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底辺ラッパー2話(キャリア)

2010年7月。

真夏の日を浴びる俺


今後活躍する(はず)の

mc junkyという名の男が居た。

色褪せたヘビーローテーションが、

YouTubeの片隅で、もがいている。

そんな夏にあんなことが起こるとは。


俺の友達が死んだ。


雨の日に車を運転していたところ、

峠を攻めていた車にぶつかり、

橋から落ちたらしい。


俺は泣いた。

2日間ずっと頭が痛かった。

いつまでもクヨクヨはしてられず、

クラブの出勤がまた襲いかかる。

平日ということもあって、

djはのんびりしている。

djに話しかけてみる。

「こんにちわ〜。調子はどうっすかぁ〜?」

dj
「お〜!久しぶり〜!」

そう。

これが俺のキャリアの第一歩だった。

彼の名前は、

dj beats。


主にhiphopを扱っているdjだ。

「あのー、、、」

このチャンスを逃せば、

自分のキャリアは無くなる。


dj
「どしたぁ?」


「実は俺ラッパーなんですけど、、、」
「ビートを作ってくれるdjがいなくて。」

djは迷っていた。

「いや〜いんだけどサー、、、」
 
「ラッパーって言うのは自分の好きなテンポ、
 好きな音、好きなジャンルで決めるから、
 俺が合うかどうかなんだよネー、、、」


「じゃあちょっとビート聞かせてもらって
 良いですか?」

そしてブースの中に行き、

djが準備をしている時、

ガラケーが唸り出した。

とっさにガラケーを取った時にはもうなっていなかったが、

母からだった。

急いでかけ直すと

「なんか忘れてなぁーい?」

ん?なんだ。

「わかんね。」

「んもー。忘れんぼさん。
 しおくりのhi、、、ピーピーピー」

クソババァ!

まぁいいや。

そして、

ブースの準備ができた。

「じゃあ行くよー」

ドッ、、、、パ、、、、


想像もできないほど遅いbpmだ。

カッコ良すぎる。

「ちょっと歌ってみてよ」

「わかりました」

そしてマイクの前で息を吸う。






「yo、、、、、」

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