質問への答え方

以下に記す文章は社会でそれなりに長く生きてくれば誰もが体験を通じて身につくことなので敢えて文章にすることでもないのだけれど、それでも敢えて文章にしてみた。社会に身を置いた経験が少ない人に贈る。

質問への答え方

社会で生きていると誰もが、他の人から何かしらの質問を受ける。
例:街中にて「ここから仙台駅へはどう行けば良いですか?」

質問を受けた人は、身につけている知識に応じて以下のいずれかを返す。
①質問に対する答えそのものを返す。
例:この先の交差点を右折してまっすぐ行けば駅につきます。
②質問に対する答えの調べ方を返す。
例:グーグルマップで現在地から仙台駅までの経路を検索すればわかります。
③他の人に助けを求める。
例:私は知らないけど、あちらにいる人なら知っているかもしれません。
④はぐらかす。
例:仙台駅?ああ、行ったことあるよ。あそこにはうまいレストランがあるよね。
⑤「わかりません」と返す。

社会での評価

社会では質問を受けた人が普段どのような返し方をしているか、その立ち振る舞いが他者から見られており、他者からの評価の対象となる。

どのような質問に対しても①の対応ができる人は博識だとか知識人だとか言われ、社会の中で頼りにされることが多い。ただし、博識であることと、その答えについて責任が持てるということはイコールではないことに注意が必要である。質問への答えについて責任を持たねばならない場合は、相応の肩書を持つ人から答えてもらうのが適切である。例えば体調不良のときに助言を求める相手として、本やテレビを読み漁った無職か、医師の資格を持つ開業医のどちらに聞くべきか、ということである。

どのような質問に対しても①の対応ができることが望ましいが、実際はありとあらゆる質問に対して答えそのものを記憶することは難しい。そこで多くの人が目指すのは、どのような質問に対しても①または②の対応ができる人であり、仕事の現場の第一線で重宝されるのはこのような人である。①または②の対応ができる人が優れているのは、「質問者がするべき次のアクションを明確にしている」ということである。最近はGoogleのサービスが充実してきたこともあり、「わからないことがあったらググれ」という②の対応がしやすくなってきている。

また、図書館司書はありとあらゆる質問に対して②の対応ができるエキスパートである。重要なのは司書の頭の中は答えの調べ方のみが存在することが望ましいのであり、情報源が司書の頭の中にあってはならない。司書が質問者に答えるべき情報源は、あくまで図書の中に存在するのだ。

どのような質問に対しても③の対応をする人は他者からの評判は悪い。ただし人当たりがよく、他者への指図をすることに抵抗がない人だとトントン拍子で出世する傾向がある。「私は知らないけど部下のA君は知ってる」から「A君、ちょっと教えて」という構図ができあがるのである。

どのような質問に対しても④の対応をする人はお調子者と呼ばれる。このような人は相手にすると危険である。質問に対する答えを持ち合わせていないのに、質問者に寄り添う風を装ったり、頭の回転が速い傾向があり、ペースに乗せられると質問者は振り回されやすい。質問者からすれば欲しい答えも、答えの調べ方も提示してこないのに時間を浪費するので、⑤の対応をされるより厄介である。

注意事項

・質問に対する答えそのものを知ってるからといって、必ずしも①の対応になるとは限らない。特に教育の現場において、①の対応をするより②の対応をした方が質問者の成長につながることがある。
・わからない質問を受けたら即座に⑤の対応をすることで、質問者の評価が高くなることがある。

最後に

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