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君と、その不確かな映画

「君どう」は、感想を記しておかなければならない。

鈴木敏夫の愛情。その一言に、尽きる。

世間に、時代に、喧嘩を売り続けた名バディの、最後の最後の大勝負。
その結果、出てきたモノが、なんとも不気味で、可愛い。
人の夢の中に入り込む感覚。それが、心地良い。

笑って、泣いて。

ああ、浸っていたいなぁ、という。ずっと浸っていたい時間。アニメーションの奇跡。エンドロールの、奇跡。

こんな映画、宣伝のしようがないよね。笑
コピーも、つけられない。
困ったフリして、逆手に取って。

セルフ・アンソロジー、なんて言い方が、正しいのかどうか、わからないけど、そこもゾクゾクした。やれなかったことを、やり直す。ケリをつける。気持ちいいから、繰り返す。

村上春樹の「街と、その不確かな壁」との、深すぎるほどの共通点。そんな観点もまた、掘り甲斐のあるところ。

目撃せよ。その一言だけ。ほんとに。

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一晩寝てから、色んな感想読んでみた。濃い人がそれなりに反応してくれていて嬉しい。
一言いいたくなったのは、メッセージやストーリーを理解しようとしても、何もないよ、ということ。
エンタメでもサービスでもないし、さりとてプライベートな家族についての自分語り、私小説の類でもない。この、ないない尽くしの罠に喜び勇んで飛び込んで、東浩紀の劣化コピーみたいな考察風のことをやろうとすると、本当に最低でダサいことになっちゃうぜ、という。
フェティッシュとか、映像的快感から入るのが、唯一の入り口で、それ以外の入り口から入ると、永遠に出られなくなる。

じゃあ、出口はどこなんだろう?という。

その答えを知るためには、「君たちは」に、惑わされてはならない。いいんだよ、答えなんて。どうでも。

一言だけあるとしたら、宮崎駿したかった、押井守と、押井守したかった、宮崎駿、ということなのかもしれない。

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話は変わるけど、作品に触れて、自分なりに言葉を絞り出そうという、このムードは、とても好ましいね。最近、改めて、AIの話で食傷してたから。

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