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【5つの市場】を奪う戦略を完全解説!ライバルからお客を奪う究極の方法!


マーケティング戦略において成功を収めるためには、さまざまなシェア(占有率)を深く理解し、効果的に活用することが求められます。

本稿では、マーケットシェア、マインドシェア、ウォレットシェア、ボイスシェア、タイムシェアの5つについて詳述し、それぞれの具体例を交えて解説します。

1.マーケットシェア(市場占有率)

マーケットシェアは、市場における企業の影響力を測る最も基本的な指標です。単なる売上高の割合以上の意味を持ち、以下のような多角的な視点から分析する必要があります

・市場支配力の実態

例えば、コンビニエンスストア業界では、セブン-イレブンが約45%の市場シェアを持っています。この高シェアにより、プライベートブランド商品の開発力、出店場所の優先交渉権、取引先との有利な条件交渉など、様々な競争優位性を獲得しています。

実際、セブン-イレブンの場合、この市場シェアを活かして「セブンプレミアム」というプライベートブランドを確立し、年間1兆円以上の売上を達成しています。

・地域特性の影響

自動車市場では、トヨタ自動車が日本国内で約30%のシェアを持っていますが、これは地域によって大きく異なります。

例えば、北海道では雪道走行に強い四輪駆動車の需要が高く、スバルのシェアが他地域より高くなっています。

また、九州では日産自動車の工場があることから、地元愛からか日産車のシェアが比較的高くなっているなど、地域特性がシェアに影響を与えています。

・シェア変動の要因分析

スマートフォン市場では、かつてガラパゴス携帯で国内市場を独占していた日本メーカーが、iPhoneの登場により急激にシェアを失いました。

2007年にはシャープ、パナソニック、NECなどの国内メーカーが市場の80%以上を占めていましたが、2023年には逆転し、AppleとSamsungで70%以上のシェアを占めるようになりました。

この劇的な変化は、技術革新とグローバル化が市場シェアに与える影響を如実に示しています

・規模の経済効果

イオングループの例を見てみましょう。総合スーパー市場で約30%のシェアを持つイオンは、この規模を活かして「トップバリュ」ブランドの商品開発を積極的に行っています。

大量仕入れによるコスト削減、物流の効率化、商品開発力の向上など、高シェアがもたらす様々な優位性を活用し、年間売上高2兆円以上を誇るプライベートブランドに成長させました。

・イノベーションとシェアの関係

テレビ市場では、シャープが2000年代に液晶テレビ「AQUOS」で革新的な技術を投入し、一時は国内シェア40%以上を獲得しました。

しかし、韓国メーカーの追い上げにより、その後シェアは大幅に低下。このケースは、技術的優位性だけでなく、持続的な競争力の維持がシェア確保には重要であることを示しています。

2.マインドシェア(心的シェア)

マインドシェアは、消費者の記憶や意識の中でブランドがどれだけの割合を占めているかを示す重要な指標です。以下、詳細な分析と具体例を見ていきましょう:

・ブランド連想の強さ

例えば、「カップ麺」と聞いて「カップヌードル」を思い浮かべる人が多いように、日清食品は即席麺市場で圧倒的なマインドシェアを確立しています。

これは1971年の発売以来、「THE ORIGINAL」というポジショニングを一貫して訴求し続け、「カップヌードルは発明です。」という印象的なキャンペーンを展開してきた結果です。

実際の市場シェアは約40%程度ですが、マインドシェアではそれを上回る存在感を示しています。

・カテゴリーキラー効果

検索エンジンの分野では、Googleが「ググる」という動詞として日常語化するほどのマインドシェアを獲得しています。

これは単なる検索の正確性だけでなく、シンプルな検索画面、スピーディーな結果表示、関連サービスの充実など、総合的な使用体験の優位性によるものです。

その結果、実際の検索シェアは75%程度ですが、消費者の意識の中では「検索=Google」という図式が確立されています。

・感情的つながりの構築

ポカリスエットは、「水分補給」というカテゴリーで強力なマインドシェアを持っています。

夏の高校野球や青春をテーマにした広告キャンペーンを30年以上継続することで、「爽やかな青春」「スポーツ時の水分補給」という強い感情的連想を築き上げました。

実際の売上シェアは20%程度でも、「スポーツドリンク」カテゴリーでの想起率は常にトップクラスを維持しています。

・世代を超えた認知

任天堂は、ゲーム機市場で独特のマインドシェアを確立しています。
「ファミコン」世代の親から「Switch」で遊ぶ現代の子供まで、「ゲーム=任天堂」という認識が世代を超えて受け継がれています。

