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【漫画原作】「スポットライトと核兵器」第3話

第3話

人類が滅亡するまであとーーー。

『これは仕方がない犠牲なんだ。この戦争を早く終わらせなければ。』
誰かが兵士に命令する場面が浮かぶ。

空にかかるキノコ雲が次第に小さくなる。


夜のダンス練習場。

全体の練習が終わり、皆が帰ろうとしている中で、玲は落ち込んだ様子でダンスの練習を続けていた。

(また途中退場させられてしまった・・・・)

「おい。そこどいてくれ。」
掃除を始めた研修生たちが鬱陶しそうに玲を追いやる。
「邪魔なんだけど。てか、お前も掃除しろよ。」
「そうだよ、練習参加してなくて体力余ってんだろ。」
見下された物言いに玲はムッとして言い返そうとした時、将司が間に割って入った。
「ほら、早く手を動かせ。お前らが掃除当番だろ。」
先輩の声に、研修生たちはさっと持ち場に戻った。

「疲れたな〜。」
寮へぞろぞろと研修生たちが帰っている中、将司は玲に話しかける。
「疲れましたね。」
「そんなに落ち込むなって。まだ振りが完全に入ってなかったんやろ。だいぶ上達してきてると思うけど。」
将司のあっけらかんとした言い方に玲は溜息をつく。
「前と比べてどうじゃダメなんだって。今週はまだ途中退場なかったのに。‥これじゃ皆と戦うレベルにも達してない。」

吐き捨てるように言う玲に、将司は掛ける言葉を見失う。
「まぁ。そうやな。ダンス長いことやってる子が多いからな。」

「じゃ、僕。寄っていくんで。」
「お、気をつけろよ。」

将司と別れ、研修生の一団から玲が離れてどこかへ消える。
その様子を見たケンが将司に声をかける。

「あの子、いつもどこ行ってんの。てか、名前なんだっけ?先月ぐらいに入った子だよね。」
「2ヶ月前に入った山川玲。練習や練習。」

公園で音楽を聴きながら、必死で練習する玲の姿。脇目も降らずにダンス練習を続ける。

夜も更けた頃に寮に戻り、みんなが寝ている中2段ベットの2段目に潜り込んだ。
スマートフォンを取り出し、事務所からのメールを見る。

『8月 月末評価のスケジュール 8/18(土)15:00〜 ボーカル試験 
18:00〜 ダンス試験・・・・・
尚、3回連続下位5位だったものは契約解除となる』

玲はため息をつくとスマートフォンを切り、眠りについた。


翌朝、寮の朝は慌ただしい。

学生の研修生たちはそれぞれ制服を着て登校していく。

「翔太!起きないと遅刻するぞ!」
2段ベットの下に眠る翔太に玲は声をかける。

「おい、みんな行っちゃったで。早く起きろよ。」

将司も歯を磨きながら翔太を布団から引っ張り出す。
まだ夢の中にいる翔太はフラフラしながらベットから出て制服に着替え出す。
パンを齧りながら、2度寝しそうになる翔太を将司は呆れながら叩き起こす。

「ほら起きろ。」
「でもどうせ今から行っても遅刻だし。1限目間に合わなかったら気まずいし、2限目から行こうかな。」
「そんなんだから友達できへんねん。ほら、バイク乗せてやるから。」
「本当!?」
目を輝かせる翔太にヘルメットを渡して、2人は寮を出発する。
「じゃあ、玲。あとでな!」

2人を見送った玲は、ストレッチをしながら寮を出てランニングを始める。
途中、高校の横を少し名残惜しそうに通り、ビザチェーン店に入ってアルバイトを始めた。

「お疲れ様です〜!」
バイクで通勤してきた将司も加わり、玲の一日が始まった。

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