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夕暮れの月

君の背中の
ずっと向こうの空に
あと少しで満ちる
月が浮かんでいた

君は自分の話に夢中で
僕の視線が大きく上がったのに
気付いていない

だから僕は
君に教えなかった

僕らはまだ
相手の言葉を取り違えて
話が進んでしまっても
そのまま流してしまう間柄だった

僕らはまだ
川の向こうとこちら側で
他愛ない話を続けて
少し先にある橋を渡ろうとはしない

明日はもっと大きくなる月を
見つけられるとは決まってないのに


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