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穂積陳重ウルトラ行脚200km③

漆黒の四国カルスト

今まで通ってきた440号線から外れて303号線に入ると細い林道が続く。
まだこの辺りは傾斜も緩やかで右手には川。
しかしこの先川から離れてくねくね登り出すといよいよ四国カルストへの果てしない上りが始まる・・。
とにかく行けども行けども前が見えない九十九折り。そして少しずつ勾配もキツくなってくる。ここ1人じゃなくて本当よかった・・・まあ1人であっても前に進むしかないんだけど、まだ話し相手がいるだけマシなわけで。
この辺りは晴れてまだまだ太陽も高かったのでとにかく風景がよかった!
ただ眩しすぎて上手く写真が撮れなかったんだけど・・。ここが暗かったら心が折れそう。

晴れてたらもっときれいだったろうな

ジグザグしながらぐるっと回るように道があって、このぐるっとカーブが長い。
歩いてるから進まないというのもある。フレッシュな脚なら走れたかなあ・・・でも長すぎて続けて走るのは無理だったと思う。
だんだん日が暮れてきて、明るいうちに四国カルストに到着するのは無理になってきた。まだかろうじて明るさが残っているうちに建物が見えてくる。
星ふるヴィレッジTENGUだ。はあー、やっとここまで来た!
半分くらいの部屋に灯りが灯っていて大浴場らしきところも明るい。
いいなあ・・・ここで満点の星が見れたら最高だよね。
でも雨は降っていないものの空はしっかり曇っている。残念。

ここからC Pの姫鶴荘(134km)は4kmほどなのにさらにここからも上り、しかも文字通りの真っ暗闇。そう、ここカルストは草に岩だらけのところで、昼間なら牛が放牧されているようなところだから。しかもくねくねしていて、一向に先が見えない。レジェンドランナーは余力たっぷりなのか、
「電池交換と充電したいから先に行ってるね」
と軽やかに坂を走り始めた・・・元気すぎる。
ここ真っ暗なのに車の通行と何故か人が多い!(笑)みんな星を見にきているのか・・・いや、実はその先にキャンプ場があって多分そこに来ている人たちだったんだと思う。
ようやく自販機の灯りが見えて「姫鶴荘」(めづるそう)に到着!自販機で補給・・。反対側にある看板で写真を撮って報告。

あたりは真っ暗
晴れてたら星がきれいだと思う


なんだかここ人がやたら多い・・・キャンプに来ている家族連れがたくさん。
今まで走ってきてほとんど人がいなかったのでちょっとした違和感を感じる(笑)
と、声をかけてくる人がいると思ったら移動エイドがいました♪
いやあ嬉しい!もちろん姫鶴荘も営業時間外なので何も食べられず。
ここで温かいそうめんを頂いたりおにぎりつまんだり。正直寒かったので温かいものが嬉しかったなあ。あ、レジェンドは先にここに到着して電池交換終了し充電しているところでした(笑)


そして高知県へ突入


ということでここからはまた3人で。
実は四国カルストは愛媛と高知の県境で、地芳峠をグイッと曲がって下っていくとそこからは完全に高知県になります。
またここからの下りが・・・長い・・・細くて急で暗い。まさに旧道。
ここで迷子になると脱出するのが大変。しっかり予習してきてよかったと思える道でした。
また440号線に戻ると一路檮原(ゆすはら)へ。夜ということもあってこの間も目印はトンネルの数しかなく(笑)手元のメモを見ながらあとトンネル幾つ、と数えていました(笑)
しかしこの檮原の町に入ると様子が一変します。行燈のような柔らかい灯りが道端を灯し、風情のあるとてもきれいな町。
ここの町立図書館は別名「雲の上の図書館」と呼ばれていて隈研吾さん設計の見るからにインパクトのある建物に内装。昼間なら入って見たいところだけど・・。
この近くのYショップは22時30分まで営業でまだやってはいたけれど、食べ物は必要なかったのでスルー。
そしていよいよ次のCP「道の駅日吉夢産地」(169km)までトンネル10個(!)のトンネル地獄の始まり始まり・・。


睡魔との闘い

暗闇の中トンネルの数だけ数えて走っていると(疲れて歩きも増えてきた)必然的に睡魔に襲われるようになり。最近あまり睡魔に襲われず、今回も二晩目でも大丈夫と思っていたらやっぱり疲労と暗闇には勝てないようで。
トンネルは先にも書いたように半分照明を消してあったり、そもそもなかったり。
それでも灯りがあると少し目が覚める。でも眠くなって走るのが遅くなると後の2人についていけなくなる。ここで離されたらもう歩きまくっちゃうだろうなあ。
でも2人はそっと振り返って私が後ろから来ているのを確認してくれている。
眠いのはみんな一緒。自販機でコーヒー見つけるとカフェイン飲んだりなんとか乗り切ろうとしている。
トンネルの数が数え切れなくなった頃、CP「道の駅日吉夢産地」( 169km)着。
もう午前2時。愛媛に戻ってきていました。

明るくなったら少しは目も覚めるかなと思いつつ、ゆるいアップダウンを走ったり歩いたり。疲れると歩いて3人でおしゃべりして気を紛らわす。でもあそこからラン再開ね!とまた走り出す。その繰り返し。それでも前に進んでいればいつかは着く。ウルトラの最後は大体こういう気持ちになってくる。いつか着く。絶対着く。

途中何度か主催者Kさんの車が通りかかって飲み物をくれたり、美味しいシャーベットをくれたり。これが生き返る!!私たちも眠いけど主催する側はもっと疲れているはず。でも全てのランナーへのこの心配りが本当に嬉しくてありがたい。
そして最後のCP「道の駅広見森の三角ぼうし」(187km)に到着。朝6時半。
すっかり明るくなってしまった。

最後のチェックポイント


いただいたシャーベット食べつつ休憩

宇和島へ


ここからもう13kmほどしかないのに疲労感で歩きが増えてしまう・・・
そして190kmぶりくらいに普通のコンビニを見かける(笑)
まだここからトンネル4つ!しかも上りもあったり下りの勾配もキツくなってくる。下りても下りても宇和島の町らしきものが全く見えてこない。
行ってみてわかったが、周りを山に囲まれダムまであって中心地はほんの少しの平地にあるだけなのだった。
最後は走り切ろう!なんとかせっせと上りも走る。下りがきつすぎてすでに内転筋がひどい筋肉痛になっている(笑)。
涼しいうちにたどり着こう!
ゴール近くになるとKさんたちがタオルを振って合図しているのが見える。
穂積橋に3人でタッチしてゴール!なんとか朝9時前には着けた。
一人だったらここまで走れたかなあ・・・本当きつかったけどこの瞬間がたまらなくてやめられなくなるんだよね。
お疲れ様でした。

ゴール!
こんなアップダウン!

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