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文系博士院生 中退→公務員就職を決めるまで

文系博士院生が中退を決めて、就活をし、アカデミア以外の業界の内定を得るまでの道のりをまとめました。自分は公務員を目指していたので、その方面を考えている方にとって参考になる情報を提供できればと思います。また、文系博士院生の就職事例などの情報はあまり出回っていないので、その意味でもまとめる価値があるかと思い、この記事を書きました。
※内定先や受けた機関等はぼかして書いています。


プロフィール(2024年3月時点)

  • 所属:人文科学系博士後期課程3年(27歳)

  • 研究の状況:論文発表4本(うち査読付き2本)、学振DC2取得、博論の目処は立っていない

  • 仕事など:博士1年から2年にかけて非常勤の日本語教師として勤務、博士3年からは大学の非常勤講師(日本語科目)として勤務

就職を決めたきっかけ

  • 就職を決意した時期:博士1年の終わりごろ

  • きっかけ

    • 自身の信念(固定観念?)として、「お金をもらうなら人の役に立ってこそだ」というものがあった

    • 周りの人と自分の研究に対するモチベーションを比較したときに、自分は「後進を育てたい」や「学術・社会を発展させたい」などの外面的なモチベーションではなく、「自分の知らないことを明らかにしたい」という内面的なモチベーションを持って研究に臨んでいると気づいた

    • 今後30年、40年働くのであれば、自分が「社会の役に立っている」と思える仕事をしたいと思い、研究職以外の道に進むことを決めた

希望職種

  • 修士・博士を通して研究を続けてきた経験から、自身の働きを通して「少しでも研究機関・研究者の手助けができる仕事がしたい」という思いがあった

  • 大学院やその他高等教育、研究者に関わる仕事として国家機関独立行政法人産学連携を行っている企業を中心に応募をした

大まかなスケジュール

2021年12月 

  • 公務員試験に向けて、公務員予備校のオンライン講座を受講し始める

  • 研究と両立しながら勉強を進める

2022年11月~12月 

  • 志望機関の説明会に参加(基本的にオンライン)

2023年4月~5月  

  • 各機関の筆記試験を受験

  • 予備校で面接対策等を行う

2023年5月~6月  

  • 各機関の面接試験

  • 1国家機関から内定通知

2023年7月~9月       

  • 民間企業も見てみたいと思い、院生対象の就活エージェントに登録

  • 産学連携企業・コンサル企業等を中心に応募

2023年10月  

  • 民間企業1社から内々定

  • 比較の結果、国家機関のほうがやりたい仕事だと感じたため、内々定を断る       

その後は6月に内定をいただいいた国家機関に就職することを決め、準備を進める

公務員試験

筆記試験で落ちた機関はなかった。

  • 教養試験

    • 人文系や読解問題は得意だったので、ひたすら数的処理の問題を解いていた

    • 物理・化学などの理系問題は捨てる覚悟でそこまで時間をかけていない

  • 専門試験

    • 憲法、民法Ⅰ、民法Ⅱ、行政法、ミクロ経済学、マクロ経済学、社会学を中心に勉強

    • 単元ごとに講義を聞く→問題集の演習 という作業を繰り返し行った

    • 記述試験が必要な機関があったので、特に法律問題は時間を書けて勉強した

面接の感想

  • 全体的に

    • 想定質問とそれに対する応答を事前に考えつつ、その場で臨機応変に対応するという学会発表の経験がとても生きた

    • 圧迫面接などはなかった

  • 国家機関・独立行政法人

    • 院生の採用経験もある機関だったので、研究の内容なども深掘りされた

    • 自分の研究を2、3分程度でわかりやすく話せるように用意しておくと良い

    • 高等教育や研究者の課題については、周りの人達からヒアリングしたものと自分の経験を交えて話した

  • 民間企業

    • コンサル企業:エージェントに言われるまま受けたが、やりたい仕事とは少し外れていたので質問に空虚な答えを返すだけになってしまっていた

    • 産学連携企業:自分の院生経験などを交えて話すことができたが、理系の分野の企業が多く、そこで文系の自分がどういう価値を提供できるかを考えるのに苦労した

  • よく聞かれた質問

    • 「研究者にならないんですか」:これは自分の中で確固たる信念があったので、その通りに答えたら納得してもらうことができた。

    • 「日本語教師として働かないんですか」:本音を言えば教えるのに全く向いていないから日本語教師として働くのがきつかったのだが、それをそのまま答えるとネガティブになってしまうので、国・地方レベルで全体的な問題を解決したいという方向で答えていた。


全体的な感想

  • 事前の懸念と比べて、年齢はそこまで足かせにはならないと感じた。その分の人生経験をどのようにアピールするかという点が重要。ただ、若い人はパワーがあるので、押し負けないようにこちらも元気よく笑顔で面接に望むと良いと感じた。

  • 公務員試験は筆記試験よりも面接試験に時間をかけたほうが良いと痛感。自分の価値を短い時間でどれだけ伝えられるかが勝負。

  • アカデミアに残るという道に進まなかったという後悔はない。今後も細々と研究は続けるつもり。とりあえず退学後3年は博論を出す猶予があるので、そこまでに博論を完成させたい。

  • 博士になってもアカデミア以外の別の道が絶たれるということはない。今研究がつらい、将来が不安という方々も、少しでも別の道への可能性について考えてみてほしい。


もし具体的な話など聞きたい方がいれば、気軽にDMやtwitter等で問い合わせてください!


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