センチメンタルモスキート
こんな時期でも蚊はいた
ローズマリーを植え替える為に
土を掘って根を切って
そうこうしているうちに
見えるものがすべて
色を落としていく
日が暮れようとしていた
それが合図だったのか
何処かに潜んでいた蚊が
無軌道な弧を描く
その中心にいるのが
スコップを手にした僕だった
ずっと僕を待っていたのか
ずっと夏を惜しんでいたのか
ずっと次の夏を待つつもりだったのか
知らないふりをしていると
手の甲に小さな膨らみが
知らない間に出来ていた
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