「地方が教育で蘇る」について考え直してみた。

「地方創生」

この言葉を最初に発し、人口の東京一極集中に歯止めをかけようとしたのが、2014年の安倍政権。地方の活力を取り戻すという名目で、これまでにも様々な取り組みが行われたり、多くの企業や団体がその取り組みを進めてきました。

少子高齢化が進み、地方から都市部への若者の流出が止まらない日本の現状は、誰もが感じるところだと思います。理由としてあげられるのは、「魅力的な仕事がない」や「学びたいことを学ぶ環境がない(大学など)」など、機会創出の少なさに依存するところが多いという意見を聞きます。

しかし今年、コロナウイルス感染症によって、東京に住む人たちは約2ヶ月の間、苦しい思いを強いられました。それは大都市特有の満員電車など「密の発生」を避けたり、あまりにもランダムな人との接触回数の多さなどを避け、感染経路(クラスターの発生源)を可能な限り知るためでした。2020/06/13現在は、規制緩和の第三段階、通称STEP3に移行し、ほとんどの商業活動が、感染症対策の元可能になりました。

さて、国内の少子高齢化はもはや避けられず、地方から若い人材が流出が止まらないこの時代を経て、コロナウイルスによって新たな生き方を求められる日本で、「教育」が果たすべき役割を改めて考え直してみたいと思います。


1. 教育は誰によってなされるか

簡単な質問です。

「教育は誰によってなされることですか?」

学校・塾・家庭などは、パッと思い浮かぶ方が多い環境だと思います。

これは間違いではないと思います。学校は、小さな社会の中で生徒が様々なことを学ぶ場ですし、塾ではアカデミックなことを中心に教えられます。そして、それぞれの家庭では、小さい子どもであれば箸の持ち方やお片付けの仕方などをしつけられ、大きくなればお小遣いを通してお金の使い方を学んだり、親という大人との関わり方について、考えたりする機会が増えます。もちろん、これらは一例であり、それぞれの環境は、もっと多様な役割を持ちます。

では、それだけで子どもは成長するのでしょうか?

違いますよね。

僕の答えは、「その地域全体がなすもの」です。ここから詳しく説明します。

例えば、ピアノなどの習い事をしたり、地域のお祭りなどの行事に参加したり、掃除のボランティアで地域に貢献する機会を得るかもしれません。このように、小さい子どもは特に、自分の周りの小さなコミュニティを通して、成長することもあります。

そして、このコミュニティの可能性というのは、もしかすると学校や家庭を凌駕するものになります。なぜなら、何かの目的があって意図的に作られた集団であり、「明確な課題解決や目標達成」を目指すからです。

例えば、地域のお祭りは、地域住民の協力によって、子どもを楽しませようと親を中心に大人の有志たちが集まって、催されることが多いのではないでしょうか。これは、明確に「子どもに祭りを楽しむ機会を生み出そう」という目標やゴールのようなものがあり(実際にはそう考えてなかったとしても)、そのために企画や準備、運営などを協力しながら行います。

その過程に、子供が参加することが、一つの教育になります。例えば祭りを盛り上げるために特技を披露する機会を作ったり、出店のお手伝いを任せたりと、「リアルな社会」を学ぶ機会を生み出すには絶好の機会のように思えます。

このように、規模は大きかれ小さかれ、地域コミュニティというのは、教育的価値を多分に含んだ環境だと思います。つまり、教育はその地域に存在するコミュニティを通し、地域全体で行うものであると言うことができるのではないでしょうか。


2.  大人を見ている

子どもは大人の行動を真似します。

というか、いろいろ察するんです。笑

子どもは頭がいいので、こちらの様子を察して行動することができます。すべてがそうでないとしても、です。

こちらが怒っていれば、大人しくなったり、泣き出したりします。こちらが笑っていれば、一緒に笑って、楽しみます。

簡単に言えば、自分がいる環境に影響を受けやすいということです。

先ほどの例をもう一度取り上げます。

地域の祭りで、自分の親も含め大人たちが一生懸命、しかも楽しみながらお祭りをなんとか成功させようと動いているのか

「毎年やっているから今年もやるか。」くらいの気持ちで、惰性でなんとなくやっているか。

子どもは、その違いくらい簡単に察します。そして、それを真似します。

わかりますか?

地域の今の大人は、その地域の将来の大人を決めているんです。


3. アフターコロナの社会を、地方が支える

コロナウイルス感染症は、日本経済のみならず世界に多大な影響を及ぼしています。

この一件で、「ああ、東京みたいな場所って、こういう時に大変なんだ。」というふうに考えた若い年代の方は多いと思います。特に大学生は、生活費を賄うためのバイト先を失い、ギリギリの生活を強いられている映像が、メディアで取り上げられているところです。

今まさに、若者の目が地方に向けられておかしくない。そう思います。

今までの地方創生においては、情報の流動性を高めることで、地方への観光客を増やす等の施策は積極的に行われてきた一方、地域そのものへの働きかけは未だその数が少ないままです。

同時に、少子高齢化という問題は残ったままです。

ならば、今こそ地域に魅力を感じさせ、若者に「地元に残ろうかな。」と思わせるために、大人たちが頑張る時です。

地元新潟にも、数年前、沼垂(「ぬったり」と読みます)という場所に、「沼垂テラス商店街」というコミュニティが生まれました。地域の廃れていく商店街を復興させようと、当時シャッター街だった長屋の通りを、今や若者に大人気の、素敵で人が集まる場所に生まれ変わらせました。今や、全国の地方創生を目指す団体や組織が、視察や研修に訪れる場所となっています。

これを見て、子どもたちは「わぁすごい、地元が変わった」と思うことでしょう。

その姿を見れば、自分だってできるはずって思います。

子どもの周りにあるコミュニティが、教育に与える影響は大きい。

これが、地方創生を考える上で重要なテーマだと思います。


それでは。

エンジニアリングとコーヒーをこよなく愛する新米エンジニア 夢は、「世代を超えて、それぞれの幸せを追求できる社会を創造する」こと エンジニアだけどコーヒーを上手に淹れます。 頂いたサポートは、より良いnoteの記事を生み出すために使っていきます。