これは、「マリオ」や「ポケモン」といった強力なIPの継続的な展開と、家族で楽しめるゲーム作りへのこだわりが実を結んだ結果です。

・地域性とマインドシェア

例えば、関西地区では「カレー」と言えば「カレーハウスCoCo壱番屋」が強い連想を持ちますが、これは地域に密着した店舗展開と、関西発祥というストーリーを効果的に活用してきた結果です。

全国チェーン展開後も、この地域特性を活かしたマーケティング戦略により、特に関西圏での強いマインドシェアを維持しています。

・危機管理とマインドシェア

雪印乳業は2000年の食中毒事件で大きく信頼を失いましたが、その後の徹底した品質管理体制の構築と、消費者との誠実なコミュニケーションにより、徐々にマインドシェアを回復させています。

このケースは、一度失ったマインドシェアの回復には長期的な取り組みが必要であることを示しています。

3.ウォレットシェア
(財布シェア・ポケットシェア)

ウォレットシェアは、消費者が特定カテゴリーで使う支出総額のうち、自社製品・サービスへの支出が占める割合を示す重要な指標です。以下、詳細な分析と具体例を見ていきましょう:

・メンバーシップ戦略の活用


イオンの「WAON」ポイントカードは、ウォレットシェア拡大の好例です。

食品スーパー、ドラッグストア、専門店など、グループ内の多様な業態で利用可能なポイントシステムを構築することで、顧客の買い物を自社エコシステム内に囲い込んでいます。

実際、WAONユーザーの月間支出額は非会員と比べて約1.5倍高く、特に食品や日用品カテゴリーでの支出シェアが顕著に高くなっています。

・クロスセルの成功例

ソフトバンクグループは、通信サービスを起点に「ソフトバンクまとめて支払い」「PayPay」などの決済サービス、「Yahoo!ショッピング」などのECサービス、さらには「ZOZO」「LINE」など関連サービスを展開。

これにより、顧客の通信費だけでなく、買い物、エンターテインメント、金融サービスまで含めた包括的なウォレットシェアの獲得に成功しています。

・サブスクリプションモデル

Amazonプライム会員は、年会費を支払うことで配送特典、動画配信、音楽配信など複数のサービスにアクセスできます。

この結果、プライム会員の年間支出額は非会員の3倍以上になるというデータもあり、サブスクリプションを通じたウォレットシェア拡大の成功例となっています。

・業態を超えた展開

セブン&アイ・ホールディングスは、コンビニエンスストア、スーパー、百貨店、銀行サービスなど、多様な業態を展開。

「nanaco」電子マネーを共通決済手段として提供し、グループ全体での顧客の財布シェア最大化を図っています。

特に、セブン銀行ATMの便利さと「nanaco」ポイントの相乗効果により、日常的な支出の多くをグループ内で完結させることに成功しています。

・ライフステージ対応

住宅メーカーの積水ハウスは、住宅購入後のリフォーム、メンテナンス、さらには老人ホーム紹介まで、顧客の人生に寄り添うサービスを提供。

これにより、住宅関連支出における長期的なウォレットシェアを確保しています。実際、同社の顧客生涯価値は業界平均を大きく上回り、初期の住宅購入額の約1.5倍の追加収益を生み出しているとされています。

・デジタルシフトの活用

三井住友カードは、スマートフォンアプリを通じて利用状況の可視化、家計簿機能、投資サービスとの連携など、包括的な金融サービスを提供。

これにより、クレジットカード利用額だけでなく、資産運用や保険など、より広範な金融商品でのウォレットシェア拡大を実現しています。

4.ボイスシェア(話題性シェア)

ボイスシェアは、ソーシャルメディアや口コミ、メディア露出などにおいて、ブランドや商品がどれだけ話題に上るかを示す指標です。

具体的な事例と分析を見ていきましょう:

