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廃校で肝試し 潜入レポート 

廃校で肝試しとは?

 2023年、千葉県市原市大久保
 周囲を山に囲まれた片田舎で、とあるイベントが開催されました。

 その名も、「廃校で肝試し」

 2013年に廃校となってしまった、白鳥小学校にて行われたこの企画。第一回は昨年の六月に開催されました。
 恐ろしい姿をした妖怪たちをはじめ、数々の戦慄トラップが仕掛けられた、本格的な肝試し企画となっています。
 
 今回、ひな吉はこちらの企画にスタッフとして参加をさせていただきました!
 そこで、この企画の裏側では、一体どんなことが行われていたのかを、スタッフ側の視点から、また妖怪文化の発展を観測している者としての立場から、レポートをつづらせていただきたいと思います。

 今回、企画が行われた白鳥小学校があるのは、千葉県市原市大久保という、繰り返しますが超ド田舎です。内房線五井駅から小湊鉄道というローカル線に乗り換えて、揺られること1時間以上。

都会ではまず見られないようなド田舎に、その小学校はひっそりとある
古い、哀愁漂う建物は、すでに廃校としての趣を持っている
普段は芸術家さん方のアトリエとして使用されているためか、想像していたよりも綺麗に保たれている。けれども、人気のない廊下はやはり不気味である。

 脅かし役である我々スタッフ陣が集ったのは当日の午前11:00
 ここから、一気に廃校を肝試しの舞台に仕上げていきました。
 肝試しに不可欠な、光を遮る暗幕はもちろんのこと、教室のところどころに蜘蛛の巣(綿を利用した人工のもの)を張り巡らせ、机や椅子を組み立てて妖怪さん方を引き立てられるようにしていきます。

画像引用元:https://twitter.com/@kakunosukeeeより
妖怪:紫原(しの)さまと格🌸ポチさま
舞台設定はもちろんですが、妖怪スタッフのクオリティがとんでもない。これは大絶叫間違いない。

 さて、準備にリハーサル等を終え、いよいよ肝試しがスタート!
 お昼ごろから夕方にかけてやってきたのは、ファミリー層がカップルさんが多かったです。
 子供たちの悲鳴があちこちから響いてきました・・・・

 さらに、今回の肝試し企画の目玉と言っても良かったのが、小湊妖怪列車です!


画像引用元:https://twitter.com/@rain_die_biteより
妖怪:灵院 Raïn. 大咬 Dà yâo.さま
妖怪がどっさり乗った小湊にゆられ、肝試しの地へ・・・

 帰るまでが遠足とはいいますが、行きからすでにもう妖怪尽くしというボリュームです。

 そうして、夕方を過ぎ、だんだんと夜も更けて参りますと、街頭のない田舎はどっぷりと暗くなります。

教室の中は少し距離をおいてしまうと相手の顔が見えないほど真っ暗。参加者の不安を掻き立てる。

 夜になりますと、客層は一変、中高生、大人が目立ってきます。
 さすがにいい大人が今更お化け屋敷でビビったりなんかしない・・・というのは大間違い。あっちこっちで悲鳴が校舎を反響していました(笑)

 さて、そんなこんなで、廃校で肝試し企画は参加者数300名という盛り上がりを見せたのでした。

妖怪×肝試し

 
 さて、今回の企画の主催者である廃校で肝試し実行委員会のメンバーであり、主催者の一人である重藤@Osotoasobi In Ichihara 実行委員様とお話をす る機会がありました。

 重藤@Osotoasobi In Ichihara 実行委員様は、ひょんなことから妖怪をテーマに様々なイベント企画をしていらっしゃる妖怪屋様と知り合い、今回の肝試し企画を立ち上げるにいたったのだそう。
 
「舞台を廃校に限らず、あちこちで似たような企画ができるようにしたい。」
 
 廃校で肝試し企画は、「肝試しのブランド化」を目指して行っているとお
っしゃいます。

 確かに、妖怪をテーマとした肝試しは他のイベントとは個別化が図られた魅力あるものとなっています。

 何より、今回の肝試し企画のすごいところは、”妖怪”がちゃんといきているのです。

 妖怪って、好きな人にはものすごく刺さりますが、逆に刺さらない人には本当に刺さらない。
 実際、ひな吉もイベント企画の紹介をするたび、友人から「妖怪?何それ。イベントになるの?」と言われること多々です。
 妖怪概念が一般認識となりってかなりの月日がたちますが、それでも「妖怪のイベント」というものは、まだまだマイナーな領域なのです。

 何が今回の企画のすごいところなのか?
 それは、肝試しという一般にもイメージのしやすいイベントと、妖怪というテーマを掛け合わせた企画となっているところです。

 妖怪のイベントという紹介だと、確かにイメージがなかなかわきません。
 しかし、「肝試し」という言葉はかなり一般の方々にもイメージしやすいです。「ああ、あれね。怖がるのを楽しむヤツでしょ。そこに、妖怪もいるわけね。」となってくれるというわけです。

最後に

 妖怪は、今ではもう怖くない、ある意味でキャラクター的な認識がされています。
 「河童」と聞いて、誰も尻を抑えて震え上がらないし、鬼と聞いても、もはや「かっこいい」というイメージが先にわいてしまうかもしれません。
 
 だからこそ、各種イベント(縁日や、仮装行列イベントなど)では妖怪を怖いもの前提では扱いません。
 あくまで妖怪要素・・・「妖怪っぽさ」というべきでしょうか、それにあてはまれば、「妖怪系イベント」という看板を掲げることはできるのです。
 実際、妖怪というものは、大勢の人から「妖怪っぽい」と思われたら、それはもう妖怪という、とても大きなくくりに放り込めます。怖いことは別に問題視されないのです。

 すると、今回の妖怪企画はなかなか特殊なものだと考えられるのではないでしょうか?
 肝試し企画において、妖怪は怖いものとして位置づけられ、主役化されています。
 「妖怪」という概念は、「怖い」という属性をごっそり落として一般化しました。
 「怖い」という要素を改めて「妖怪」に付与させる、これはなかなか特殊な事例なのではないかとひな吉が(勝手に)考えるところなのです・・・。

 さて、考察パートが長々しいものとなってしまいましたが、今回の肝試しでは本当に様々な経験を積ませていただくことができました。
 今回ご縁ができました妖怪屋様、重藤@Osotoasobi In Ichihara 実行委員様、その他妖怪スタッフの皆さま、本当にありがとうございました!
 

 


 

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