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統計検定1級を受験しました

割引あり

2023/11/19 に統計検定1級を受験しました!

結果は「不合格」、ものすごく悔しい結果となってしまいました。。

🥹

ただ、学びもあったので、2024年のリベンジ受験に向けて、何をやって何が足りなかったのか、振り返ってみたいと思います💪


「統計検定1級」とは?

「統計検定」は、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。そのなかでも、4級〜1級とレベル別になっており、各試験は以下のような内容になっています。

統計検定の各試験について
※出展:統計検定ホームページ

「統計検定1級」のイメージは、下のような説明をよく見ますが、じぶんが受けた感想としては、「数式ゴリゴリに使う大学入試」という印象。

統計検定の説明でよく用いられる図
※出展:ビッグデータ時代のデータサイエンティスト育成の取り組み(統計数理研究所)

統計検定1級は、昨今の資格試験にはめずらしい記述式の試験で、「数理統計」「統計応用」の2科目(各90分)を受けて、両方受かると1級資格を得られる、という仕組みになっています。

合格率は20%ほどで、試験を受けてわかりましたが、会場に集まる受験者は男性率100%と理系大学の雰囲気で、全国からよりすぐりの「統計ニキ」たちがアベンジャーズばりに集結し、そのうえで5人に1人しか通過できないと考えると、イメージが湧くかと思います。

※統計検定1級の実際の問題は、こちらのサイトで見ることができます


なぜ受験したの?

わたしは現在データアナリストとしてデータ分析を仕事にしているのですが、大学は文系卒なこともあり、ずっと「数式」に苦手意識がありました。

データ分析・機械学習の専門書を読むと、多かれ少なかれ数式が登場し、そのたびにそっと読み飛ばしていました。正直、実務的に困ることはそこまで無くここまで来れましたが、これからずっとデータ界隈で仕事をして、深く付き合っていくことを考えると、どこかで克服すべき「」だとはずっと感じていて、昨年11月に一念発起して、受験することに決めました!


1年間でやったこと

数年前に統計検定2級はギリギリ取得していましたが、ほぼ0からのスタート。基礎固めからはじめて1年目標で取り組みました。

テキスト(一部、授業もあり)ごとの勉強時間を集計したのが以下で、合計勉強時間は376時間。この1年間を時系列で振り返ってみたいと思います。

400時間を目標にしていたが、376時間でフィニッシュ


▼2022/11:「基礎から学ぶ統計学」で統計学へ入門

まずは、どうやって1年間で1級合格するかを情報収集して、計画を立てました。

合格体験記を読み漁ると、「過去問」と「久保川本(現代数理統計学の基礎)」が2大巨頭だとわかったのでさっそく読んでみたのですが、マジで分からなすぎて??!!となりました。

なので、ちゃんと基礎から積み上げていこうと決意し、おおきく以下ステップを計画しました。後述しますが、④が思った以上に無理・・となり軌道修正しますが、いま振り返っても、大きくは間違っていなかったかなと思います。

▼スタート当初に思い描いたステップ

①わかりやすい本で統計学に慣れる

②数理統計(数学)に慣れる

③過去問を解いてギャップを知る

④ギャップを埋めるべく、久保川本で1級向け知識を学ぶ

⑤過去問を解きまくってフィニッシュ

こうして計画が立ったので、①のわかりやすい統計学の本を探して、「基礎から学ぶ統計学」を16時間ほどで読了しました。
この本は、カラーの図・グラフがこれでもかと載っており、だれも置いていかないぞ!という強い意思を感じて、とても良かったです。統計検定2級レベル、北大の名物授業を本にしたものらしいです。


▼2022/12 - 2023/2:赤本+マセマ本 で数理統計の基礎力をつける

統計学のアウトライン(この時点では、1級レベルの本当のアウトラインは知るよしもない・・)は理解できたので、数式レベルの基礎力をつけるべく、以下3冊を約3ヶ月・100時間かけて、勉強しました。

この3冊は本当に良書で、数式に慣れるための初手として、やってよかったと今でも感じています。統計検定1級は、微積分を中心にした数学力試験の意味合いが強い(というか、それがすべて)ので、統計学にからんだ基礎的な数学力を鍛えるのに、効果があったと感じています。
この3冊をやって、はじめて統計学は数式を用いる学問なんだと実感しました。微積分などの数学も、10年以上ご無沙汰だったので、はじめは全く分からずでしたが、がんばって続けていると解けるようになり、統計学やってる〜と楽しい時期でした(1級レベルの壁を知らない無邪気な時期です・・)

途中、評判のよい「統計学のための数学入門30講」にも手を伸ばしましたが、この本は数学力が十分ついた後に辞書的に使う方向けで、当時はぜんぜん使いこなせずでした。。(ただ、やってる感を出したかったのか、ムダに手元には置いてました)
いま読むと、簡潔に整理された良い本だなとわかります。読む時期にはご注意ください。


