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それから30年の時が流れた

10歳の頃のある日の記憶。
そのとき私の母は40歳を迎えようとしていて、誕生日のお祝いに母の友人が近くにいた。

彼女は母に向かって『人生の折り返し地点に来た感想はどうですか?』と、どこかニヤニヤとした顔で訊いた。

母は何かしら普通に答えていたと思うけど、私はその時なんだか『感じ悪いな』と思っていた。
その時の母とほぼ同じ年齢になった今も時々思い出す。

当時はどうして自分が『不快な気持ち』になったのかわからなかったけれど、今改めて思うと、母が『人生のピークを過ぎて何もないところに戻っていく』みたいなことを言われた気がしたと思う。
訊いた相手は、そこまで考えてなかったかもしれないけれど。
ただ、訊いたその人は母よりも年若かったから、なんだか余計に『この人なんなんだろう』感があったような気もする。

年々、年を重ねることについて思うことは増えるけど、人は時間の経過に伴って、何かを積み重ねていけるものだと私は思うよ。
今までできていたことができなくなることもあるかもしれないけど、目に見えにくいところであっても人は一生成長するものだと信じているよ。

いま母は70代になったけれど、当時と比べても人間として器が大きくなったと思うし、団塊の世代にしては考え方も現代に寄っているなと感じる。
折り返してるわけじゃなかった、10歳だった私の感覚は間違ってなかったと思う。

どうなりたいか、どうありたいかで人は変わると思っているから、『こうありたい自分』を持ちつつ日常を楽しみたいよね。

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