見出し画像

目的

 私たちは人と話をするとき、自分が思っていることを伝えようとする意図があります。同時に、自分が頭の中で何を思っているのか、話している最中に気づくことも多々あります。
 人が話をするのは、単に情報を伝達するという目的だけでなく、話をすることで、自分が何を思っているかを知るという目的があることに気づきます。
 どんなアイディアも、内側にある時点では、本人すら気づかなかったかもしれないものも、話をすることで外に出て、具体化されます。この外に出すきっかけを作るのが、話すという行為です。
 アウトプットの例で、書くことも挙げられます。しかし、話すという行為は書くこと以上に特別な効果があります。アイディアを生み出したり、アイディアを発展させるアイディアを見つけるには、孤独な思索では限界があります。
 そのため、アイディアを生み出すためにはコミュニケーションがかかせません。人は話を聞いてくれる人を求めるのは、自分の考えていることを知るためでもあります。

◎意識する

 話をするとき、目的を意識しているでしょうか。
 例えば「カレー好き?」と聞かれたときに、どう答えますか? 
 お昼時に仲間が聞いてきたら、「ああ、今のは『お昼にカレーでも食べに行かない?』って意図で聞いてるんだな」と解釈して、「好きだよ」と答えると思います。
 一方、カレー屋さんのアルバイトの面接で聞かれたのであれば、「はい、こういうカレーやこういうカレーが好きです!」と細かく回答すると思います。
 質問は、その質問をした目的がしっかりわかっていることで、答えやすくなります。一方で、目的がわかっていないと、見当違いな答えをしてしまうことがあります。
 目的を意識して、考えることができれば、こういうことは起こらないわけです。

 「自分はどうして先生からこんなことを言われているんだろう?」
 「相手はなんの目的があってこういう話をしてくれているんだろう?」
 「この会議のゴールってなんだっけ?」
 「この本からこういうことが得られたらいいな」
 質問以外にも、あらゆる場面でもこの目的を意識することは大きなポイントになります。
 どういう目的がある時間をこれから過ごそうとしているのかを理解して、自分の行動をその目的に沿って変化させることができるためです。
 時間・質問・会話……さまざまな場面で、常に目的を考えて行動することで、自分の行動がどんどん論理的・合理的になっていくのです。

◎要求

 組織のリーダーには、指示命令はできても、要求を苦手としている人は少なくありません。
 「〜してほしい」
 「〜しないでほしい」
 この言葉をそのまま伝えるよりも、「〜すべき」という正論を表に出していませんか。
 自分の要求を、はっきりと言葉にすることには抵抗があります。なぜなら、断られたり、拒絶されるかもしれないこと、対立してしまうかもしれないなど恐れがあるためです。また、日本の場合は、欲求要求をよしとしない文化が背景にあることも考えられます。そのため、要求によるリスクを避けるために、正論や交換条件を用意するのです。
 しかし、コミュニケーションの目的は自分が思っていることを伝えることにあります。つまり、要求を目的としているため、コミュニケーションと会話は違うのです。会話は決断や行動は起こりにくいのですが、要求は決断や行動が起こります。

 会話はあっても、コミュニケーションのないチームは、和気あいあいとして仲がいいかもしれませんが、物事が具体的になったり、お互いが刺激になり行動を起こしたりということはありません。
 成果を出し続け、行動を起こし続ける組織、チームは、メンバー一人一人が自分自身の要求を明らかにし、周りの要求を明らかに、コミュニケーションによって、双方の要求の交点を見つけ、そこに向けて行動を起こします。

 文化的な背景、個人のプライド、相手への気遣いなど、要求の障害になるものは視点を変えることでたくさん考えられますが、トレーニングによって可能となります。

 コミュニケーションを一つの要求という言葉に絞ってみました。これが正解でもないですし、答えでもありません。何か考えるきっかけになればと思い、さわりだけをお話しました。
※参考文献 「会話のマネジメント」
内容について気になる、お話してみたい、コーチングを受けてみたい、コーチング型マネジメントを学びたい、体験したいなど、お気軽にご連絡ください。
Mail : youhei_machiya@outlook.com

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?