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裏紙に落書きする人 高まる期待


始まりは、差し入れお礼の 落書き だった。


いくつか落書きしたが、数日したら捨てていた。
だって、ただの裏紙の落書きだから。

部長室に放り投げていた、ご馳走様落書き。部長さん方がそれなりに楽しんでくれた。
人は誰かが笑ってくれたら嬉しくなる。関西人でもないのに、多くの人に笑ってほしくなる。

だから、


自分の作業部屋の扉に張ってみた。


訳あって。

ご馳走様シリーズで残していたしょうもない落書き。
よく見ると、表の印刷がわかってしまいそうな紙。
不要となった両面印刷でない紙を拾って、仕事前の5分10分で書くまさしく落書きなのである。下手な絵に、なんの得もない情報。
なのに、通りすがりに観ていく人がいる。

何をご馳走になったでしょうか?


「なにこれ~あんたの胸こんなにでっかくないじゃん」
私が作業部屋に戻る夕方、わざわざ声を掛けに寄る人もいた。

いいじゃないか、落書き絵ぐらい妄想したって。
おっぱい星人だったら、私の人生も変わっていたかもしれない。

これを書いた頃、YouTubeで、タートルトークを見るのにはまっていた。
ちょうど、いろんなものに制限がかかり始めていた時だと思う。
でも、差し入れがあったから、初回の緊急事態宣言の前かな?
この事態が終わったら、タートルトークを見に行って、「うぉー」ってやるんだって誓った。一緒に行ってくれる相手を探す方が先なのを忘れて。

いつ頃、差し入れ禁止令が出たか正確には覚えていない。
ただ、差し入れ禁止令が出る前でも、そうそう毎日差し入れがあるわけではない。当たり前だ。
しかし、通りすがりに観ていく人たちが、

「次の作品はまだか」

と、言ってくる。
お掃除の方、事務の方、あまり接点のない部署の方。
なので、何かネタを見つけて創作し始めた。


朝、出勤中の車内で流れたニュース
「世界的芸術家の初期の作品が…」って言葉に触発されて書いてみた。

落札価格を書いてくる人がいる。
落札する人がいる。


だけど、この落書きはまだ私の手元。


この時聞いたニュースの本体が分からなかったから、
今や入りのchatAIに聞いてみた。
「2020年のニュース、「世界的芸術家の初期の作品」は?」


「見つかりませんでした」


年代とか質問の仕方を変えても、答えは同じ。


「見つかりませんでした」

私はどんなニュースを聞いたのだろうか。
本当にそんなフレーズのニュースを聞いたのだろうか。
運転しながら幻聴でも聞いたのだろうか。

ときどき、壮大なやらかしをする私の脳回路のことだ。
昨日も、車で買い物に行っておきながら、
「お客様、駐車券は」
「あ、いりません、大丈夫です。ありがとうございます」
って、にっこり答えるあほぶり。
たかだか15分程度、スーパーで食材を買う程度の時間で
車できたことを忘れる、いかれたシナプス回路の持ち主である。
(このスーパーには、過去車を忘れて帰ったことがある)
別のニュースを、別の話にして記憶していてもおかしくはない。
人の記憶とは、いい加減なものである。

予想外の期待に追い詰められて


といっても、数えるほどの方々にではあるのだが。


人は、新しい刺激を求めるものである。
その刺激が楽しい刺激だと、セロトニンやドーパミンなどの幸福ホルモンを出す。しかし、同じ刺激には反応が鈍くなる。
なので、定期的に掲示される落書きが変わると新たな刺激を得られるようである。
大きな楽しい刺激を求めることができなかったあの頃、
こんな落書きでも、小さな楽しい刺激となり、ストレスホルモンを抑制したのかもしれない。

ので

「新しい落書きはまだか」


と言われるようになる。

しかし、
落書きを書く私は、ややストレスホルモン コルチゾールが溜まりだす。

時間が、時間がないのよ、落書きする。
分かるでしょ、院内やばいことになってきてるの。
私もいっぱいいっぱいなのよ。


って、落書きした。

ネタはあるけど時間がない

そして、逃げた。

バンクシー展は医局だよ

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