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対コロナの目的と手段を見誤らない

 私は感染症の専門家でも何でもないが、最近コロナ対策が何だか変な方向に行っているような気がしてならない。ここで素人なりにコロナの対策について整理したい。
 ここでは目的順というものを考えて述べていきたい。数字が少ないほど目的としての優先順位が高く、下はその為の手段となる。
 そうすると対コロナの一番の目的は何か。もちろん8割の接触減ではない。コロナの患者を減らすことでもコロナの重傷者や死者を減らすことでもない。

① 全体的な死者を増やさない 

 大前提となる目的はこれである。コロナの死者を減らすことはそのうちの一つでしかない。仮にコロナの死者が減っても他の病気や貧困の関連死でもっと大勢が亡くなっては意味がない。日本では一昨年(省庁のデータはだいたい2年後に出る)に130万人の方が亡くなっている。年間で死者をこれくらいに抑えることが重要だ。そういう意味ではコロナの死亡者だけでなく全体の死者数の前年比なども公開するべきだと思う。

② 医療崩壊を防ぐ

 死者を増やさない為に重要なことは医療機関がなるべく正常に機能することだ。コロナだけでなくコロナによって医療機関が圧迫され本来だったら助かる他の疾患の方が亡くなるのも避けなければいけない。
 実際にどこからが医療崩壊とは定義できないだろうが、医療機関がなるべく正常に動くことを維持する。
 日本では年間10万人の人が肺炎で亡くなり、インフルエンザでも3000人の人が亡くなっている。でもなぜインフルエンザで緊急事態宣言が出ないのか。そは感染爆発の可能性だけでなく、コロナによる医療崩壊が恐ろしいからなのだろう。インフルエンザはワクチンもあるし対応する医療体制もできているので医療崩壊のリスクは少ない。

③ コロナの感染を減らす・遅らせる

 ここでやっと感染について。感染しない、させないというよりなるべく感染しない、全体的な感染を遅らせるイメージ。感染しない為に死んでしまっては本末転倒なので、生活はうまく維持しなければならない。感染を全くしないようにできるのならそれに越したことはないが、それによって感染の被害以上に多くの人の命や生活が危険にさらされてはいけない。
 ただ感染を減らすだけではなく、稼いだ時間で医療体制を整えていく。感染者を見つけ、症状の重さによってそれぞれの場所で治療(か治癒を待つ)できるようなシステムを構築していく。


 ここまで書いて、今起きてるいろんなことをこの優先順位を元に考えてみる。
 下ほど手段であり上にいくほど目的なので、例えば③の為に①や②に影響を与えるような行動は本末転倒になる。自分が感染したくないからと医療従事者を傷つけるような行動を取ることは③の為に②をダメにしている。感染を止める為に外に出ないことは③の為の行動だが、それで路頭に迷う人が大勢出て①に影響を与えるのもナンセンスだ。政策によって①を守りつつ③を実行していけるように工夫しなければならない。

 思えば第一原発事故の時もこういった手段を目的と見誤ることがあったように思う。
 対第一原発事故の目的は放射能の被害を減らすことではない。福島の人々の人生を守ることだ。放射能の被害をなるべく最小限にすることはその為の手段であって目的ではなかった。
 対原発事故も対コロナも目的と手段とを間違えてはいけない。
 
  



 

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