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「何かをしたいけど、何をどうしたらいいのかわからない」人間が起業に至るまでの話

令和元年、5月10日に起業しました。

初めて起業なる概念に触れたのは高校生の頃だった。太平洋の向こうにシリコンバレーなる町があって、インターネットなるものが生まれていて、なにやらすごいらしい、と、そんなニュースに触れたのが、90年代後半のことだったか。
高校の卒業文集には、「いつか起業して最先端の技術で活躍したい」なんて書いていたものでした。

以来、ずっとその夢は頭のどこかにあって、その一方で、そんなに世界を変えたいわけでもなく、技術を発明したわけでもなく、それなりに日々を無事に過ごせたらいいんじゃないか、という自分もいて、幾星霜の時が流れたのでした。
周囲にはどんどんと巣立ち、飛び立ち、何かを成し遂げる友人がいて、メディアやSNSにはもっともっとたくさんの成功者の情報が流れていて。
なんで自分はこうなんだろう、駄目な人間だ、本当はこんなはずじゃなかったのに、と、悶々とする日々を過ごしていたのでした。

アクションを起こさずに、「こんなはずじゃない」なんて、矛盾してるんですけどね。

そんななか、プロジェクトエディターの前田さんとの出会いがあり、プロジェクト工学を世に問うきっかけをいただいて。あれよあれよという間に本を出すことになり。出たら出たで、それがいまロングセラーとして多くの方々の共感をいただくことになったのが、2018年の私にとっての大きな出来事でした。
大変有難いことに、35件のAmazonレビューをいただいたスコアの平均が4.8ポイントという高い評価をいただいています。

メディアからの取材を受けることも増え、講座に登壇させていただく機会をいただいたり、どうもこれは何かが起こっているとしか思えなくて。一方で、会社員としての自分という生き方がどうにもしっくりこなくて、大きく体調を崩してしまったりもして。

いましかない!と、思い切って、起業することにしたのでした。

まだ設立してたった一週間しか経ってないのですが、すでに反省していることが一点あります。

「会社員としての自分は、社長の気持ちをひとかけらも理解していなかった」

まぁ、社長をやったことがないから、当たり前といえば当たり前だし、しょうがないといえば、しょうがないんですけれど。や、でも、本当に、この気持ちを知っていたら、全然違う気持ちで会社員やってただろうと思うのです。色々失礼なことや、手前勝手なことを考え、口にしていました。
強化系の人間には社長は務まらない」なんて文章を書いたりもしていました。
いまならこう思うのです。むしろ、強化系じゃないと、務まらないぜ、と。

自分で自分を信じる力強さ

つまりそれは、「自分で自分を信じる力強さ」のことです。

大海原で、ぽつんとただ一人自分がいて、進むべき方角も、わからない。そんな大冒険。その比喩でいくと、会社員でいるのって、船のなかでごちゃごちゃやることなんだなって思います。
そこで絶対的に必要なのが、「絶対にやれる、できる、やる」という根拠のない、内なる心の強さなんだと思います。

徹頭徹尾、具現化系の私がいったいどうすればどうすればそんな強さを持てるのかしら、なんて、思うんですけれど。
それは先天的なもので、手遅れだったりして!なんて。でもやっぱり、色々なことを経験してから獲得できる強さもあると思うんです。

そこで思い出すのが、ジン=フリークスが息子に遺したテープに入っていた言葉。

「オレがこれを吹き込んでからお前が聞くことになる日まで 最低でも10年の時を経ているだろう だが その間絶対に変わらないものがある オレがオレであることだ」

この言葉の意味が、いまいちピンときていなかったのですが、自分が人生のこんなフェーズを迎えて、はじめて天啓のようにひらめいたところがあるのです。

起業するということは、大なり小なり、世間なり世界に対して、なにごとかを問うということ。

そこにはもちろん、正解も模範解答もありません。誰かがこういっていたから、という安易に流されるような思考ではよろしくない。
徹底的に、己とは何者か、を突き詰めること。そこにしか手掛かりはありません。それはエゴに徹するということではなく、糸井重里さんが書籍で述べておられたとおり、「自分は何をしたら、されたら嬉しいかを知ることは、他者が何をしたら、されたら嬉しいかを知ることにつながる」のです。

「何かをしたいけど、何をどうしたらいいのかわからない」という悶々を、成人して以来、16年ほど貯めてきました。思えば、ずいぶん、長かったような気がします。そして、いま「結局のところ、人間とは、自分が本当に何がしたいのかをよくわかっていない」というテーマで起業しています。
私自身がそこで世に問いたいのが、「じゃあどうすればよいか」という方法論です。

わからない、わからない、と自問自答しながら、さりとてそれだけではなく、思考を、方法を、経験を、蓄積してきました。

いまこそ誰かの役に立ちたい、と、思っています。

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