糸口をたどって③
扇風機は僕の膝の上で
抱きかかえられるように
あちこちと向きを変えられて
そして見事に直った
「あっそう」
いやいや
君の賛辞は求めていない
と言えば嘘になるけど
いつものことだから
気にしないでおこう
思った味と違ったスイーツでも
きっちり食べきるのが僕の主義だし
達成感を抱いて道具箱を閉じれば
ごちそうさまと同じ気分になる
そして扇風機は前と同じように
いや前より調子が良くなってる
「そう?」
いいや
君には分からないだろう
修理の糸口も見えなかっただろうし
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?