▼2023/3 - 2023/5:過去問に触れて、敵・己を知る

約3ヶ月かけて、上記3冊を解き切って、だいぶ成長したのでは?と思っていたので、いよいよ過去問(易問題)を解きはじめました。ドキドキしながら20問ほど解いて、気づいたことは2つ。

①ほんのちょっとだけ解ける!解説みれば分かる!!
3ヶ月がんばったおかげで、特に確率分布まわりは、大問の(1)レベルなら解けるものがあり、とてもうれしかったです。また、解けなかったものも、解説や解説サイトをみれば理解できるものもあり、少しですが手応えを感じました。
ただ、後で実感しますが、「解説をみてわかる」ことと「自力で解ける」ことには天と地ほどの差があり、まったく合格のスタートラインに立ってはいなかったなと振り返って思います。

②未知な知識がたくさん出てくるのだが・・・
一方で、赤本には載っていない知識にゴロゴロ遭遇しはじめました。具体的には以下などで、YouTubeや解説サイトで何とか分かった気になるまで格闘しますが、どう腹落ちさせたらよいか分からず困惑しました。

▼???となった知識たち(当時のメモより)
・最尤推定
・スコア関数
・フィッシャー情報量
・検出力
・不偏推定量
・順序統計量
・一様最小分散不偏推定量(UMVUE)
・クラメールラオの不等式
・十分統計量
・デルタ法 などなど

統計検定1級 受験者御用達の以下3冊も購入し、見比べながら格闘しましたが、今振り返ると、数式読解力が低く、数理統計全体のなかでどんな位置づけの知識かもわからず、点での浅い理解となってしまい、ほぼ身についていなかったと感じています。


▼2023/4 - 2023/8:すうがくぶんか講座を受ける

過去問にトライするなかで、だんだんとこのままで受かるのか・・という茫漠とした不安が出てきたなか、会社でもお世話になっていた「すうがくぶんか」さんが数理統計講座を開講することを知りました。
当時は、自力で受かりたいという淡い想い(?)があり、受講するか少し悩みましたが、会社の補助制度(年12万円まで補助!)が使えた&対面授業だったこともあり、思い切って受講しました。

結果、受講して本当によかったと感じています!!(決して、回し者ではないです🙏)

先述した「数式読解力が低く、数理統計全体のなかでどんな位置づけの知識かわからず、点での浅い理解となる」といった独学での悩みが、先生のわかりやすい説明で、腹落ちして理解できるようになりました。
わかりやすいとはいえ、数式を書いて証明するプロセスはマストなので、予習・復習にかなり時間をかけましたが、統計検定1級レベルの知識や全体感は、この講座を受講しなかったら、赤本レベルのじぶんでは1年間でたどり着けなかったと感じており、「知の高速道路」として感謝しています(何度も言いますが、決して回し者ではないです🙏)

※数理統計の授業があまりに良かったので、自腹で統計応用の講座も受けました(高額なので、清水の舞台から飛び降りる気持ちで購入ボタンを押した記憶が・・)


▼2023/9 - 2023/11:ひたすら過去問と向き合う

上記のように、4~8月は100時間ほどかけて、すうがくぶんか講座中心に勉強をして、統計検定1級レベルの知識をおおよそ網羅できたので、いよいよ残り3ヶ月で過去問ガリガリモードに突入しました。

過去問との向き合い方は、以下方針でおこないました。

▼過去問との向き合い方
・2012〜2022年の10年分の過去問を買う
・大問ごとの難易度レベル(易・標準・難)をいろいろなサイトから入手する
・そのなかから、易〜標準問題をpickして解く(難は解かない)
・特に、易問題は確実に解けるよう、2〜3度解く
・解いて気づいたポイントや自分の癖は、ノートにまとめる
・解いた問題は、スプレッドシートで解けた割合や解いた所感を記録する

合格体験記を読み漁ると、過去問を遅くはじめて間に合わなかったとのコメントをよく見るので、9月から取り組みはじめたのですが、以下のような不完全燃焼な結果となりました。

  • 数理統計(易〜標準問題):1.8周ほど

  • 統計応用(易〜標準問題):1.2周ほど

合格体験記では2〜3周やっている方が多く、ここが一番の敗因かと感じています。敗因要因は3つありそうです。

①週末だけしか勉強しなかった
これは全体を通してですが、平日に勉強時間を確保することがなかなかできずでした。もっと追い込んで、朝などにやる習慣をつければよかったのですが、う〜んという感じです。。

②2-3週間前の直前になるまで、勉強時間をそこまで確保しなかった
ここも①と似てますが、土日に予定が入ったり朝遅く起きることもあり、思ったより勉強できていなかったことが悔しいです。今のじぶんの立ち位置(このままで受かるのか?)を正確に把握して、追い込む仕組みをつくれなかったことが反省ポイントだと感じています。が、なかなか難しい・・

③易〜標準問題が60~70%解けることで、満足していた
後述しますが、本番は実力の70%しか力が出せないと、受験して身を持ってわかりました。なので、易しい問題は100%解ける、標準問題も7〜80%は安定して解ける、やや難も50%は手をつけられる、くらいの仕上がりでないと、確率的に合格は難しいなと感じました。


