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源氏物語をもっと楽しみたい人へのおすすめ本、3選。


源氏物語についての面白い記事を目にしたので、noteでシェアさせてください。
なんとまあ嬉しいことに、最近は平安文学が盛り上がりを見せているというじゃありませんか!


前書き

記事中で紹介されている本を挙げてみると、私の書棚にあるものも、出版されているのを今知ったものもあり、早速Amazonのカートに入れてしまいました。

「NHK100分de名著ブックス 紫式部 源氏物語」三田村雅子
「源氏物語の時代 一条天皇と后たちのものがたり」山本淳子
「紫式部 ひとり語り」山本淳子
「源氏物語入門<桐壺巻>を読む」吉海直人
「源氏物語 解剖図鑑」佐藤晃子
「愛する源氏物語」俵万智
「嫉妬と階級の源氏物語」大塚ひかり
「はじめての王朝文化辞典」川村裕子 早川圭子
「あたらしい平安文化の教科書」承香院
「平安貴族とは何か」倉本一宏
「レディ・ムラサキのティーパーティ」毬矢まりえ 森山恵
「紫式部と王朝文化のモノを読み解く」河添房江
「ミライの源氏物語」山崎ナオコーラ
「フェミニスト紫式部の生活と意見」奥山景布子
「源氏物語ものがたり」島内景二
「みんなで読む源氏物語」渡辺祐真

リンクを貼るとうるさくなってしまうので、タイトルのみ抜き書きです。

この中から
「これから源氏物語を読みたい」
と思う方へおすすめをするなら、太字で強調をした3冊、

「源氏物語の時代 一条天皇と后たちのものがたり」山本淳子
物語が書かれた時代背景、一条天皇と宮廷の人々について詳しく知ることができる本。

「あたらしい平安文化の教科書」承香院
当時の京都住まいの貴族の暮らしについて、カラー写真付きで解説された本。

「源氏物語ものがたり」島内景二
源氏物語がどのように読み継がれて、日本文化に影響を与えたのかを理解できる本。


これらは源氏物語を深堀りして読む際に、大いに助けになってくれると思います。

特に、真ん中の一冊、承香院さんの本は「光る君へ」を楽しんで見ている方はもちろん、学校で古文を勉強する学生さんの副読本にぴったり。
これは、とてもいい本!
読めば成績があがります笑

せっかくよい本を並べることができたので、私の書棚からもおすすめの本を3冊追加したいと思います。

「宮廷文学のひそかな楽しみ」岩佐美代子
国文学者で昭和天皇第一皇女の御学友の著者が、文献や記憶を辿って物語を読み解く。

「光る源氏の物語」大野晋 丸谷才一
小説家と国文学者が対談をしながら、日本語の語源の視点から源氏物語の原文を読み込む。

「ブス論で読む源氏物語」大塚ひかり
キャラクターのルックスがどう描写されているかという視点で、恋愛の能力や幸せを掴むスキルを評価する。


源氏物語の読解に役立つのは、

「光る源氏の物語」


これがイチオシです。
源氏物語が書かれた当時の人々が、どのように物語を理解していたのかを語源から読み解いていく本です。
例えば、
「情け」
は、現代では
「他人への配慮、いたわり、思いやり」
という感情の動きのことを意味していますが、語源的には
「成す・気」
そこに存在しているから発生する「気」を作為的に「成す」ことから、
「立場を尊重する、メンツを立てる」
が本来の意味なのです。

源氏物語の主人公の光源氏が、高い身分の女性と恋愛関係にあったのに疎遠になっているのを、
「情けがない」
と非難する場面がありますが、それは愛情の衰えのことではなく、相手の身分にふさわしい付き合いをせずに女性のメンツを潰したことを非難している、と読むのが正しいと知って、

なるほど!x100

当時の人にとっては身分が一番大事なことで、身分にふさわしい扱いを受けられるかどうかは死活問題だったのだなあと理解できます。

大河ドラマ「光る君へ」の中でも、主人公のまひろちゃんが相思相愛のお相手から、
「身分違いだから正妻は無理だけど、隠し妻になってくれ」
と言われ、心が砕けて目が死んでしまったり、左大臣家の倫子さまが結婚前にしきたり通りにラブレターが送られてこなかったと気に病むのは、
「情け(メンツ)」
が問題になっているのですね。
大野晋先生は日本語学の第一人者ですので、読み解きが深くて勉強になります。

次は

「宮廷文学のひそかな楽しみ」

こちらも学者の読解力の凄さを味わえる名著。
昭和天皇の第一皇女、照宮内親王の御学友だった著者が、丁寧な読み込みと記憶を辿って、積もったホコリを拭うと調度品の細工が現れるように、平安時代の宮廷のリアルを描き出してくれます。

ぜひ読んでほしいのは、第1章。
枕草子にも出てくる
「はいぶし」
という単語はどんな仕草だったのかを考察するエッセイですが、まるでミステリー小説のようで面白い。
語源的には
「這い・伏し」
なので、寝転んでいる、と解釈されていた言葉です。

しかし実は、昭和初期までは当たり前に見られた仕草で、茶道の道具拝見の際にも「はいぶし」をする、とわかると、千年の間宮廷の作法が続いていることに感動します。
歴史が好きな方は、あれだ!とわかると思いますので、正解は読んでのお楽しみで。


最後の1冊はすこし趣向を変えて。

「ブス論で読む源氏物語」


源氏物語のキャラクターの身体的特徴から、どんな女性が幸せを掴むのかを検証したユニークな本。

源氏物語はハイスペ&イケメンの貴公子と絶世の美女の華麗な恋物語というわけではなく、高貴な姫という看板につられて通ってみたら度肝抜かれるブスだっただの、地味で家庭的なところが好かれて箱入り奥様の座に納まったけれどセックスレスだの、身も蓋もない展開も多いのが特徴かと思います。

確かにキャラクターの容姿と性格は関連があって、玉の輿に乗る女性は揃って

長身
目元がぱっちり、モダンな顔立ち

という描写がされていたように思います。
これは現代にも通じるところがあって、モデル体型の長身美女と小柄で可愛らしいふんわり美女、どちらを配偶者に選ぶかで男性の属性も変わるのを連想します。


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