・ソーシャルメディア活用の成功例

サントリーの「#この瞬間をこの一本を」キャンペーンは、ボイスシェア拡大の代表例です。

消費者が自身の特別な瞬間とプレミアムモルツを組み合わせた投稿を促すことで、年間で約50万件のハッシュタグ投稿を獲得。

さらに、投稿された内容をテレビCMや店頭POPに活用することで、オンライン・オフライン双方での話題化に成功しました。

・バイラルマーケティング効果

日清食品の「U.F.O.」の"謎肉"キャンペーンは、製品の一部である具材の正体を謎めかせることで大きな話題を呼びました。

SNSでの推測投稿が10万件を超え、テレビや新聞でも取り上げられる大きな話題となり、結果として売上が前年比150%に急増しました。計画的な話題作りがボイスシェアと売上の両方に貢献した好例です。

インフルエンサーマーケティング

コスメブランドの「BOTANIST」は、美容系インフルエンサーとの戦略的なコラボレーションにより、オーガニックシャンプー市場で強力なボイスシェアを確立に成功しています。

特に20-30代女性の間で「自然派」「インスタ映え」というポジティブな文脈での言及を多く獲得し、新規ブランドながら市場での存在感を高めることに成功しています。

双方向コミュニケーション

無印良品は、商品開発段階から消費者の声を積極的に取り入れる「MUJI Lab」を展開しています。

この取り組みにより、単なる商品の話題だけでなく、ブランドの理念や開発プロセスに関する深い議論を生み出すことに成功しました。
結果として、より質の高いボイスシェアを獲得しています。

5.タイムシェア(時間占有率)

タイムシェアは、消費者が特定のブランドやサービスに費やす時間の割合を示す指標です。

デジタル時代において、ユーザーの「時間」の奪い合いは、ビジネスの成否を分ける重要な要素となっています。

・動画配信サービスの競争

Netflixは日本市場で独自のタイムシェア戦略を展開しています。

「今際の国のアリス」や「Alice in Borderland」などの日本オリジナルコンテンツに加え、韓国ドラマやアニメなど、視聴者の興味に合わせた多様なコンテンツを提供しています。

その結果、加入者一人当たりの平均視聴時間は1日2時間を超え、競合のAmazon Prime Videoやディズニープラスと比較して約1.5倍のタイムシェアを獲得しています。

・ゲームアプリの滞在時間戦略

「モンスターストライク」は、協力プレイ要素とリアルタイム対戦機能により、ユーザーの継続的な利用を促進しているのです。

特に「スタミナ制」という時間制限システムと、定期的なイベント開催を組み合わせることで、1日に複数回のアクセスを促す仕組みを構築しました。

その結果、ユーザーの平均プレイ時間は1日45分を超え、ゲームアプリ市場での高いタイムシェアを維持しています。

・SNSプラットフォームの進化

LINEは、メッセージアプリから総合プラットフォームへと発展し、以下の機能追加により滞在時間を大幅に延長することに成功しました:

  • LINE Pay(決済サービス)

  • LINEマンガ(電子書籍)

  • LINE LIVE(ライブ配信)

  • LINEショッピング(EC)

    これにより、月間アクティブユーザーの平均利用時間は1日90分を超え、アプリ利用時間全体の約20%を占めるまでになっています。

・教育分野でのタイムシェア

スタディサプリは、オンライン学習プラットフォームとして、以下の要素で生徒の学習時間を確保しています。

  • AI活用による個別最適化された学習プラン

  • ゲーミフィケーション要素の導入

  • 短時間で効果的な動画コンテンツ

  • リアルタイムの進捗管理

    その結果、登録者の平均学習時間は1日2時間以上となり、教育アプリ市場での高いタイムシェアを実現しています。

・音楽ストリーミングの差別化

Spotifyは、AIを活用した個人化推薦と、以下のような機能で聴取時間の最大化を図っています:

  • デイリーミックス(好みに合わせた曲のリスト)

  • ディスカバリーウィークリー(新曲推薦)

  • ポッドキャストとの統合

    これにより、ユーザーの平均利用時間は1日2.5時間を超え、音楽ストリーミング市場での優位性を確立しています。

仕事環境でのタイムシェア

Slackは、ビジネスコミュニケーションツールとして、以下の特徴で利用時間を確保しています

  • リアルタイムメッセージング

  • 豊富な統合機能

  • 検索性の高さ

  • カスタマイズ可能な通知設定

    結果として、業務時間中の平均利用時間は4時間を超え、ビジネスコミュニケーション市場での高いタイムシェアを獲得しています。

このように、5つの切り口で占有率を高めていく工夫が、競合に打ち勝つ方法だということがおわかり頂けると思います。


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