やってよかったこと

ここからは、受験を振り返って、やってよかったことTOP3を挙げたいと思います。

第1位:すうがくぶんか授業を受講した
先述のとおりです。
世の合格体験記は、10月から過去問を3周しましたなどとさらっと書かれてたりしますが、まちがいなく数学・統計学を過去にかじっていた or シンプルに頭がいい、のどちらかだと思います。なので、自力が難しいと思ったら、専門の人に頼るのは大事だと感じました。じぶんが受けた講座は、シンプルに神でした。


第2位:勉強ログを記録した
統計検定1級受験で何よりつらかったのが、モチベーションを維持することでした。
モチベーションを切らさない仕組みとして有効だったのが、勉強ログをつけることでした。わたしは「学習時間400時間」を目標にして、毎日やったテキストごとに勉強時間を「StudyPlus」というアプリで記録しました。

つらいな、勉強続けたくないな、と思ったときは、よくアプリの勉強時間を眺めては、モチベーションを維持していました。おすすめです。

この画面を眺めては、ここまでやったぞとニヤニヤしてました


第3位:note メンバーシップで見守ってもらい、辞められないようにした
こちらもモチベーション維持の方法として、有効だったことの1つ。noteのメンバーシップというコミュニティ機能をつかって、受験を応援してくれる人に見守ってもらう、という方法です。
じぶんは以下メンバーシップを2022/12に立ち上げ、毎週の勉強報告をしていました。誰かが見守ってくれていると思うと、途中で辞めることができず、結果1年間走り切ることができました。

2024年合格に向けて、引き続きこのメンバーシップは継続するので、もしご興味ある方いらっしゃれば、参加いただけるとすごくうれしいです。

※メンバーシップのメリットは、こちらにも詳しく書いています(↓↓)


受験してわかったこと

受験してわかったことも、TOP3を挙げてみました。

第1位:本番は70%の力しか出ない(時間ない+緊張)
詳しくはメンバーシップで当日の解答した様子を書いていますが、本番はとにかく時間がなかったです。緊張でうまく頭が回らないなか、計算ミスしないよう冷静に問題を解く必要があるため、いつもより計算スピードが落ちますし、何より最後の20分で大問1問残したときの、焦り具合といったらなかなかの心拍数でした。なので、普段の70%のちからでも受かるよう、練習する必要性を受験してはじめて感じました(大学受験もそうだったなと思いつつ、遠い記憶の彼方すぎて忘れていた・・)

第2位:「わかった」と「解けた」はぜんぜん違う(演習量だいじ)
久保川本を読んだり、すうがくぶんかの授業で「完全に理解した」と思っても、過去問を解くとまったく手が動かない、ということが最初はとてもショックだったことを覚えています。また、解説を見ればわかるのに、自力で解けないというのも、できた気にさせる意味で厄介です。本番で自力で解けないと意味がないことを、受験が終わった今はとても感じています。自力解答できる力をつけるまで、粘って勉強し続けましょう。

第3位:赤本→久保川本のギャップえぐい
赤本は「統計学のワカバタウン」とどこかでみた気がするのですが、そのくらい赤本と久保川本のギャップは大きい印象がありました。合格体験記を読むと、いきなり久保川本にジャンプしている方が多いですが、じぶんには難しかったです。。(わかるまで、数式写経している?)
世の統計検定1級合格者の方たちは、独学でどうやって勉強されているのか気になります。


さいごに

合格発表が数日前にあり、気持ちの整理をつけるのに数日かかりましたが、ようやくこの1年間を供養できた気がします。

統計検定1級は、上記に書いたとおり、手放しにオススメできる資格ではないです。ただ、数式レベルで手を動かすことで統計学を深く理解でき、本に載っている数式も怖くなくなるので、合格して自分のものに出来るよう、もう1年腰を据えてがんばろうと思います。

このnoteが、統計検定1級を目指す方の一助になればうれしいです。


※2024年受験への取り組みをウォッチされたい方は、よければメンバーシップもご参加ください(見守るだけで感謝です!)




💡この記事は noteのみんな Advent Calendar 2023 24日目  &  統計・機械学習の数理 Advent Calendar 2023 23日目の記事です。

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おまけ (ここから有料ライン)

ここからは、実際に統計検定1級を受験される方向けに、じぶんがいろいろ調べて見つけたサイトなどをまとめました。統計検定1級を受験される方の一助になれば幸いです(実験的に有料にしてみました、ご興味あればぜひ)

▼有料ラインで紹介しているコンテンツ
過去問 解説サイト(数理統計):8サイト
赤本 解説サイト:1サイト
久保川本 解説サイト:1サイト
過去問レベルまとめスプレッドシート
受験当日のリアルな思い出(メンバーシップより抜粋)

※「過去問レベルまとめスプレッドシート」はこんな感じです(↓↓)


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