後の締めと言えばラーメンを想像する人が大半であるが、ここ札幌ではパフェで締めるのが流行りなのだと言う。
そりゃ私も最初は半信半疑だったけれど、これが意外と合う、と言うかパフェが美味し過ぎてなんかもう締めとかどうでも良くて、そりゃこれを食べる為ならお酒も飲みたくなるわねと言ったところ。
札幌は食文化の発信源なのでこの「締めパフェ」もいずれ全国のスタンダードになるのかもしれないが、甘党の私からすれば大歓迎。むしろ自分から締めパフェをお迎えする為に札幌への移住を希望します。
それにしても北海道ってマジで何食べても美味しくてすげえ。
流石にもう昨日もたっかいご飯を奢って貰っているし、今日も奢らせる為に呼び出したと思われるのも嫌なので、せめてスープカレーかパフェかのどちらかは私が奢ろうと思っていたのだが、シル君は嫌な顔一つせず当たり前かのように両方奢ってくれた。男前過ぎる。
シル君と別れた後は夜のもう一つの主目的、札幌の超有名女装スポット「7丁目のパウダールーム」へ。尚こちらは発展場ではなく普通の女装バー。
やはりヒッチハイクで遥々やって来たというのはどこへ行っても掴みのネタとしては極上。皆色々聞いてくれるし、色々教えてくれる。
この北海道の地をどこまで目指すのかという話になった時、もし最北端を目指して稚内までヒッチハイクで行ったりするのなら、このGWという時期だからこそ車で向かおうという物好きなバカも多いだろうからチャンスだと教えて貰った。うーん、確かに。
7丁目のパウダールームの店長である満島てる子氏は本当にプロだった。
私もこうやって知らない人と会って話をしているとよくバーのママとかやってそう、とか絶対向いてる、なんて言われたりしてその気になっていた事もあったけれど、彼女を見てこれが本物のプロだと思った。客への気遣い、ノリ、どれを取っても一流。とても敵わないなと。
そんなこんなで札幌二日目の夜も終了。
明日はヒッチハイクでひとまず旭川を目指す事だけは決めている。
果たしてそのまま稚内へ向かい、日本の最北端を目指すのか。
それとも旭川にも辿り着けずに北海道から逃げ帰る羽目になるのか。
次回、北海道編のクライマックスにご期待下さい。
おまけ ここまでの登場人物まとめ
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