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源氏物語で「どういうこと...?」と思うこと3選

NHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公、紫式部さんといえば、「源氏物語」で知られる大作家です。
日本文化の根っこにあるのが源氏物語で、和歌や能楽、デザインに影響を与えるだけでなく、純粋に読み物として面白い!
1000年経ってもファンを増やし続けるのも納得の魅力がある作品なのは、今更説明をする必要がないです。
私よりももっと上手に物語の魅力を語ることができる人が大勢いるので、今回はまったく違う角度、
「どういうこと?」
と、悩んだことがある謎ポイントを3つ挙げてみます。
かなり細かい話になるので、好き嫌いはあると思います笑

どういうこと?その1
物語の主人公、光源氏と呼ばれるイケメン&プリンスの貴公子が、山寺で見つけた美少女をほぼ誘拐・自宅に監禁して理想の女性に育成するという、現代では完全に刑事事件のお話を、
「ちょっとした秘密」
くらいの温度で書いているだけでもそれはどうなんだ?と思いながら読むのですが、美少女の父親(式部卿宮)と宮中で会ったので言葉を交わすシーン、

姫君を屋敷に隠しているのは伏せておきたいが、愛する人の縁者と思うので、常よりも親しげに話しかけてくるのを、式部卿宮は
「なんと美しい人なのか、このまま女として見ることができたら放っておかないのに」
と源氏の君を色っぽい目線でご覧になる。

と、あさっての方向に話が展開するのが、現代と平安時代では感覚が違うから、では片付かないモヤモヤを感じます笑
もちろん、紫式部さんは、目上の地位の高い男性が、青年をエロティックな目線で見ることをポジティブな意味で書いているのですが、
「女にして見てみたい」
とはどういうことなんでしょうか…。
て、いうか、その描写は必要?

どういうこと?その2
物語の主人公、光源氏と称賛される貴公子は、左大臣家の姫君と縁組させられて形ばかりの夫婦を強いられます。
長年冷え切った夫婦仲だったけれど、ようやく子供を授かって出産が近づいた頃、ひどく病みついて命を落としかけた妻に、


親子は一世、夫婦は二世の縁と言いますよ。私たちは来世でもお会いできます

と慰めるシーンがあります。
えっ、このタイミングで来世の話は早くない?
大きい手術をする時に、
「きっと上手くいきますよ、万が一の時でも夫婦は二世の縁、来世で会えるから」
と励まされても、どう受け止めればいいのかわからないです。
もちろん、作者はポジティブな意味で書いています。

どういうこと?その3
帝の皇子という高い地位と才能に恵まれ、鏡に映る己の顔を見ても我ながら美しいと自画自賛するイケメンっぷりの貴公子、光源氏には誰にも知られてはならない重い秘密があったのです。
それは、義理の母と密通し子を生ませたこと。

世間的には弟だけれど実は我が子である皇子を、父親とは名乗れない罪滅ぼしに親しく後見する、という場面があります。

久しぶりに会った皇子は喜んで、ニコニコと笑う口元は歯が虫歯で黒ずみ、大変上品なご様子である。

虫歯が上品って、現代と平安時代では価値観が違っていて当然ではありますが、どういうことなんでしょう。
アメリカ人ならまったく受け付けない美意識です笑
私もこればかりは理解が追いつきません。

そう言えば枕草子にも、若い美人が虫歯の痛みに伏して苦しみ、それを気遣ってお見舞いの使者や祈祷をする僧侶が参上する有様を
「素敵よね」
とポジティブに見ていますので、命を落とすほどではない不具合は、安心して心配できる手頃な娯楽といいますか、虫歯は贅沢病として高貴さの証と見られていたのかしらと想像するばかりです。
あと、光源氏というキャラクターは行状が酷すぎるのに、女性達の愛を一身に集める色男として描かれていて、女性は今も昔も王子様が好きなんだろうなあ、と思いました。

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